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未知との会合?いいえ相棒が理想です!

遅くなって申し訳ないです、、

「来たみたいだね」


 門で待っていると複数の馬車が敷地に入ってくる、そう商人の一行である。あの馬車から降りた禿頭の怖い顔のおっさんが代表か何かなのかな?


「これはこれはサルス殿、随分と早いご到着ですが何かおあせられたかな?」


 執事のボーンと私兵を二人ほど連れた俺の父様、現公爵家当主のウルス・ハーヴァントが出迎えた。でもなんでだろうか確かに父様は強面な公爵家当主だが実際は気さくである。だけど今まで門まで商人やお客さんを迎えに出るなんて事してなかったと思う。


「ウルス様、申し訳ありませぬ。実は、、」

「まあまあ、ここではなんですしどうぞ私の屋敷に」


 禿頭のおっさんが申し訳なさそうに父様に頭を下げると屋敷の方へ行ってしまった。


 うーんどうしようかな、一行の他の皆さんは庭で待ってるみたいだし、、、

 よし、話しかけにいこう!怖い人は嫌だから女性の方にしよっと。別に下心はない!うん無い、、無いと思いたい、、


「ねえねえ、ルチル~」

「はい、なんでしょうか?」


「あの人達とお話ししてきてもいいかな?俺商人方たちに屋敷の外の事聞きたいな~って思っちゃって、、駄目かな?」


 必殺子供だからできる上目遣いのわくわくした瞳をルチルに向ける、、とうとうこれを使う時が来たとは、

 思ったより恥ずかしすぎるぞ、しかも体力がゴリゴリ削れていく気分だ。子供ってすごい、、


「うっ、流石にそれは反則ですよミズキ様、、しょうがないのでお話ししてきても構いませんよ。ですが、もしもの事があったら困ります、ですので兵士を護衛につけてください」


「ありがとルチル!大好き!!そこの兵士さん一緒についてきてもらってもいい?」


 たまたま歩いてた兵士のおっさんに声をかけてついてもらうことにする。後ろでルチルが悶えているみたいだがいったいどうしてだろうか?まったく周りの人若干引いてるからやめてもらいたいところである。


 だが、今はそんな事よりお話だ、、おっちょうどいい所にお姉さんがいるではないか。あの人に話しかけようっと。丁寧語だよな丁寧語っと、、


「あのお姉さんちょっといいでしゅか?」


 噛んだだと!使用人の方以外最近話してなかったから思ったよりも緊張していたらしい、、もうやだ、、


「えっと、ここの家の子かしら?、、どうしたの、、!?どうしましたのでしょうか?」


 やさしく気さくに話かけてくれたお姉さん、、それなのに兵士のおっさんの睨みの性でちょっと震えちゃってるよ、、どうしたもんかね.


「大丈夫だから兵士さん、そんなに睨んじゃったらお姉さんびっくりしちゃうよ?」


「ですがミズキ様、、」


「大丈夫大丈夫。お姉さんとすこしお話しするからちょっと後ろにいって~」


「はぁ~、お気をつけください」

「ごめんね、、、でも、ありがと!兵士さん!」


 さて、兵士さんも後ろに行った事だしお姉さんとお話だ、何聞こうか。


「びっくりさせちゃってすみません!気にしないから最初みたいに話してくれたら嬉しいな~」

「は、はぁー。ですが…」


「いいのいいの。それよりお姉さん達って商人さん達なんだよね?何を売ってるの~?」


「正確には私は売り子(看板娘)ですが、扱っている商品は娯楽品の絵や骨董品から魔物などを売っております」


「へぇ~魔物さんいるんだ!やっぱり高いの?」

「やはり、魔物ですからお高くなりますね」


 やっぱり高いのか。まあ、俺公爵家だから買えなくもないと思うけど、どんな魔物扱っているか見せて貰えないだろうか。


「ねえお姉さん。魔物さん見たいなー。見ちゃだめ?」

「ちょっと待っててね、聞いて来るから」


 そう言ってお姉さんは少し離れた所にいる男の人の方へ行ってしまう。

 ここからじゃ何を話してるか聞こえないが、男の顔があたかも嫌そうな顔をしているのが分かる。

 これはだめっぽいな、、あっお姉さんが戻ってきた。


「えっとね、君一人じゃ危ないから兵士の方についてきて貰うなら見ていいって!どうする?」

「見る!ちょっと待ってね、兵士さん連れてくるから」


 俺はさっきの兵士のおっさんにまたもお願いしてついてきてもらった。いやー何回も行ったり来たりさせてごめんね兵士のおっさん。


 おっさんを連れてきたらお姉さんが馬車の入り口から手招きをしている。馬車なんだが、回りから見えないように布で天井や壁が作られており個室みたいだ。


 お姉さんに続いて馬車に入ると、何個かの檻が重ねられて置いて有った。中には、白に黒い曲線が入ったヘビや鷹のようだが羽が炎で出来ている生き物などがいる。これが魔物、、、可愛い、、


「危ないから手をだしちゃだめよ?」

「うん分かって!ねえ、檻の中にいるのって全部魔物さん?」


「そうね。ここに居るのは売り物用の魔物。捕獲したり、取引で仕入れたりして調教し終わったら販売するのよ」

「へぇ~皆人馴れしてるんだね。あの子は?」


 俺が気になったのは隅っこに置いてある檻。中には子犬サイズの体毛に氷が付着している狼?が縮こまっていた。見るからに元気が無さそうである。


「あの子は最近魔物ハンター。捕獲してきて売る人達の事ね。その人達が買い取ってくれって言ってきたから買い取ったのだけれども誰も種類がわからなくて困ってるいるの。それに怪我をしている見たいで食べ物も食べてくれないし」


「回復魔法で治さないの?」


「よく知ってるわね君。勿論治そうとして呼んだのだけれども回復魔法を反射しちゃうのよ、この子。それで何も出来なくて」


「魔法って反射されるの!?」


 魔法反射なんて聞いた事ないぞ。


「ええ、一部の魔物や人間なら反射は出来るわよ」


 んっ?待てよ、、魔法は反射できるけど魔導ってどうなんだろ。今まで魔導使ってる人見たこと無いんだよな~


「お姉さん魔導って知ってる?魔法じゃなくて」


「魔導?ごめんね知らないわ、それに始めて聞いたわね魔導なんて」


 多くの人に聞いた分けではないが魔導はこの世界に無い可能性が高いな、ルチルも知らなかったし。

 じゃあ、俺のステータスの魔導ってあるが、、よし試して見よう。


「あの子に試したい事あるんだけどいい?」


 許可をやっぱり取っとかなきゃね。少し考えてお姉さんはオーケーしてくれた。


「ちょっと離れててね、、、」


 あり、魔導ってどうしたら使えるんだ?普通に想像するだけだと魔法になってしまうと思う。魔法と魔導の違いは、、、神様の話のままだとこの魔導は俺が昔考えた痛い黒歴史のなんだよな。


 あのとき俺は、魔法より強力なのが魔導で呪文が必要とかの設定にしていたような、、確か四つあった気がする。

 ものは試しだ!恥ずかしいが設定の呪文を唱えるとしよう。狼がこのままじゃ可哀想だもんね。


 まず、想像じゃなく創造をし両手を重ね狼に向けながら言葉を呟く。


「汝が求めるは回復」


「天から注ぐ癒しの光」


「全てを包容し、死の呪縛からの解放の祝福を受け」


「その身に新生を授けよう、至高の悦びを今ここに印す…」


『第一級魔導! 癒しの祝福(ブリスファート)


 言い終わったが反応は無い。このままじゃいきなり意味分からない呪文唱えた子じゃん!

 てか、なんだよ一級魔導って、、、恥ずかしい、、


 辺りに沈黙の中、両手を狼に向けながら動かない俺。諦めて両手を崩そうとした時、変化が起こる。


 魔法の魔法陣とは比べ物にならない複雑な陣が両手をクロスした前方に出現した。一つだけのその陣は、ぐったりしていた狼の頭から尻尾の先までスキャンするかのように通り、抜け陣は消えた。


 あれ、終わりかよ。魔導が終わったと思うが狼は反応を示してくれない。


「駄目だったか、、」


 諦めて、お姉さんに力になれず謝ろうと後ろを向く。すると、お姉さんの顔が口を開きポカーンとしている。


「えっ、どうし、、」


 アオーン。


 俺が言葉を言いきる前に聞こえてしまった。もしやと思い、再度狼に振り向くと狼が立っていたのである。立っていたって言っても二足じゃないよ?四本脚で立っていた。


 クゥルルクゥルル。


 と狼は何かを求めているみたいだ。狼などの肉食獣に手を差し出す行いは大変危険な行為である。だが、俺は頭の片隅にそれを知っていながら、手を差し出す。


「どっどうも?」


 声をかけながら撫でようと檻の中に手をいれる。狼が視線を俺の顔を見て、その後、手を見る。

 そして、口を開いたかと思うと俺の手を口にパクって入れた。


「あっやばい」


 えっなに、食べられちゃってるじゃんか俺。焦りと恐怖心が俺を襲う。助けを呼ぼうと後ろの兵士さんに顔を向けると唖然としていた。うん、ですよねー


 だって目の前で自分が守る筈の公爵家の子が手をパックンだもん。俺なら現実逃避して夢だと思う所である。


 この状態じゃおっさんは頼れない、ならば俺がやるしかないな。狼が食いついている右手だがしっかり食べられてます、、


「痛みが無い?」


 しかし、食べられている右手からは歯をたてられるとか食いちぎられるなどの痛みは感じられなかった。手から伝わる感覚は、舌でなめ回され、吸い付かれているみたいである。

 痛みが無くてもこのままじゃ困るな、檻を開けて三才児の力でおもいっきり引っ張ると思っていたより簡単に外れる。うぇー、ベトベトする。


 狼は手を開放すると、足下にすり寄ってくる。まさか、こいつ懐いているのか?


 アウ!


 そうみたいだ…多分咥えたのは、じゃれ合いみたいなもんか。そうと決まれば、異世界での憧れの魔物1号決定だ。


「狼さん。どうも、よろしくです!」


 アオーン!


 人間の言葉を理解しているかのごとく、返事をする狼に俺は笑ってしまう。でも、この狼って商人の皆さんのだよね。お姉さんに許可とらなきゃ。


「ねえ、お姉さん。この子買うから頂戴!」


 しかし、無言でふるふる震えているお姉さん。よく見てみると顔がこれでもかって位に青ざめている。

 そうだった、俺って噛みつかれちゃったじゃないか、責任上お姉さんにも有るのか。


「大丈夫だよ、お姉さん。俺が何とかするから」

「でも、、護衛の兵士の方が外に、、、」


 絞り出した声で、呟いたお姉さんの言葉に俺は兵士のおっさんがいないことに今気づいた。


 とにかく外に出ようと狼を胸に抱えて馬車の布からでる。


 馬車の外では、兵士の皆さんが馬車から少し離れ円を作るように大勢集まっていた。


 あちゃー、兵士のおっさん、、、やってくれるな。


「ミズキ様!早くその魔物から離れてください!危険です」


 兵士の中でルチルが叫ぶ、焦ってるなー、あの顔だと。


「大丈夫だよルチルー。この子はもう、相棒なのだ!」


 安全性を訴える俺の声とは裏腹に、胸の位置で抱えていた狼は拘束から抜け出すと、驚きの早さで俺の頭にどかりと居座る。四本の脚で丁寧に頭にへばりついているみたいだ。


「何いってるんですか!」


 困ったな、ルチルはときたま人の話を聞かない事がある。大方、俺が魔物に噛みつかれたとか襲われたとか聞いたのだろう。兵士も少しづつ近づいてきている。まずいな、上手く切り抜く無いと。


「駄目なの?」


 うるうるな涙目をルチルに向ける。まさか、この技を2回も使う事になろうとは、狼さんと一緒に居る為と割りきる。


 必殺のうるうる攻撃に兵士やルチルの行動が止まる。だが、事態とは予期せぬ事が起こるものである。


「ミズキ、一体どうしたと言うのだ」


 父様の登場である。先ほど連れていた兵士と執事、商人の禿げ頭のおっさんも一緒だ。

 さっきまでの回りの兵士が下がる、不味いな、完全に父様に一体が制圧されてしまった。


「父様、相棒の魔物が欲しいからこの子を飼いたい!」


 何か考えているのか父様は止まった。そんな父様に一人の兵が近づく、馬車に一緒に入った兵士のおっさん、、


「聞く限りによれはその魔物に襲われたと聞くがどうなのだ?」


 まったく、よけいな事を言ってくれる。心象が悪くなるじゃないか。


「襲われたわけではないです。口にくわえられ舐められただけだもん!そんな、この子を躾るからお願いします父様!」


 少しの考えているのか父様は目を瞑って止まり、再度目を開いて言葉を吐いた。


「ふむ、ならば勝手にするがよい!サルス殿すまない、息子が迷惑をかけた、あの魔物を買い取ろうと思うのだが」


「父様、、、」


 うおー、流石父様。わかってくれる。


「いえいえ、躾できて居なかった私達側の問題です、折角ですしお譲りしましょう。しかし、あの魔物は弱っていたはずですが…」


「治したの僕です…」


「ほほう一体どうやって?魔法を受け付けなかった筈ですが」


 魔導は言わない方がいいよな、誤魔化さなきゃ。


「えっと、えっと。なんか出来た!」


 説明になっていないが所詮三才児。そうだよ、俺三才児、皆さん分かってそれを!説明ができるわけないよ。三才児だもん。しょうがないよね?

 ふふふ、ふはははは、

 悪者みたいだな俺、、、


「サルス殿、我が息子は、まだ幼きゆえ説明足らずで申し訳無い、後々わかりしだい話そう」


「わかりました。気になりますが、そうするといたしましょう。商談が済んだことですし、では、私はこれにて」


「あの、商人の方!お姉さんは悪くないから酷いことしないでください。お願いします!」


「ミズキ様がそう仰るならばそういたしましょう」


 これで、お姉さんは大丈夫な筈だ、俺のせいで酷い目に遇うなんて可哀想だもの。兵士のおっさんも後でお願いしとかなきゃ。


 禿げ頭のおっさんが馬車に乗ると、手慣れた手つきで商人の一向は行ってしまう。ああ、さらばお姉さん…

 父様も、屋敷に戻っちゃったし、兵士の皆さんもばらけたね。

 よし、この内におさらばしちゃおうっと。


「ミズキ様、、、私は言いませんでしたか?さっき大事な事だと、、、」


 この場を離れようとした俺に今までの離れていたルチルが回り込んでいた。


「あっあれ~。ルルルチル。ななんんのなんの事ですか?そうだ!名前だね。流石ルチル!どうしようか名前」


「違います!もー約束したじゃないですか。魔物に近づかないと」


 こりゃ駄目だ、ちゃんと謝って誠意を見せなきゃルチルさん納得しないや。


「ごめんねルチル。もうしないから許して、、ごめんなさい!」


 クゥンクゥルル、


 狼も謝ってくれているみたいだ。


「絶対ですよ、、、心配したんですから。魔物にミズキ様が襲われたって兵士の皆さんに聞いて、、私」


「ルチル泣かないで。ほら、この子の名前つけよ?ね?」


「名前ですか…?この子の」


 アウン!


「どうしようかな、、」


 名前に困っているときルチルが目元の涙を拭った。もう女の子に涙を流させたくないな、、なみだ、涙、、ティアー、、、ティア。


「ねえ、ルチル。ティアなんてどうかな?」


「ティアですか、いい名前だと。一体どんな意味です?」


「えっと、涙って意味って本に書いてあったよ。もう涙を流させないって想いも込めてだったんだけど、、嫌かな?」


「ミズキ様が決めたんです。素敵だと思います。約束です。女の子を泣かしちゃ駄目と」


「うん!約束」


 こんどこそ、絶対な約束のゆびきりだ。


「よろしくね。ティアも」


 アオーン、


 まるで返事だな。


 これが俺が初めての魔物、、、ティアとの出会いだった。

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