第14話:スタメン発表&応援席での交流
投稿が遅くなりすみません。
「今度の練習試合に出るかもしれない。部長にスタメン候補だって言われた。」
今日の昼食、学食メニューのメインはカツカレーだった。というわけで、大輝と翔太といういつものメンバーで、カツカレーを頬張っている。全員大盛りで。
「マジ?やっぱり女バスの子の噂は本当だったんだな。」
その「女バスの子」って、いったい誰のことだ?その噂の出所、現状女バスだけなんだけど…。
「それで、試合はいつ?」
「来週の土曜日。」
「あちゃ~俺部活だわ。翔太は?」
「俺も部活。」
「えっ…、料理部って土曜日も活動するの?」
「そんな意外そうに言うなよ。その日はケーキ作りDAYなんだよ。」
「なに、その美味しそうなDAYは?」
「その試合の話、桜井さんには?」
「えっ、まだ言ってない。」
「それ早く言ってあげた方がいいよ。」
「でも、吹奏楽部って土曜日も練習してるよね。」
「ああ…。そういえばよく体育館裏で個人練習してるの見るな。」
「だから、言っても来れないと思って。」
「でも、言っとくだけ、言っといた方がいいと思うぞ。」
「やっぱ、そうかな。」
「なあ、気になったんだけど、桜井さんとお前って、やっぱり付き合ってるの?」
「なんだよ、やっぱりって。別に付き合ってるわけじゃないよ。」
「そうなの?なんだ、もうすでに付き合ってると思ってた。」
「えっ、翔太から見たらそういう風に見えるの?」
「まあ、仲良さそうだし…。」
「いやいや。俺なんて付き合えるわけないじゃん。桜井さんって結構人気あるんでしょ?」
「それ、お前が言う?お前も結構人気あるらしいぞ。」
「それ誰情報?」
「えっと…、女バス?」
だから、その女バスの子は誰だ。
―――――
「城田君、レギュラーおめでとう。今度の試合出るんだってね。」
「えっ、なんでもう知ってるの?てか、まだ決定じゃないし。部長にはスタメン候補とは言われたけど。」
「そうなの?女バスの子がそう言ってたけど…。」
昼食を終えて、教室に戻ってくるなり、いち早く情報を入手していたらしい倉本さんから声を掛けられた。
てか、その女バスの子、めっちゃ気になる。ちょっと怖いぐらい、男バスの情報を掴んでいる。
「試合、来週の土曜日でしょ。わたし部活休みだから応援に行っていい?美月と一緒に行くよ。」
「ああ、まあ、出るかはわからないけど…。それでもいいんなら。」
「本当!?じゃあ、絶対行くっ!」
「ありがとう。嬉しいよ。」
「うん!」
倉本さんが和知さんのところに戻ると、それ入れ替わるように誰かが近付いてくるのがわかった。
「ねえ、城田くん。さっきの倉本さんの話、本当?今度の試合に出場するの?」
「えっ、ああ、もしかしたらだけどね。」
「そっか…。私聞いてない…。」
「いや、昨日言われたばかりで、まさか倉本さんがすでに知ってるとは思わなかったから…。」
「ふ~ん。てっきり一番最初に教えてくれると思ってたのに。」
「えっ、いやっ、もちろん桜井さんには教えるつもりだったよ。だけど試合当日は部活があるかなと思って…。」
「それでも、最初に教えてほしかったな…。」
「あっ…。ごめんね…。」
「はいはい。そこまで。美羽もいじわるだよ。そんなに拗ねないの。もう独占欲が出てきたの?」
「えっ!いや、違うよ。もう!ただ、ちょっとショックだっただけ。」
「もう、嫉妬する美羽も可愛いな。ほら、城田君。美羽を嫉妬させたんだから、言うことがあるでしょ。」
「えっと…、ごめんね…?」
「違うよ。今度の試合に応援に来てほしいって言うの。」
「あ、そうか。えっと…、桜井さん。来週の土曜日に練習試合があるんだけど、もしよかったら、応援に来てくれない。出場できるかわからないけど…。」
「うん。行きたい。でもその日は午後から部活なんだけど、試合とかぶってるかな?」
「大丈夫。試合は午前中からで、しかも場所はここの体育館だから。」
「そうなんだ。よかった。絶対に応援に行くね。」
「ありがとう。当日は少しでも出場できるように頑張るから。」
「うん!」
「お二人の邪魔しちゃって悪いけど、私も応援行くからね。」
「ありがとう、紺野さん。」
―――――
翌週の土曜日。
天候は生憎の曇模様。体育館は天候関係ないけど。まあここの体育館には冷暖房完備なので、仮に外が暑くてもあまり関係ない。さすが全国有数の学校。学校設備もしっかりしている。
現在バスケ部は部室で最終ミーティング中。今日のスタメンはこの場で発表されるはずだ。5分でもいいから出場したいな…。
今日の対戦相手は「緑浦大付属中学校」。昨夏の地区大会ベスト16。はっきりいってこちらからすれば格下の相手だ。この試合の目的は勝利は当然として、世代交代した現状の実力を図るためだと今井部長は言っていた。
「じゃあ、これからスタメンを発表する。」
今井部長から今日の試合のスタメン5名が発表される。やはりメインは部長を中心とした3年生の寺田先輩、吉川先輩、そして2年でスコアラーの武川先輩。これで4人。
「最後は、1年城田。」
「えっ…。俺ですか?」
「ああ、お前は初心者のくせに正直言って今の1年生で一番センスがある。スタミナも申し分ない。実戦でどれだけ通用するか見たいと監督は言っている。」
私が監督の村井監督を見ると少し笑っていた。「そういうことだ。」と言っているようだった。
「但し、仮にもこの白麟学園バスケ部のレギュラーに抜擢されたんだ。中途半端なプレイをすれば、すぐに交代する。そのつもりで真剣にやれっ!」
「はいっ!」
「選手の皆さーん、まもなく試合開始です。準備して下さい。」
「よしっ!練習試合とはいえ、大事な初戦だ。絶対勝つぞー!」
「「「「「おうっ!」」」」」
―――――
今日は男バスの練習試合。私とひなたちゃんは体育館の2階席の中央に座り、試合開始をいまかいまかと待っていた。
「ねえ、ひなたちゃん。城田君はスタメンに入れるのかな?」
「どうだろうね。うちの男バスは全国大会にも名を連ねる強豪校だからね。当然3年生、2年生の先輩たちもレベルが高いからね。普通に考えたら、バスケを始めたばかりの城田君がスタメンになるのは難しいと思う。」
「そうだよね…。」
「正直、ベンチに入るだけでもすごいごとだと思うけどね。ただ、城田君なら、何かそれをやっちゃいそうな気がするよね。それにスタメンじゃなくても、途中出場の可能性はあるかもしれないから。」
「うん。そうだね…。」
「だから、うちのチームを精一杯応援しよ。」
「うん!」
「あっ、ひなたー。」
「あっ、凛。やっぱり凛たちも来てたんだね。」
「そりゃそうだよ。なんたって城田君が1年最速でスタメンを獲得するかもしれないのに…。やっぱ気になっちゃうじゃん。ね、美月。」
「そうだね~。城田君出られるといいね。」
「桜井さんもこんにちは。」
「こんにちは。倉本さん、和知さん。」
「ねえ、私たちもここで一緒に観戦していい?」
「もちろん、いいよ。」
「ありがとう~。桜井さんとはあまり話したことなかったけど、よろしくね!」
「うん。こちらこそよろしく。」
「ねえ、桜井さんは、「美羽でいいよ。」あ、そう。じゃあ私のことも凛でいいからね。ね、美月。」
「うん~。私も美羽ちゃんって呼ぶよ。」
「いいよ。美月ちゃん。」
「それで美羽は、城田君と仲いいよね。」
「そうなのかな。入学式の時に席が隣同士だったんだよね。そこから自然に話すようになった感じだけど。」
「そうなんだ。ひなたに聞いたんだけど、この前のテストの時に一緒に勉強会したんでしょ。いいなあ~。私も一緒に勉強すれば、テストでもう少し上位を狙えたかもしれないのにな~。ねえ、今度の期末テストの時は、私たちも一緒に勉強していい?」
「え~。凛、ちゃんと勉強に集中できるの?」
「ひなた、ひど~い。ちゃんとできるよ。ね、いいでしょ?美羽。」
「えっ…。別にいいけど。特に私が許可するとかじゃないから。」
「やった。じゃあ美月もね。」
「わかりました~。」
「あっ、そろそろ試合が始まるみたい。」
ひなたちゃんの声でコートを振り返る。城田君がスタメンに入っているか楽しみだったけど、さっきの彼女たちとの会話で、何とも言えぬ一抹の不安が心に残ってしまっていた。
選手たちが入場してくる。
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