メイドと裏デート
「ああ、おいしかった。次どこ行こうか」
なんとか注文した料理を食べ終わり、食後のミルクを飲みながらルチルに質問する。ルチルもハーブティを飲みながら安らいでいて、さっきの暴走が嘘みたいだ。
「まだまだ時間はありますし、露店を回ってみるなんてどうでしょうか?何か掘り出し物が有るかもしれませんよ。確か町の南側に集中していると聞きました」
露店を見ながら町をぶらぶらするのもいいかも、そうと決まればさっそく行動に移す。
手に持っていた食後のミルクを流し込み、空にしてルチルがハーブティーを飲み終えるのを待つ。どうにも最近待つのが苦手になっているみたいだ。身体年齢の性かな。
「もうミズキ様。早く行きたい気持ちもわかりますが、ちょっとばかし落ち着いてくださいよ」
「そうだよね、ごめんルチル!気にせずのんびり飲んでいて良いから」
そう声をかけたのだがルチルは先程より早いペースで飲み進めてくれる。なんんだかんだ言ってペースを早くしてくれるルチルは優しい、そして飲み終えたルチルはそっとテーブルにカップを置いた。
「さて、行きましょうか」
「やっぱりルチルが専属メイドさんで良かったな、、、、」
立ち上がったルチルに対して気づいたらいつの間にかそう言葉を漏らしていた。
「何かおっしゃいましたかミズキ様?」
どうやら声が小さすぎて聞き取れかったらしい、危ない危ない今の聞かれてたら拙かった。なんでもないと誤魔化し店員にお勘定を渡して風の畔からでる。
もちろんお勘定だがルチルに払わしたわけではない、だって女の子にお金を払わせるなんて自称紳士な俺ができるわけが無い、そんなとき自分のお金として仕える金は前もって母様から貰っているのだ。
自分が稼いだお金では無いのが心苦しい、早く自分でも稼げるようになりたいな。
「本当によろしかったのでしょうか私がミズキ様にお金を払わせる形になってしまって、、、」
「大丈夫だよルチル。メニューもそんなに高くなかったし、平気だって」
今回頼んだ料理の値段は二人合わせて銅貨が15枚程だった。
通貨の価値だが上から順に、白金貨、金貨、蒼銀貨、銀貨、銅貨、鉄貨となっていて100枚毎に1段階上がるから分かりやすい。例で出すなら鉄貨100枚で銅貨に、銅貨100枚で銀貨ってな感じ、そして一般人が持っているの大体が銀貨くらいだ、それ以上の通貨になると貴族ぐらいしか変わらないのである。
まあ、貴族でも金貨を持っているのは中流よりも上で白金貨を持っているものなんて王族や公爵家など一部だけなんだけどね。
てなわけだが、今回俺は銀貨十五枚も母様に渡された。多くないかですかね、5歳児に渡すにしては、、、
だが、露店をルチルと見て周ると驚くことにほとんどが銀貨である、露店高いな。
「私甘く見ておりました、、、まさかこれ程までに物価が高いなんて」
ルチルが銀らしき物で作った髪飾りの値段をみて愕然としている。その髪飾りは銀貨17枚らしい、ぼったくりにも程があるんじゃないか。
「おじさん、どうしてこんなに高いの?」
小さい子だからできる純粋な質問を装う、すると返ってきた答えに俺はどうして高いのか理解した。
「ああ、そりゃあ魔法が付与されてんだよ、がきんちょ。付与の属性は保護、その髪飾りは魔法が解かれない限り錆びないし簡単な事では壊れないのさ。ほら、説明してやったんだから買えないなら他いきな」
手をしっしと振る店主にはいらっとくるがしょうがなく離れる事にする。だが、良いことが聞けた。魔法を付与か、それって俺じゃできなのかね。
「まったく失礼な方ですね。ミズキ様に対してあんな不敬な態度をとるなんて信じられません」
先ほどの態度にルチルは若干怒ってしまったらしい。
「しょうがないよルチル。ほら、さっきの事なんて忘れて楽しもうよ。お店冷やかしながらさ?」
しぶしぶ納得してくれたルチルを連れ、露店の色々な店を冷かしてまわる。すると人が全くよりついてない露店があった。
うん、見るからに怪しすぎるだろ、、、黒い衣で体の前身を隠していて性別が分からない、他の店は普通の服だったし、そして地面に引いた布の上で商品を並べている。でも、あそこの商品がなんでか気になるんだよね。
「ねえ、ルチル。あの露店行ってみない?」
「あそこの不気味な店ですか、ミズキ様がどうしてもと言うなら私は構いませんが、、」
「嫌だったら離れてても良いんだよルチル。一人で行ってくるから」
無理やりは良くないしね。だが、俺一人で行かせる分けにはいかないとルチルもついて来る事になった。
「いらっしゃい、色々な商品が有るから見て行って」
意外にも黒い衣を着ていた人物は女性だった。どこか元気の無い声、それが第一印象である。
店に置いてある品は髪飾りにナイフ、小物入れなど多様にいきわたる。他の店よりは安いが、銀貨20枚などの品もある。
「あのこれは何か魔法が掛かっていたりするのでしょうか?」
「それは、守護の魔法が掛かっている」
守護か、他の店では無かったな、ほとんどが保護だったし。よく分からないでいるとルチルが驚きの声をあげる。
「守護ですか!?それは一部種族しか付与できないと聞きます。まさか、貴方吸血貴、、、、」
びくっと体を動かす女性、確か吸血鬼は魔物だけど吸血貴は知能があって亜人らしい、そしてかなり強力な魔法に種族固有の魔法を使いこなしたり身体能力高く、珍しい種族と教えられた。
しかし吸血貴は人里に姿を現さず、結界を張って密かに暮らしていると聞く。そんな吸血貴が町に来ているんだ何か訳ありなのであろうと予測する。これは釘を刺しとくか。
「ルチル、そんなに驚いたら失礼だよ。すみません」
「そっそうですよね、声を荒げてしまい申し訳ありません」
「いえ、、、」
そっとか細い声で女性が言うのが聞こえた。うーん迷惑を掛けちゃったな、ここはひとつ何か買っていこう。守護の魔法が付与された髪飾りを持ち女性に質問する。
「あの、守護の魔法とはどのような効果があるのでしょうか?」
「守護の魔法には、着用している者を守る力があります。一度だけ大きなダメージを無かった事にできます。しかし魔法が発動しますと付与された品は壊れます」
ほう、一度無効化できるのか。よし良い事思いついちゃった。
「じゃあ、この髪飾りをください」
「はい」
女性に銀貨十枚を渡し、百合の花のような形の銀の細工に澄んだ青色の石が嵌められている髪飾りを受け取った。
「ルチルは買う物ある?」
「いえ私は大丈夫ですよ。質問なのですが髪飾りを着けるのですかミズキ様」
「違うちがうよルチル。えっと、これは日頃の感謝でルチルに渡そうかと、、、いらないかな?」
「いいのですか、こんなに高価な物を私がいただいてしまって」
手に持っていた髪飾りを差し出す。
「いいんだよ、ルチルの為に買ったから。それにお屋敷の皆にもおみやげ買わなきゃね」
「では、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
気に入ってくれたのか、さっそくつけてくれた。ルチルの金の髪には髪飾りが似合う。
「あと店員さん、吸血貴の事は広めないので安心してください。それじゃルチル行こっか」
やはり、ばらされるのが心配だったらしい吸血貴の女性は息を吐く。それを後ろ姿で感じながらまた、露店の冷やかしを始めた。
「結構買いましたねミズキ様。お荷物私がお持ちいたします」
何かの革で出来たバックにかなりの品を入れて持っている俺を見て声をかけてくれるルチル。やっぱり優しいな。
「平気平気。やっぱりいつもお世話になってる皆へのお土産だから自分で持つよ」
だが、しかし俺も男だ。ルチルのような女性に持たせるわけにはいかないので断る事にする。そこ五歳児じゃんとか言わない!
そこへ、遠くから馬車がこちらに向かってくるのが見える。あれは、今回母様のご友人家の馬車じゃないか。
「ねえ、ルチル。あれって」
ルチルも気がついたようで、馬車を眺めている。
「ええ、バレット家の馬車でございますよミズキ様。ですが、どうしたのでしょう」
そうこうしてるうちに馬車が俺たちの前で停まり、馬車から御者をしていた執事服の白い髭を生やし髪の毛を纏めた老人が降り立つ。




