アジト脱出大作戦!!
近々と言いながら三日後とは、、、これいかに。
言われた通りに道を右に曲がるとすぐ病人が居るらしい突き当たりの部屋が分かった。
「聞いておきたいんだけど、感染症と思われる方は何人いるの?」
魔法を使う魔力は心配いらないが、範囲型と単体型があるから聞いておきたかった。俺の疑問に女戦士さんは嫌そうに答えてくれる。見るからに嫌そうにしなくてもいいじゃん。
「5人いる、もう一度言っておくが変な事はするなよ?」
扉の前まで来たせいか、女戦士さんは念を押してくる。ここで悪党なら魔法の効果は肌に触れないと発動しないよ~げへへとか言うのだろうかれども生憎俺にそんな趣味はないからやらんけど。
「分かってますよ。大丈夫で俺も生きて帰りたいですからね」
俺は両手を肩ほどまで上げ呆れた仕草をする。
まあ、普通に帰れるのけど、ここは女戦士さんの警戒心を解いておく為に無理だと言っておく。牢屋の事突っ込まれたら終わりだが。
「ならいい、あまり物音を立てるなよ。中にいるのは病人だからな」
女戦士さんはゆっくりと扉を開けていく。室内は薄く明るいって所か、病人の為かな。続いて中に入り辺りを見渡した。
一番近くのベットにさっき運ばれたクミさんがいて、奥にまだ見たこと無い人がいるな。
仰向けになっているから胴体の所で山が上下している、女性の方か。それにしてもここに来てから男に会ってないな。
「ねえ女性しかいないけど男性の仲間はいないの?」
「女だけで構成されてるからな、信用できないんだよ男は。いつ襲って来るか分からないし、そんな事はどうでもいいから魔法をしてくれ使えるんだろ?」
確かに賊になる男なんて、あくどい奴が多いのだろう。このまま話を続けていたら切られちゃいそうだから、女戦士さんの試すような視線に晒されながらも魔法を唱える。
「眠りし、己の肉体よ、生命の息吹、吹き返せ」
「リアヒールグルス」
詠唱必要な上位魔法の中でより高度な範囲型魔法である。俺の中に溢れる魔力が漏れ溢れ出ていき、病人達を包んでいく。
俺の唱えた魔法と起きている現象に女戦士さんは驚愕していた。そして、悲鳴混じりの声で
「リアヒールグルスだと!?」
ふふ、大方単体型魔法のリアヒールだと思っていたのだろう。だからこそ範囲型を使わせてもらった。
女戦士さんの反応を楽しんでいると効果が出たらしく、今まで病気で寝込んでいた人たちが目を覚ましだす。
最初に気が付いたのはクミさんだった。恐らく発症してからすぐだったから回復も早かったっぽい。今も回復魔法の光で包んでいるからほんのり頬に赤みが増している。
「なにこれ?暖かい、、、、」
クミさんを皮切りに他の人たちも自身の隊長の変化に驚きながらも、どことなく気持ちよくなっていた。
自分に使ってみたときは温泉に入っている感覚に近かったしな。
あの経験は癖になりそうで困る。
「目が覚めたのか?」
女戦士さんは、元病人達に近づいていく当然ながら女戦士さんも回復魔法に包まれ始めた。ああ、女戦士も自分の体の変化に驚いてるよ。病気だけでなくもちろん傷も治せるからな古傷まできちっり治してしまいましょうか。
目を開いて場を確認しているが、今俺動けないしな範囲型の弱点は発動したら暫く動けないのがつらい。
魔法の終了に伴い、充満していた魔力は俺に戻ってくるか露散していくかのどちらかだった。
戻ってくるのは本当に少量の魔力だからあまり意味は無いけど。
一応確認の為に皆さんに声をかける。
「あの、魔法終わったけど治ったよね?病気の他に怪我とか傷も治しちゃったけど良いよね」
上半身だけあげているクミさんの近くにいた女戦士さんは自信の傷があったらしい場所とクミさんの状態を確認して、驚いた顔でこっちにやってくる。
「皆無事に完治したみたいだ。先ほどは疑って悪かった、礼を言わせてくれありがとう」
女戦士さんが頭を90度下げた。女性の人に頭をずっと下げさせるのは俺の美学に反する。
「自分の為にやったから頭を上げてよ、女戦士さん」
言った後に、我ながらきざなセリフで恥ずかしくなってくる。
「あのだな私は女戦士と言う名じゃなく、ちゃんと」
部屋のある一方から、突然の轟音で女戦士さんの言葉は止まった。
「何があった!敵か!?」
びっくりして後ろをむくと轟音の正体は背後にあったドアを蹴破って突入してきたボスさんだった。魔法の強さで感づいてやってきたのか。やはり、この人強いな。
臨戦態勢で入ってきたボスさんはまず俺に視線を向ける。
「お前牢にいるはずだろ、、、?なんでここに、、、、お前ら起き上がれんのか?」
俺に対して殺気を向けたと思ったら、俺の後ろで起き上がっているクミさん達に気づき目をぱちくりしている。
その仕草がちょっぴり可愛いと思ってしまった。ボスに説明しようと女戦士さんが前にでてくれた。
「ボス、皆が回復させたのはこの坊主がやってくれたんですよ」
俺の背中を押して女戦士さんの横に並ばせられた、奥のベットで何があったか分からなった人も今俺が自分を回復させたと気づいたのだろう、驚きの表情でこっちを見てる。
まあ、7歳児が高位魔法師並みの魔法使ったら驚かれるか。
「本当にお前がやったのか?」
嘘は許さないって瞳が語っている。嘘も言う必要もないのでそのままを伝える。
「ふっふふ、そうですよ!俺がやりました」
「そうか、、、皆を助けてくれてありがとう」
ちょっと悪戯半分に答えたけど、素直にお礼を言ったボスさんに少し気圧された。
「いえ、俺も生きて帰りたいので治しました。これで屋敷に帰してもらえるんですよね?今頃、屋敷の皆が困ってると思うので」
先ほどの強がりもなく何故か敬語口調になってしまった。
この時俺は、普通に帰してもらえると思っていた。けれど、ボスに軽く打ち砕かれる。
「そうしてやりたいんだが、できない。お前を全部は信じきれないから無理なんだ。公爵家のお前を拐っちまったわけだしな」
ボスから申し訳ないって気持ちがひしひし伝わってくる。困ったな、なんだが責めようにもせめられないのが辛い所だ。
「じゃあ、自分で出ていきます」
一瞬俺の言葉に呆気にとられたボスや女戦士さん達は、すぐさま濃厚な殺気を放つ。
たが、俺は止まる気も無いので使いこなせるようになった人間ジェット、改め魔脚をするために足裏に魔力を溜める。
このぐらいで良いかな。
「手荒な真似はしたくないんだがな!」
女戦士とボスが飛びかかってきた。さっき、ボスがぶっ飛ばした元扉を確認して最後の別れの挨拶をすませる。
「おとなしく捕まる気は無いから、じゃあバイバイ」
魔力を足場で爆発させ、反動を利用し扉があった空間を駆け抜ける。
「かっこつけたら迷う訳にはいかないよなー」
このアジトは迷路みたいに、いりくんでいたから宛もなく走り続けても時間の無駄になってしまう。
こんな時、ルチルに教えてもらった魔法の使い所か。
自分を中心に魔力の波を放つ、そして魔力の波は壁を反射し先へ進んでいく。しばらくするとかひとつの魔力の波が洞窟の外にでた感覚が魔力から伝わる。この魔法は、ソナーの高性能版みたいなものだ。
壁にぶつかった波は反射しそしてぶつかるまでまっすぐ進む、いずれ洞窟外にでたら俺に伝わる。
便利な魔法だが閉鎖的な洞窟とかでしか使えないのが難点だ。
魔法のお陰で出口がわかったので、道を間違えず最短距離で出口を目指す。
「右、左行って次にまた右行って、、、、お、見えてきたぞ」
洞窟の通路の人口的な明かりから、屋外の自然的な明かりに移り変わる。
早朝に拉致られたのに日は高く昇ってるからお昼くらいの時刻か。拙い、もう屋敷で大騒ぎになっているはずだ。
「てか、ここどこだよ、、、」
戻ると言っても外にでたら全くしらない森の中なんですけど、攫われた時は気を失っていたからどっちから来たかわからなにのだが。
洞窟の入り口で黄昏ていると洞窟の中から駆けてくる音が近づいてくる。賊の皆さんが追いかけてきたのだろう。こっから離れるとするか。
しょうがなく森に突入した。草木を神速の風でたなびかせ、走りぬけていると前方を遮る大型のオークと遭遇した。オークもこっちに気づき雄叫びをあげる。
「まったく不幸な一日だよ、ベェノムスピア」
右手よりちょっと離れた空間に紫色の実態を掴めない槍が現れた。俺は何ももっていない右手をまっすぐオークに向けて振り下ろす。
一見何もないように見えるが連動して滞空していた槍の形をした紫色のふわふわはオークの方に飛んでいく。ちょっぴり遅いせいで奥の腕によって遮られ形を失うがこれからがこの魔法の真価を発揮するのだ。
「呑みこまれろ」
霧状になったベェノムスピアはオークを包み込んでいく、オークは手を振り回して掻き消そうとしてるが次第に動きが衰えていく。とうとう片膝をつくと流れるように前に音をたてながら倒れた。
オークの骸は、眼球が白く染まり、口から泡を吹いている。
「初めての魔物戦だったけど、ルチル言う通り馬鹿な魔物には毒魔法は効果覿面で良かったー。ルチルに感謝かんしゃっと」
既にこと切れているオークの横を通って先を急ぐ。
少しづつ木々が高くなり葉が覆い重なって暗くなっていることに気づかず、俺は森を突き進んだ。
いつのまにか気が付いたら100pt超えていました。みなさんありがとうございます!更新頑張るぞ~




