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その三

ブックマーク二件ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします

「自己紹介が遅れたね。僕はギルシュ・ハーバリー。君は?」

「えと、アイリスです」

「アイリスか。素敵な名だね」

「お、おっふ……。……ありがとうございます」


 なんだ、なんなんだこのキラキラスマイルは。つい変な声が出たぞ。


 現在、パーラーにて。ギルシュさんにされるがまま豪華な椅子に座らされ、自分の身に起きたことについて頭を抱えている間に豪勢なお食事がテーブルに並べられ、考える暇もなく、とりあえず朝食食べてから考えようということで落ち着いた。

 さて、皆様は貴族がどんなものを食べているかご存知だろうか? この頃の庶民の朝食は大体トーストにスクランブルエッグ、あとカリカリのベーコンだ。私も毎日同じものを食べて生活していた。(私の場合、劣悪な環境に居た為、食べられなかった時もあるが、それは今は考えないものとする)だが、貴族がそんなもので事足りるはずもない。

 簡単に言ってしまうと、貴族の朝食はちょっとしたバイキングだ。種類豊富なパン、ジャム、バターたち。あと甘味の少ないパンケーキに可愛らしい一口ケーキが山のようにある。この中から好きなものを執事やメイドさんが分けてくれるのだ。ひい、恐ろしや恐ろしや。

 庶民暮しだった私は当たり前のように全種類取ってもらう。遠慮? そんなものしたら後悔するだけですよ奥さん旦那さん。


「はっはっはっ。アイリスはよく食べるねえ。いい事だ。小さい時は沢山食べて大きくならなければな」


 ほらほら、ギルシュさんもこう言ってるし。これから先、こんなお食事きっと食べられないし。今まで食べられなかった分をここで消費しろというわけなのだ。よーし、たらふく頂くぜ!  いただきまーす!!


***


「ふう……食べすぎた」

「本当、よく食べたねえ。久しぶりのご飯だったのかい?」

「そう……ですね。ずっと走りっぱなしだったので」


 ごちそうさまでした、と心の中で呟く。日本の習慣である挨拶をここで声に出すと疑問に思われてしまうからね。


「さて、少しお話をしようか」


 私はメイドさんからもらった紅茶を口につけながらギルシュさんの話に耳を傾ける。


「君はこれからどうしたい?  親御さんのところに帰る……といっても今の君の状態を見ると無理そうだし、下手に街を彷徨いて君が森の中で逃げていた奴らに見つかる、という可能性もある」


  これから、か……。今まで一緒に暮らしてた家族(仮)は家と共に消えてしまった。それ即ち帰る家がない。盗賊がいつどこで私の命を狙ってくるか分からない。まあそこは何とかなるような気がするけど一応ヤバい。なんか考えてみると私って結構絶体絶命なのね。ケーキが美味しくて忘れてたけど。

 そう思った瞬間手に力が入った。ギリギリと爪がくい込んで痛いけど止めることができない。怖いという感情はないのに、黒い靄がかかって先の事が見えなくなってしまった不安が小さくなってしまった私の胸にのしかかってくる。どうしよう、どうしよう。これから私はどう生きていけばいいんだ。今度こそ、今度こそ私は生きのびてやると、決心したばかりなのに。


「アイリス、顔色が悪いよ。大丈夫かい? ……ごめんね、困らせたかった訳じゃなかったんだ。」

「いえ……。こちらこそ……迷惑をお掛けして」

「子供がそんなこと気にしなくていいんだ。むしろいっぱいかけてくれ。僕は君の力になりたいんだから」


 うっ……!  なんていい人なんだこの人は。ちょっとだけ病んでた私の心が晴れた気がする。さすがイケメンパワー。強すぎる。


「お悩みのお嬢さんに一つご提案だ。有無の判断は君に任せる。聞いてくれるかい?」

「はい、なんでしょう」


「僕の娘として、一緒に住まないかい?」


「……ごめんなさい。私難聴で。もう一度お願いできますか?」

「僕の娘になってくれ。養子だよ養子」

「……はあ」

「絶対理解出来てないよね。それか本当に難聴なのかい?  もう一回言った方がいい? 」

「いや……大丈夫です。養子、養子ね……」


 ん?  養子?  養子ってなんだ……え。


「養子ィ!?」

「反応遅いよアイリス」


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