表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/11

初めての錬金術 自衛の準備

 転生した。

 周囲は草原で、人間も動物も魔物も見当たらない。好都合だ。

 とりあえず、自衛のためにいくつか作っておきたいものがある。武器の類と、大容量の魔法の鞄だ。

 作り方は簡単だ。


 まず武器。武器なんてものは基本的には「多くのエネルギーを」「命中させる」ことで「対象を破壊」するだけだ。草原にはエネルギーがある。たとえば風力、気圧、重力、日光。ここでは扱いやすそうな日光を使ってみよう。

 日光を「複製」して増やし、それを「合成」して強烈な光にする。さらに「変形」で形を整えてレーザー光線にすれば、レーザー銃のできあがりだ。1度作ってしまえば「複製」でいつでも再現できる。どんどん「複製」と「合成」を繰り返して、攻撃力を上げていく事もできる。


 次に、大容量の魔法の鞄。

 まず着ている服を「複製」して、増やした服を「変形」で鞄の形にする。

 その鞄に「合成」で周囲の空間を合成してやれば、鞄の中に広大な空間が合成されて、大容量の鞄ができる。

 さらにそこから「分解」で重力を分離する。こうすれば、いくら荷物を詰め込んでも重さを感じないで運べる。


 あとは防御力に不安が残る。

 それと探知魔法的なものがあるといい。

 ……どうやって作ろうかな。

 防御力は、頑丈な素材を「分離」して、その「頑丈である」という性質を「合成」で強化すればいいだろう。しかし魔法が存在する世界だと神様が言っていたから、魔法に抵抗するための装備もありそうだ。これを同じ手順で強化すれば、重武装できる。

 探知魔法的なものも、使える人から「複製」すればいいだろう。俺自身を材料にすれば、他人から「複製」した能力を俺に「合成」できるはずだ。

 どっちにしても、問題なのは最初の1個になる材料が、近くに見当たらないことだ。

 しょうがない。街へ行くか。


「見つけたぞ、魔王! いざ、尋常に勝負!」


 女が剣を向けてきた。

 女剣士? 女勇者? どっちでもいいが、


「俺は魔王じゃない。」


「嘘つけ。こんな魔族に占領された地域のど真ん中で、お前みたいに人間そっくりの格好をした奴が、他に居るものか。」


「そう言われても、転生してきたばっかりで、ここに来たのは俺の意思じゃないし。」


 神様のやつめ、とんでもない場所に放り出してくれたな。

 錬金術を要求したのが気に入らなかったのか?


「転生? あんたも転生者なのか?」


「あんた『も』って、あんたもか?」


「うん。そうなんだ。いやぁ、初めて自分以外の転生者に出会ったよ。

 どこから来たの?」


「2020年の日本からだが。」


「マジで!? あたしも日本人なんだけど!」


 キャッキャとはしゃぐ女。

 その振る舞いから見て、精神年齢は10代後半ぐらいだろうか。肉体の年齢とそう違わないようだ。


「そうか。

 そんな事より、俺を魔王と間違えるような場所で、あんたは何してんだ?」


「一応これでもSランク冒険者ってやつで、魔王討伐の依頼を受けたんだよね。」


 勇者じゃなくて冒険者……しかも、討伐を依頼される魔王……ただの害獣扱いかよ。

 しかし、魔族に占領された土地と言っていたから、数とか支配力とかはそれなりに凄そうだ。


「この世界について教えてもらいたいけど、とりあえず魔王倒しに行こうか。」


「オッケー。ばっちり教えてあげるよ。

 じゃあ、とりあえず魔王倒しに行こ!」


 そんな感じで、かるーいノリの魔王討伐が始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] この場合、“転生”じゃなく“転移”じゃないの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ