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波乱を生み出す御披露目

成長いたしました~

  とうとう俺も5歳になり御披露目会当日だ。



 今日の為に仕立てあげた、いつもよりちょいとゴージャスな服を着る。さすがのルチルも大事な日なので抱きつくのを我慢しているが涎でてる。その涎付けないでよね、、


「ミズキ様が、こんなにかっこよく見えるなんて可愛いだけじゃないなんて反則ですよ~」

 ルチルが呟きながら悶えている。


「ほんとっ!?似合ってる?」


 俺もルチルの言葉に嬉しくなってしまう、ルチルは笑顔で「とってもお似合いですよ」と言ってくれるし。


「じゃあ、行こっか」


 アウン!


 いまだに出会った頃とあまり大きさが変わらないティアが一緒について行きますと言わんばかりに吠えるが頭を撫で、優しく語りかける。


「残念だけど、ティアはお留守番ね?他の皆がティアの事見ちゃって驚いちゃうから」


 クゥン。


 流石に公爵家の皆はティアに馴れているけど今日集まるお偉いさん達はなんて言うかわからないがいい反応はしないだろう。


 もう御披露目会は始まり間近まで来ている。主役が遅れるわけにはいかないよね。


 俺は会場裏でスタンバル事にした。父様の合図でルチルと一緒に会場に入るのだ。ああ楽しみだな~








 ~ある者視点~



「はぁ~やだな、なんで行かなきゃ行けないんだろ…」


 私は、気分が重い…いつもパーティーの時私は周りの貴族の子にいじめられている。


 ドレスを汚されたり、バカにされたり。しかも他の貴族達は私の事を見て見ぬふりをするし、初めて会った子も周りの貴族達に感化されて一緒になっていじめてくるんだ。


 父様は毎回私に謝ってくれる。商人からの成り上がりだから強く出れないんだって事は、私も知っている。だから私も我慢しなきゃ、今日は公爵様の息子さんの御披露目会だから私は我慢するんだ。



 ~ある者視点終了~









 大きな会場に、多くの貴族や大商人や軍隊長級の大物達がいるなか会場に大きな声が響き渡る。ウルス・ハーヴァントだ。


「本日は、息子の為にお集まり頂き誠にありがとうございます。私の息子も大変喜ばしい事でしょう。では、ミズキよ入ってきなさい」


 その言葉の後に、扉が開き一人の少年がメイドを連れ歩いていくる。会場は静まりかえった。


 会場の皆が見惚れる程にその少年の容姿は素晴らしいそのものであったからである。


 少年が公爵の横の位置まで移動すると。


「皆様、本日は私の為にお集まり頂き大変喜ばしいしだいであります。お初にお目にかかります。ハーヴァント家の次男のミズキ・ハーヴァントでございます。まだ、未熟ゆえ礼儀がなってないかもしれません。どうかよろしくお願いいたします」

 歳のわりに堂々と挨拶をした。


「では、皆様どうかおくつろぎください。公爵家の誇りを持っておもてなし頂こう」


 公爵の一言で貴族達や大商人達が自由に会話を開始する。


「本日は来ていただきありがたい」


「容姿だけでなく、頭も良いときたか公爵家は安泰ですな」


 裕福そうな肉体の貴族をかわきりに、公爵は息子のミズキを連れ挨拶周りを始めた。




 ふぅ~やっと終わったよ。挨拶周りって大変過ぎ…まあ、人が多いほど喜ばしい事なのだろうけど。


 俺はやることも無くなったので父様に話して来なさいと言われたので可愛い女の子がいないか探す事にした。周りを見渡すと子供達が一人の子に対して何かを言っているようだ。言われている子は必死に耐えてるような顔をしている。


「まったく、この世界にもあんなやからはいるのか…」


 俺は、呆れながらもその子に近づくため小走りで向かった。





 ~ある者視点~




「うゎ~またいたよ。こいつ~」


 男の子が私に対して言ってくる。


「まったく、やはり元が駄目だと着るものも駄目ですわね」


 自分に自信がありそうな女の子が便乗するように母様が用意してくれた服までバカにしてきた。


 私は、堪えるので限界で今にも泣きそうなのを耐えている。だって、ここで泣いたら父様にも迷惑がかかるし公爵様にも失礼になってしまうから…


「きっと、ミズキ様もあなたみたいな成り上がりが来たら嫌だって」


 私が堪えているのを震えていると勘違いしたのかどんどん言葉がエスカレートしていく。


「なら、この飲み物をかけてみないか?そしたらこいつは会場をでなくちゃいけないし。自分でこぼしたせいにしたらこいつの家も公爵様に対して迷惑をかけた事になるし、ミズキ様もそしたら幸せだろ」


 裕福そうな肉体の男の子が飲み物が入ったグラスを手にそんな事を子供達に言った。


 その意見に賛成するように周りの子達もニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべる。


 大人達も気づいているが止めにも入らない。私はもう堪えるられなかった…


 どうして誰も助けてくれないの、もう嫌だこんなの。一粒の雫が頬を伝う…


「泣いてんのか?ほらプレゼントだ」


 そう言いながら、飲み物の入ったグラスをこっちに向け中身が飛ぶように勢いをつけて飛ばしてきた。



 ああ、父様、母様ごめんなさい…リンセットは迷惑をかけます…私は目をつぶる…




 なんだか、周りの大人達がざわざわしてきた。


 おかしいな?私にまだかかってないのに…私は目を開けた。そしたら目の前で一人の男の子が私を庇うように立ち塞がり髪から液体が滴らせている。


「えっ、、、ミ、、ミズキ様?」


 周り大人達が騒いでいるのは目の前でミズキ様がずぶ濡れになっているからだ。さっきの子供達も青い顔をしている。


 ミズキ様がこっちを向き、私の頬を触る。私は顔が強張りながらも耐える事にした。


 ミズキ様は、私を安心させるように微笑むと流していた涙を拭いてくれる。そして子供達に言い聞かせるようにミズキ様が口を開いた。


「まったく、女性に涙を流させてはいけませんでしょ。はぁー、あなた方は一人の女性相手に複数で涙を流させるなんて何を考えているのですか?」


 一人の子供が焦ったのか裕福な少年を指さしながら弁解を始める。


「成り上がりだからだって彼がかけようぜって、そしたらミズキ様が喜ぶからって」


「っ!? なぜ、私のせいになる?お前らだって頷いたじゃないか!」


 子供達がお互いのせいにしあっている。



 ミズキ様はそれに対してイライラしたのか。肩がぷるぷる揺れている。


「コホン、成り上がり?確かな実績を残したから国に認められたのですよ。国には必要な人材です。それと私は複数で一人をいたぶる行為を見ても気分は良くはなりませんし、むしろ不愉快です」


 ミズキ様が張りのある声で子供達に言い切る。するとぱちぱちと手を叩く音が横から聞こえた。




「ハッハッハッ息子ながら良く言い切ったではないか。なあ?ギルファート殿?」


 公爵様が隣の人に、語りかけている。良く見たら父様?


「私の娘が大変失礼をいたしました。しかし、ミズキ様の心に響くお言葉誠に嬉しゅうございます。」


 父様が若干涙目で公爵様と喋っている?


「誰か、ミズキを裏に連れてってくれないか?皆様が困惑されておる」


 公爵様の一言で屋敷のメイドさんが二人程ミズキ様に近づいてきた。



「ミズキ様。濡れたお身体では体を壊してしまいます。こちらにお越しください」


「ああ、わかったよ。ルチル。ええっとギルファート家のお嬢さんも一緒に来ないかい?」


 ミズキ様が私に声をかけながら手を差し出してくる。困って父様の方を見ると頷かれた。


 私がミズキ様の手をとるとミズキ様は微笑んで引っ張ってくれた。



 私を、守ってくれる人がいるんだ、なんだかまた涙が出てきそうだったが私は笑って堪えることができた。


 そして、ミズキ様と私達は扉から会場をあとにする。




 ~ある者視点終了~

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