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メイドの密かな喜び

ふぅー、なんとか更新出来ました!

 突然こんな事を言うのもおかしいだろうが。現世で読んでいたアニメやライトノベル主人公達は幼馴染やクラスメートの女子、まあヒロインと言った所だろうか。そんな子達によく主人公が買い物につき合わされているのを見て俺は羨ましいと思っていた。だが、主人公達はため息をついたり、嫌がっていたりする。


 現世でその感情に理解出来なかったが今なら全力で共感できる自信がある。なぜなら、女性との買い物は長かった、、、


「ねえルチル。まだかかりそう?」


「ミズキ様。女性との買い物とは、長いものなのですよ?それに、このベルニナの町に来たのも初めてですし。しっかり選ばなくてはなりません」


 そう、今俺とルチルは絶賛衣服の売っている店で買い物中なのである。場所はベルニア町、母様の友人がいるらしく、母様の付添としてやってきたのだが。

 友人に俺を紹介したあと自由にしていいとお許しをもらえたので町でぶらぶらしようかなっと考えていたら、ルチルの買い物につき合わされる事になってしまった。


 まさか、この前のケーキを引き合いに出されるとは思わなかった。食べ物の恨みって恐ろしいな。


 ちなみにティアは、母様の所で寝ていたからおいてきた。


「でも。その服さっきみて微妙って言ってなかった?」


「先ほどは、合わせる服が無かったからです。このスカートと合わせたら素敵だと思うのですが」


 なんだかんだ言ってこの世界の衣服の出来はかなり良い。逆に通気性や伸縮性、耐久性などがモンスターの特殊繊維や魔法によってかなり高まっていて現世を上回っているんじゃないかな。


 ルチルが見せてくるのは、碧色の明るめな色合いの服だ。元が綺麗だから何着ても合うと言っていいだろう。


「似合ってるよルチル。ほら、ルチルが可愛いからお客さんの注目の的だよ」


「ふふ、ありがとうございます。こちらのお洋服はご購入いたしたいと思います。さて次は、、季節を主にしたお洋服を選びましょうか」


 俺が似合っていると言った服を持ち、上機嫌で別のコーナーに行こうとするルチルに手を握られながら引っ張られる、まだ買うのか。


「どうしました?」


 おっとルチルに心配をかけてしまったらしい。いかんいかん俺のせいでルチルの笑顔が曇るなどもっての他だ。


「ううん、なんでもない!ほら、服選びに行こ。この後他の店も周りたいしね」


「そうですね。行きましょうか」


 ルチルの顔に笑みが戻ってくる、やっぱりルチルには笑顔が一番だ。


 この後結局かなりの時間服選びをすることになり、俺の心は折れかけたのである。


「ははは、いっぱい買ったね、、」


 長い時間かけて数着だけで終わるわけなく、ルチルは貯めていたお金を使い結構な数の衣類を買っていた。と言うわけだが今ルチルも俺も買った荷物は持っていない、俺たちが公爵家の者だと分かると店が屋敷まで届けてくれる事になったのだ。

 ちょっぴり公爵家だからと卑怯な気がしなくもないが、この後の事を考えると大変助かる。


「思ったより買い過ぎてしまいましたね。お次はどこに行きましょうか、ミズキ様は行きたいお店などありますでしょうか?」


「そうだなー、ルチルと一緒にいるだけで満足だけど、しいて言うならお腹減った」


「でしたら、奥様のご友人のお屋敷に戻られますか?」


「う~ん、偶には二人で食べよルチル。ちょっとまってて」


 ルチルをその場で待たせ、ちょうど通りかかった、優しそうなおばちゃんに話しかける。やっぱり、おすすめの店を聞くには地元の人だよね。


「あのー、すいません今大丈夫でしょうか?」


「なんだい坊や。あたしゃあ平気だよ、どうしたんだい」


「ここらへんの食事できる店で、おいしくて女性の方などが頻繁に訪れる店など知っていらたら教えて貰いたいのですが」


「ありゃー、坊やしっかりしてるねー。そうだね、それなら、メイグルさんのお店がおすすめだね。風の畔って店。あそこは夫婦でやっていて、メニューを奥さんが考えていておいしいし、おしゃれだから若い子に人気さ、ここの道沿い先に店があるから行くといいよ」


「ありがとうございます。呼び止めてしまって申し訳ないです」


「いいのよ、じゃあ、あたしゃあ先を行くのでじゃあね。坊や」


 硬すぎたかな、もうちょっと普通に会話してみるか。まあ、お店も聞いた事だし、さっさとルチルの所に戻ろっと。


「もう、急に行かないでくださいミズキ様。心配するじゃないですか」


 ちょっとむくれていらっしゃいますルチルさんが。


「ごめんごめん。お待たせルチル、おすすめのお店聞いてきたよ。あっちだって」


「じゃあ、はぐれないように手をどうぞ」


 最近思うが俺って手を繋ぐ頻度が多い気がする。まあ、幸せだからいっか。


 ルチルと手を繋いで歩いていると視線がかなり集まる。ルチルは美人だもんな~、周りの男たちの嫉妬の感情が俺に向けれれているのが視線からわかる。5歳児にその力の入った目はどうなのだろうか、、、


 それと、女性の方々、俺の事獲物を見定める様にみるのはちょっと、、、嫌じゃないんだよ?でもね、一部見るからに男性なのが混じっているのがいただけません、、


 そんな事に注意をはらっているといつのまにか風の畔と書いてある看板がぶら下がっているお店の前まで来ていた。


「あっ!ルチルここだよ。おすすめの店って」


 へえー、テラスまであるのか、前世のおしゃれなカフェを連想させる外装。扉がオープンに開かれていて、女性が入りやすく配慮がされているみたいだ。


「いい感じの店ですね。ミズキ様、さあ入りましょうか」


 中に入っていくと、女性の店員さんが迎え出てくれる。


「いらっしゃいませ!二名様でございますでしょうか?」


「はい、席空いていますか?」


「空いていますよ。お席に案内いたします」


 店員さんが案内してくれたのは、室内の窓際だった。

 席について周りを見ると昼時だからか女性の方が多く、男性がまったくと言って言いほど居ない。


 まさか、店内の客としている男性は俺だけじゃんか。そんな事を気にせず店員さんが置いていったメニュー表とにらめっこしながらルチルが口を開いた。


「へえー、色々な料理がメニューに載っていますね。お屋敷でも見たことない料理もありますね。ミズキ様は何にいたします?」


「そうだな~、この『レルムンギョの果実添え』っての食べてみたい!」


「なら、私はこれにいたしますか」


 正直言って俺はこの世界の食べ物についてあまり詳しくないんだよね、だから名前からしてよさそうな物を選ぶ事にした。ルチルも決まったらしい。


「ご注文はお決まりでしょうか?」


 ちょうどのタイミングでウエイトレスがやってきた。呼ぶ前に察するとは、この店員できる、、


「えっと、このレルムンギョの果実添えとミュル草のサラダセットをください」


「はい、少々お待ちください」


 店員さんは注文を受けると奥にいってしまう。それにしてもルチル頼んだ物も聞いたことがないな、いったいどんな物がくるか楽しみだ。


 ほんの数分経つとさっきの店員さんが料理を持ってきて、テーブルにおいてくれる。


「ご注文のレルムンギョの果実添えとミュル草のサラダセットになります」


 俺が頼んだ品は、魚の身が軽く炙られている物に赤色のソースが垂らされており、そのサイドに前世のザクロを切ったように見える赤色の果物が添えられていた。


 そして、ルチルのミュル草のサラダセットとやらは白いパンに色鮮やかな植物の葉や野菜の実が挟まれていて、どうやらセットにはスープが付いているらしい、一言で言うならお洒落だ。お洒落がよく分からない俺でもなんとなく理解ができるくらいだし、お洒落に敏感な女性に人気なのは当然の事なのだろう。


「あら、、、おいしい。このお野菜新鮮ですね」


 ルチルが口に手をあて呟く。


 俺の料理だが軽くかけてあるソースに果物特有のほのかな酸味がアクセントになっていてかなり旨い。屋敷の料理長にも負けないと思う。自然と手の進む料理をマナーよく食べているとルチルがこっちを見ていた。ちらちらではない、効果音がつきそうなジーっとした視線が俺に注がれている。


「どっどっどうしたのルチル」


「ミズキ様、私の料理おいしいです。食べてみたいですか?」


 どうしたんだルチル、突然の要領の得ない言葉に頭に疑問が生じる。これは、食べたいと言うべきなのだろうか、それとも断ればいいのか、さっぱり分からない。


「うっうん?どっちかって言うと食べたいな」


 ルチルからは返事が返ってこない、選択間違えたかな。


「、、、、そうですか、食べたいですか。なっなら、はいあーん!」


「ん、んぐ!?」


 おおう、いったい急にどうしたんだ!?急にルチルが口にミュル草のサンドを口に突っ込む。


 口の中にあるパンを必死に飲み込む、危うく窒息しそうだったぞ。そして当人のルチルなんだが俯いている、なんか頭から湯気でてないですか、、、


「どうしたのルチル!?ねえ、ルチル?」


「えへへ、えへへへ、メイドのみんなに自慢しちゃお~。間接キス、うふふふ、そして将来私とミズキ様の秘め事に、、キャッ私ったら」


 やばいルチルが壊れた、まだ他のお客さんは気づいてないが見られたらどうなる事やら。何かルチルを現実に戻せそうな事。


 どうしたらいいんだよ、初めてだよ俺だってあーんなんてされたの。妄想してたくらいだ、妄想だとこの後にさらにあーんが、、、

 そうだ俺もやればいいのだ!何この謎理論、、、


 皿の上にある魚の身を掬いソースと絡めてルチルに差し出す。


「ルチル!はい、あーんだよ!!」


「ミズキ様が私にあーんを、、可愛いです、、、」


 いいから早く食べてくださいお願いします、店員さんや他のお客さんがちらちらこっち見てるから。


「あーん、、、おいしいですミズキ様!いいのでしょうか私だけこんな幸せがあって、メイドのお屋敷の皆に嫉妬されちゃいます」


 やっと食べてくれた、幸福そうだから大丈夫だよな、後さっきから店内の視線が痛い。


「店中の女性のお方が私のミズキ様を狙っています!もの欲しそうな目で見たって駄目なんですから」


「失礼だよルチル。そんなわけないじゃないか、ごめんなさいみなさん」


 ルチルの性格が壊れて色々暴走しかけている。


 流石にまずいので、軽く頭を下げ謝罪の意を示す、皆さん微笑ましそうに笑顔で許してくれるのが助かった。そしてルチルなのだが向かいの席にいたはずが、いつの間にか俺の隣来ている。


 はぁ~、俺の苦労は続きそうだ。




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