ラルーア大森林へ2
ゲームやってたらトラブルってあるよねの回です。
出来る限り戦闘を避けながら、ラルーア大森林に到着。
かなり巨大な木が大きく、中は薄暗くなっていた。
「結構薄気味悪い場所ですね」
「そうね~、掲示板にも書いてたけどゴーストとかも出るんじゃね?とかネタにされてたもんね」
「なんとなく理由はわかるな」
「夜に来たら雰囲気がピッタリかも知れない」
「だが、出るのは洞窟の強化版と毒蜘蛛と毒鼠だけなんだよな~」
ゴーストが出ていたら、やはり物理攻撃が無効化されるんだろうか?
その場合、俺は風魔法があるけども……、獣人の魔法攻撃力でやったらネタにしかならんな。
今回の予定はフローラさんが0時には落ちるために、2時間を狩りに、1時間をアイテムの確認から素材の山分けなどに使って終了の予定だ。
最終確認をして、森の中へ。
森の中では、色んな動物の声が聞こえてくる。
「でも、実際にはいないんですよね?」
「モンスターとしてはね
動物はいるけども、モンスターの餌として食べられているか、見つけても直ぐに逃げられるわ」
「一応モンスター以外にもいるんですね」
「遠目に見る分には観察出来るらしいぞ
こっちを見つけた瞬間に、逃げるらしいがな」
「でも、モンスターの前は普通に素通りしようとするんだろ?
その辺は謎じゃね?」
「まぁ、そこはゲームですし……」
「その辺は運営の匙加減ってところね~
あっベック、フローラちゃんちょっと横に飛んで」
「えっ?はい」
「わかった」
2人が答え横に飛んだ直後に2人のいた場所へ、蜘蛛が落ちてきた。
体長20cmぐらいのでっかい蜘蛛だ。
「でっけぇ……」
「リアルすぎて気持ち悪い……」
「現実にいたら泣きそうですよ……」
「やっぱりマップ見てないと面倒よね~
まだ赤い点があるから、近くの木の上にいるわ」
「数は?」
「そいつら含めて4ね」
「んじゃまずはここ2匹狩っておくか
リュカは周囲の警戒を頼む」
「は~い」
初心者組と経験者組で感想が全く違う状況だが、こればっかりはしょうがないと思う。
とりあえず、まずは手近にいた蜘蛛に攻撃。
特に反撃はされずに、68のダメージ。
それで体力バーが1/5付近まで減ったということは、大体体力350辺りか。
やはり、毒持ちは体力が低く設定されているみたいだ。
っと考えていたら、毒蜘蛛から糸が飛んできた。
それは網状に広がっていき、絡みついてくる。
やばっ、取れないわ……。
「ジェイド君、その状態になったら落ち着いてなにもしないこと
コイツラの糸は動けば動くほど絡まるように出来ているから」
なにもしない、か……。
そのまま動きを止めていると、糸が自然に消えていった。
「ジェイド、もう大丈夫か?」
どうやらこちらへの追撃はダイアさんが止めてくれてたらしい。
「ありがとうございます、油断しました!」
「初見の敵だからな、仕方ないことだ
次から気をつければいいさ
すまんが解毒薬を使ってくれ、アイテムボックスを開く余裕がないんだ」
俺はすぐさまアイテムボックスから解毒薬を取り出し、ダイアさんに使用する。
さて、次は油断しないようにしないと!
【経験値を200獲得しました】
2匹を狩ったところ、そんなアナウンスが。
あれ?まだ頭上にいるはずでは?
「表示はまだ消えていないけども、別に動く気配はないってことは……
潜んでるところの下を通ることが条件ってことかしらね
ちょっとジェイド君そこの木の下に行ってくれる?」
「あっはい」
とりあえず指示された場所を通ってみる。
すると、また蜘蛛が落ちてくる。
どうやらこれで確定だな。
噛まれる前に、ダッシュを使って速攻離脱だ。
「掲示板には書いてないけども、まぁ蜘蛛が動き回るよりは待ち構えているって方があってるからね~
妥当っちゃ妥当ね」
「素材集めは面倒かも知れんがな
動き回ってこいつらが待ち構えている場所を探さないと行けないわけだし」
「マップに相当気をつけていれば、気をつけるべきは毒鼠ぐらいってことか」
それに経験値も1匹辺り100貰えてるのを考えると、動きも遅いし状態異常技に気をつければ相当美味しい相手だろう。
というわけで早速、狩らせてもらう。
特に見どころもなく、蜘蛛との戦闘も終わり200の経験値をお代わりだ。
マップを見てみるが、モンスターの表示は遠くにある。
とりあえずそちらの方に行ってみることになった。
「モンスターは発見……だけども先客がいたわね
別の場所に行きましょうか」
「次の場所は……人がいるな」
「反対側なら……駄目だな」
蜘蛛の後は、1匹も狩れずに彷徨っていた。
「人が多いと争奪戦になるのは仕方ないわね
それでも、ここらへんはまだ少ないはずなんだけどな~」
「思い切って、逆サイドに突っ走ってみるか?
狩る時間は少なくなるが、狩れないよりはましだろう?」
「そうだな、俺もその意見に賛成だ」
「まぁ、そうするしかないわよね
全員向こうに行くわよ」
人気なゲームだからこの辺は仕方ないとして、狩れる場所を探して移動を始めていく。
入り口付近まで戻って、逆サイドに向けていき、モンスターを探していくが……。
「こっちも駄目ね、人が一杯だわ」
「装備を見る限り、なんかのチームかギルドの奴らだろうな
向こうの奴らも防具に同じ模様あったし」
「ボス戦までのウォーミングアップとして狩っているのか、単にレベル上げとして狩っているかで事情が変わってくるな
前者だったら少し待てばいいが、後者だったら近くに湧いてくれるのを待ったほうがいい」
「見た感じ、レベル上げのために狩ってるって印象よね
私達と同じような強さだし」
入り口から近いということでその場で待機して、モンスターが湧くのを待つ間、向こうのパーティーの戦闘でも見ておくことにした。
向こうは弓使い1、魔法使い1、ヒーラー1、タンク2、アタッカー1とほとんど似たような構成だった。
タンク2人で徹底的に抑えて、後衛とアタッカーの剣士が敵を仕留めるという理想の流れだ。
最後に剣士がスラッシュであろうスキルを使用して戦闘が終了していた。
「おっラッキー、目の前に湧いたぜ」
ジャンさんの声で振り返ると、確かに目の前にモンスターの出現予告であるエフェクトが見えていた。
それぞれ武器を構え、戦闘の体制を取っていく。
モンスターが完全に現れたのを確認し、まずはリュカさんの矢が、そしてダイアさんが突っ込んでいく。
リュカさんの放った矢が先頭のハイゴブリンに当たった時、後ろにいたハイコボルトに矢が同時に刺さっていく。
思わず、リュカさんがスキルを使用したのかと思って確認のために振り返るも、リュカさんは首を振る。
「あたしじゃないわよ
第一スキルの掛け声してなかったでしょ?」
「ですよね~」
「どうやら、これがあいつらのやり方らしい
近くに湧いたやつに片っ端から弓使いが攻撃を仕掛けて、寄ってきた所を狩るって方法だな
近くに人がいなければ問題ないが、こういうこともあるから注意しなければいけないはずなんだがな」
「あっちも気づいてなかったんだろ
故意にやってたんなら、あんなことしないだろうしな」
ジャンさんが示す方向では、向こうの弓使いの人が怒られている様子だった。
とりあえず問題なさそうなので、いつも通りに戦闘再開。
ジャンさんと挟撃したり、ベックさんとフローラさんの魔法を上手く当てるように誘導していく。
【経験値を427手に入れました】
「横槍のせいで、微妙に経験値が減ってるわね~」
「向こうも人がいるとは思ってなかったんだろうしな
気持ちがわかるだけに責められん」
「向こうから人が来てますよ?」
弓使いの人とタンクの人がこちらに向かってくる。
「いや~、すんません
まさか他のパーティーが来ているとは知らず申し訳ない」
「すんませんでした!」
「あ~、そこまで気にしないで
後から来たのは私達なんだし、気づかなかっただけだってすぐわかったから」
「そう言ってもらえると本当に助かる
俺はブロンド
ギルド【暁の夜明け】に所属していて、そこの5番隊のリーダーだ
んでこっちが弓使いのシュート
もし、今の戦闘で不都合があったら何か言ってくれ
俺たちの責任だから、詫びを入れよう」
「本当にすみませんでした!」
「いいのいいの、これでアンタたちが獲物を奪っていくようだったらキレるけどもちゃんと謝ってるし、許すわ
皆もそれでいい?」
「間違いは誰にでもあるからな、謝罪をするなら問題ない」
「同感~」
「私は別に気にしてないので」
「俺も気にしないです」
「僕もです」
「と、うちのメンバーは言ってるから問題ないわよ
因みにアンタのところのギルドって他にもこの森にいたりする?」
「ありがたい!
あぁ確かにこの森にいるな
12時より、ここのボスモンスターの討伐を考えていてな
今はそれまでの準備時間に当てている
我々は戦力増強を考えて狩りをしていたところだな」
「ん~、じゃぁ迷惑料代わりにここのボスの外見だけでもいいから教えて頂戴
それさえわかったら、なんとな~くで対処できるだろうから」
「成程、それぐらいですむなら
ここのボスは魔法を使える熊だ
属性は風、50%を切ったら火も混じる」
「あら、そんなに教えてくれるの?
風と火ってことは……厄介ね、了解したわ
私たちは後1時間で帰るけど、この近辺から動かない予定だからよろしくね
ボス討伐上手くいくことを祈っているわ」
「了解した
こちらこそ迷惑になってすまないが、そちらの狩るスペースには踏み入らないことを誓おう」
なんとか、無事トラブルは回避できたようだ。
良かった良かった。
因みにこんな風に上手く収まることって少ない気がするなぁ……。
水掛け論になることが多い気がする……。
あっラルーア大森林編は大体5か6ぐらいを目処に考えてます。
その後イベントに入りますのでお楽しみに。
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