訓練は計画的に?
遅くなって申し訳ないです。
明日にでも、もう1話更新するかも、、、
リンセットと別れた翌日から体を鍛える事にした俺はいつもと同じようにルチルとの勉強を終え、一人で公爵家の私兵が多くいる訓練所に着ていた。
私兵の新米隊員のゲイルが近づいてくる。
「ミズキ坊っちゃん?今日はどうしたんで?」
「ゲイルおっは~。えっとね、今日は冒険者に成るための訓練をしようと思って来たんだけど迷惑じゃない?」
「ミズキ坊っちゃんは、冒険者に成るんですか?」
「うん、自分の力で世界を見ようと思って!」
「冒険者は危険ですぜ?」
「でも、成りたいんだ。ゲイルは反対、、、?」
俺は顔を伏せ、涙目になってからゲイルを見つめる。
「ひぇー、坊っちゃん!?反対じゃないですよ。ほら、一緒に訓練しましょうぜ」
「ありがと、ゲイル~」
まんべんの笑みをゲイルに向ける。
ふふ、計画通り、、、理解者は多いに越したことないからね。
「おいおい、ゲイルお前、訓練はどうした。まさか訓練をサボる気か?」
ゲイルの後ろにはいつの間にか片目に眼帯を着け流れる金髪をポニーテールにしている。鎧を着こんだ、きりっとした綺麗な女性が立っており、ゲイルに拳骨した。
「いて!この声はミルア隊長!?自分はただミズキ坊っちゃんの訓練を手伝おうと、、、」
「ほう、口答えをするようになるとは、偉くなったものだな。なあ?ゲイルよ」
「違いますって!坊っちゃん助けてくださいよ~」
えっ、俺にふるかいな。ゲイルさんよ、、、
何かゲイルを庇えるような言葉が見つからず、ミルアの様子を探ろうとそっと目を向けると目が合ってしまった。
「ゲイルサボるのはヨクナイトオモウ」
「そんな、ミズキ坊っちゃん~」
どうも、自分にはこれが限界です。心のなかで合掌を贈っとくぜゲイル。
「では、ミズキ様。少々この新米を教訓し直すので貸して頂けないでしょうか?」
「うん。頑張ってね」
そう言ってゲイルの首筋を引っ張るミルアを見送った。
ゲイルが坊っちゃん、坊っちゃんと連呼してるように涙ながらの声が聞こえたが空耳だよな?
ゲイルも行っちゃったしどうしようか、隅っこで筋トレでもしてますかね。
俺は、いそいそと隅っこの方に歩きだす、途中訓練をしていた私兵の集団に挨拶するのも欠かさず、隅っこにたどり着く。
両手を地面に着けて足を伸ばし、所謂腕立て伏せの体制である。
確か腕が外に広がらないよう、体に平行に曲げるんだよな。うる覚えの知識でやってみるが、中々キツいな腕立て伏せって。
「ふぅー、ふぬぬぬぬ、、、」
目の前で訓練をしている私兵達は隅っこで腕立て伏せを始めた俺に視線をチラチラ向けてくる。
まあ、自分が遣える主がやってたら注目浴びるわけだね。
「ふぅーふぅー、ふみゅー」
「ミズキ様、何ですか、その力が抜けるような発声は」
声のする方を向くと目の前には、腕立て伏せの視線に合わせるため、腰を折った状態のミルアがいた。スカートじゃなくズボンなのが残念この上無いですはい、、、
「ふぅー、なんか出ちゃうんだよね~」
「ゲイルから聞きましたよ。ミズキ様は冒険者を目指すらしいじゃないですか」
「そうだけど。ミルアは反対?」
「私ですか?私はなってほしく無いですね。だってミズキ様と離れ離れになってしまうじゃ無いですか」
ミルアさん、綺麗な顔でなんてこと、仰りますねん、、、胸が撃ち抜かれた様だ。思わず顔に血が回り、熱を帯びていく。
「えっと、あ~と、ぷしゅぅぅぅぅ」
俺の思考回路は混乱の果てショートした。
「ミズキ様!?ルル!ちょっと来てくれ」
「ミルア隊長。なんでしょうか?一体?」
「ああ、何故か急にミズキ様がこの様になられたのだ。私は、どうしたら良い?」
「ふぅ~ん、ミズキ様少々失礼しますね?」
ミルアに呼ばれた、綺麗な女性のルルと言う隊員がミズキのおでこに手を当てる。
「ぷしゅぅぅぅぅ」
「あらあら」
待たしてもミズキは音をたて、今度は倒れこむ。
「ルル、これは一体」
ミルアはミズキの様子を見て慌てて、配下のルルに助けを求める。
「大丈夫ですよ、ミルア隊長。少し風当たりの良いところで休ませてあげましょう」
「そっそうだな」
「すやすや眠っておりますねミズキ様」
「ああ、可愛い寝顔だな」
声が聞こえる、、、
頭に柔らかい物が…当たっているようなそんな感じが、、、俺は、何故か閉じていた目を薄く開いた。
ぼんやりとした視界にはミルアが映る。
「あれ、どうしたんだっけ?」
「あ、ミズキ様が目覚めましたよ!ミルア隊長」
「そのようだな、ミズキ様大丈夫ですか?」
ものすごく、ミルアとの顔が近いです、、、周りを見渡して現状を確認したら、どうやらミルアに膝枕されてたみたいだ。
「大丈夫。心配ないよ」
ミルアとの顔が近くてちょっと照れた笑いで返事しながら、立ち上がる。
「うっ、そっそうですか!」
何故かミルアが顔を真っ赤にして目線をそらした。
「どうしたの?ミルア?」
「ふふっ、ミルア隊長は照れているのですよ、ミズキ様」
「べッ別に私は照れてなど、、、」
ミルアが照れてるだって。ここは攻め時なのではないでしょうか。
「ねえねえ、ミルア。ちょっと耳貸して」
「え、はっはい。これでいいですか?」
ちょっと火照ってミルアは不思議がりながらも耳を俺の身長に持ってくる。
「えっとね、、、ふぅ~」
柔らかい風をミルアの耳に当てた。
「ひゃっ!何するんですか!?」
若干の涙目で訴えてくるのが子動物みたいで可愛い、最初のミルアのイメージが崩れてしまっているが別に良いだろう。可愛ければかまわん!
五歳児が女騎士の耳に息を吹き掛けて喜んでいる。
絵面的に微笑ましいとか言わないで、、、
ちなみに、ミルアの歳は教えてくれない。見た目では完全にお姉さんみたいな感じかな
「さて、休憩もしたしさっきの訓練の続きをしなきゃ!」
時間は有限だからこそ大事にしなきゃならないって言うしね。だけど、何故だろうか?
二人が言い辛そうに苦笑いを作り、目線をサッと俺から目を外す。
「んっ、どしたの?」
「えっと、ですね。ミズキ様ここへ訓練をするってルチルに言いましたか?」
「言ってないよ、言わなくても良いかなって思って」
ルチルがどうしたのだろうか?頭にハテナマークが複数浮かび始める。あれ、なんだろ?
「何かしたっけ?ん、ルチルのケーキ食べちゃった事かな?あれ、みんな顔色悪そうだけど大丈夫?」
ミルアやルルの顔色が真っ青である。
「ミズキ様」
なんでだろうと思考に耽っていると後から、聞き覚えのある声が聞こえた。
振り向くと笑顔のルチルがいた。笑顔なのだが気迫と言うか雰囲気と言いますか、命の危険性があると本能が呼び掛けてくる。
「あっ、あ、あれ、ルチルさん、そこにおるなら言ってくださいよ、ハッハハハ、、、」
突然のルチルの出現に足が震えてしまう、まさか、さっきの話が聞かれたのか。
「それは、すみません。ですが、ミズキ様?訓練所に行くなら一言私に言ってもらえると嬉しいのですが?」
「えっとルチルが居なかったからめんどく、、、」
「ミズキ様?」
「あっはい、、、ごめんなさい、、、」
「いえ、私がただミズキ様を探し回って疲労が溜まっただけですので怒ってないので謝らないでください」
ルチルさん、どっから見ても怒ってるようにしか見えませんです、、、
「本当にすいませんでした!」
「はぁ~今度からは気をつけてくださいね?」
「了解しました!!」
ルチルから出ていた、謎の圧力が消え、いつもの優しい笑顔になっている。ふぅー、山場は越えたな、ケーキも聞かれて無かったし。
「さて、今度こそ訓練を開始しよっか」
ミルアやルルもルチルから気迫が消え安堵しながら笑顔で応えてくれる。俺も笑顔、みんなも笑顔、なんて平和なんだろうか。
「よーし、ルチルも見てるし張り切っちゃうぞー」
「あ、ちょっと待ってくださいミズキ様」
歩きだそうとするとルチルから待ったがかかる。
一体なんだろうか?俺は上機嫌な笑顔なままルチルに振りかえった。
「私が仕事の後に、食べようと思っていたケーキの事なのですが。先程不穏な言葉をミズキ様が言っていたように聞こえたのですけれども」
笑顔がピシリと固まる。
「訓練ですね、私は先に行って準備してきますねミズキ様」
「なら、私も」
ミルアとルルが準備と言う名の名義を使ってこの場から離れていった。
遠巻きに見ていた兵士も何かと理由をつけ我先と逃げていく。その中の兵士の一人と目が合った。ゲイルである。
「ゲッゲイル!」
追い縋るように、ゲイルを呼ぶ。だが、ゲイルは俺知らねーって表情で他の兵士と行ってしまう。後で覚えとくんだなゲイルよ、俺は忘れないからな見捨てた事を、、、
「ねえ、ミズキ様。本当に食べたのでしょうか」
「ハハッハハハ、ルチルさん何だが怒ってらっしゃる?」
そして、ルチルに耳が痛くなる程に説教を受けるのだった。




