道中
買い出しに行こう。
というわけで、俺たち3人は魔王城を出発して、街へ向かった。
この買い出しには、問題が2つある。何しろ周囲は魔物に支配された土地だ。つまり、買い出しができる街が遠いという事と、道中は魔物に襲われる危険があるということだ。
もっとも、その魔物を狩猟して生活資金にしようと考えているのだから、襲われることはむしろ歓迎するべきかもしれない。
「誰に喧嘩売ってるのよ。」
魔王が一瞥すると、襲いかかってきた魔物が急に方向転換した。さすが魔王。
その魔物は、電気女に襲いかかる。
「サンダァァァ!」
電気女の放電攻撃。魔物A~Gに1500のダメージ。
魔物Aは倒れた。
魔物Bは倒れた。
魔物Cは倒れた。
魔物Dは倒れた。
魔物Eは倒れた。
魔物Fは倒れた。
魔物Gは倒れた。
魔物の死体を手に入れた。
「おお~。」
拍手して観戦しながら、電気女の電撃を「複製」しておいた。「複製」と「合成」を繰り返して強化するのも忘れない。これで俺の攻撃手段のバリエーションが増えた。
ちなみに俺は、襲われないように魔王のそばに控えている。へたれ? いやいや、安全地帯があるんだから使うだろ。誰だってそうする。俺だってそうする。防御面は2人より上だが、怖いし、痛そうだし、やっぱり本能的に嫌だ。
「あんたたちも戦いなさいよ!」
放電攻撃を免れた魔物と格闘しながら、電気女が叫ぶ。
俺は魔王と顔を見合わせた。
「じゃあ。」
「遠慮なく。」
魔王の攻撃。ダークエナジーボール(適当命名)。魔物の群に1500のダメージ。
追加効果「爆風」が発動。魔物の群は木っ端微塵になった。
俺の攻撃。ハイパービーム。出しっ放しで右から左へ薙ぎ払う。魔物の群に3000のダメージ。
魔物の群は蒸発した。
あたりには肉片が散らばっている。魔物の死体は手に入らなかった。
「ほらね?」
「俺たちが攻撃したら売り物にならなくなっちゃうんだよ。」
今ので魔王の攻撃も「複製」できた。強化しておこう。
ともかく、俺たちの攻撃は威力がありすぎる。手加減というのも難しい。攻撃技が「技」としてパッケージ化されているせいだ。つまり、「手加減した銃撃」というのが不可能なのと同じである。どこに当てるかは選べても、威力は抑えられない。
そういうわけで、電気女に頑張ってもらうことになった。