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理不尽現世なプロローグ

 

 人間って、ひどく醜くくないか…


  俺は、腹に手をあてながらそんな事を考えている…

 何で俺がこんな事にならなきゃいけないのか、これは数十分前に遡る…



  ~数十分前~


 俺は、普通では、ありえない場所にいた。目の前に女の子がいる。綺麗な銀髪を肩に乗るように纏めており、その美貌は美しいとも可愛いともとれる姿である。

 この子は一体誰なのか?と思うがまあいっか、こんなチャンス二度とないとポジティブに捉える事にする。

「ねえ?貴方の事が私…」

 頬を染め、俺とこの子の顔が近づく、お互いの息が当たるが何も考えられない。頭が真っ白になっていった。

「えっ、あの、」

「今まで言おうと思っていたのだけど、」

「貴方の事が?」

「す、好…ゴーンゴーンゴーン」


 全てを聞く前にムードを台無しにするような鐘音が響く、そして目の前の少女や城が靄が消えていくように薄れていった。


 聞き覚えのある学校の鐘の音によってうっすらと目を覚ます。ここは自分が通う高校の城とも言える自分の机で寝ていた俺は素晴らしい夢の世界のあの子から現実に引き戻され悲しんでいた。動く気力が沸かない。

「なあ、観月みずき!一緒に帰ろうぜ~」

 そう言いながら、友達の山田 剛志つよしが俺に話し掛けてくる。


  俺こと無崩なしぐずし観月みずきは、嫌々ながらも日光で暖まった机から顔を上げた。

 

 いつの間にか授業が終わり、帰りの挨拶も終わったらしい。

 夢の中のあの子に再度会うために俺は再び寝ようとする。

「終わってたのか…あと、五分ほどしたら起きるからしばし待たれよ…」

 机から離した顔を再度机に預け、腕で自分のテリトリーを築いた。

 そんな事をやっていると、剛志が肩を揺さぶりながら大きな声をだす。

「俺早く帰りたいんだよー起きろよ!お願いだからー」

「耳が痛い…五分くらい寝かせてくれても…」


 我慢弱いと言いますか、辛抱の足りない友人の願いに、しょうがなく俺は最後の授業が終わる前から帰りの準備をしていた鞄を持ちながら席を立つ。


「ほら、走るから急げよ!」

 剛志が背中を押しながら急かす。


 ちょっと体が眠っていたから固まっているにも関わらず、半呆れながらも起きたばっかの体を動かし鬼ですか…と思いながらも走り始める。


「てか、何で急いでんだ?」

 廊下を走りながら少し前を走る剛志に問いかけた。

「それはだな、彼女と俺の家で会う約束をしているからだ!!(ドャ~)」


 剛志のドャ~の表情に流石にイラっとしてきた、俺が彼女がいない事を知っていながらだから確信犯すぎるぞ。


「だから急げ俺は観月と違って忙しいんだよ。観月はせっかく顔はましなのに作ろうとしないから悪い!」

 剛志は、そう言ってくるが興味がでる女の子が少ないからしょうがないじゃん…だって皆して笑いながらギャハギャハ言ってんだよ?なんかギャルって言うか常識なってない奴とか嫌じゃん…

 ちなみに、俺の容姿何だが、まあ特徴って言ったら生まれた時から目が茶色だったって事くらいかな?あとは普通よりは良いってレベルだぞ?


「まあ、観月に彼女が出来てもブサイクだったら笑ってやるよ!ギャハハハ~」


 まったくこいつは、とことん人をイラつかせる才能があると思う…お前も色々モラルが欠けてるよ…


 剛志は笑いながら靴を履き替えると、先に乗降口を出ていった。俺も履き慣れている黒色のローファーを取り出し剛志の後を追う。外で待っていた剛志と合流し走ろうとすると何か思い付いた様な顔で剛志が落ちている石を蹴り飛ばした。


 その石はきれいな弧を描きながら歩いてる三年の不良集団に当たった…んっ?当たった!?

「痛!?なんか飛んできた!?」

「おい、血出てるぞ!」

 三年の不良集団が騒ぎ始める。


「当たったぞ!俺コントロール凄くね!!ギャハハハ」


 えっ?なんで剛志笑ってんの?例え不良集団でも人に石ぶつけるってなんだよ!?

 余りの事に頭が混乱して焦っていると集団がこっちに気付いた…


「おい!お前らちょっとこっち来いよ!」

 どうやら俺達を集団がお呼びのようだ。


 俺関係なくね?剛志と向かいながらも心臓がばくばくし、頬を冷や汗が伝う。剛志もまさか呼ばれると思って居なかったのか、震えてるっぽい。


「お前らどういうつもり?何?ケンカ売ってんの?」

「俺じゃなく、隣りの観月って奴がやりました…すみません…」

 不良の言葉に対して剛志が頭を下げながら不良に謝る。そのせいで不良が俺を睨んできやがった。

 剛志の言葉に流石に頭にくる。

「はっ?おま…」

「俺のせいにするなよ!お前だろ!!」

 不良達にばれないようにするためか剛志は大声で俺の声に被せてきやがった。


 友達と信じていた俺が馬鹿だった。こいつ、クズかよ…


「その隣りの奴じゃないほう帰ってくんない?俺ら用あんの観月って奴だけだから」

 不良が剛志の言葉を鵜呑みし剛志を帰そうとする。


 え!?俺なの?いや気付けよ!

「すみませんでした…」

 剛志はそう言うとラッキーっと言わんばかりに走っていってしまう。


「あの、俺じゃないん…」

「いいからお前ついてこい!」

 不良は俺の言葉に耳も貸さず、俺の手を引っ張り集団で囲いながら一目につかない所へと連れて行こうとしてきた、振りほどこうとしながら反論しようとしたが。

「ほんとに俺じゃないぐふぅ…」

 不良が俺の腹を殴ってくる、これだから不良って嫌なんだ…理不尽過ぎないか…



  ~回想終了~



 そして俺は、不良に顔以外を袋叩きにされて今に至る。


「あいつ絶対許さねー明日学校で殴ってやる…」

 俺は、剛志に対し何だかんだ言って実行出来るはずのない怒りの感情を不良に散らかされた鞄の中身を拾いながら呟く。


 時間は太陽が沈みかけて夕暮れ時になっていた。

「はぁ~帰るか…」

 落ちた物を拾い終わり。俺は校門をくぐっていった。



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