6/10
⑥メルヘンオバケT-shirt
【オバケだぞ~】
という文字と共に、パステルカラーで彩られた、ポップなオバケのイラストの描かれているTシャツを、着ている友達の美人がいる。
友達は、Tシャツのラフさとはまったく異なる、ドレス風の白いスカートをはいていた。
しっかりとしたレースがあしらわれていて、とても美しいスカートだった。
二人でカラオケボックスに来たけど、視線はずっと、友達のTシャツに向いていた。
私と友達は、元気な曲を入れて、歌って歌って歌いまくった。
私の番が終わり、トイレに行きたくなったので席を立つと、暗い音楽が流れてきた。
かなり暗いことで有名な、怨んで怨んで怨みまくるあの曲を、友達は入れていたのだ。
呪うような曲を一人で歌うことが嫌なのか、友達は必死で私の上着のすそを掴もうとしていた。
【オバケだぞ~】
そう書かれていて、メルヘンなオバケのイラストが描かれている、その友達の着るTシャツに、私を引き留めるために、手を軽く前に出している友達の姿がよく似ていた。