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森の守護者

 また3か月経過してしまった……。

 ふと読み返してたらなんか浮かび上がって来たのでリリース。

 今回ちょっと展開早いです。

 あたしがお父さんの元に駆け寄ると、2匹の狼の内の1匹があたし達の方を振り返ったが、もう1匹は洞の中に向かって唸り声をあげている。良く見ると、その唸り声をあげている狼の足元には冠鳥の雛が居て、頭をお腹の下に入れ込んで丸くなっているのが分かった。


「なるほど。蒼狼達は冠鳥を守ってるんだね」


 お父さんの声にあたしも頷く。そうとしか見えない。


 狼が唸り声をあげていると、冠鳥を襲っていた犯人が洞から顔を覗かせる。それはあたしとそう変わらない背丈で、頭はネズミのもの。体には鉄製と思われる胴巻を着けていて、背には針のようなとげみののように何本も垂れ下がっている。ラッフィーという可愛らしい種族名とは裏腹にとても獰猛で、背中の棘は刺さるとなかなか抜けないうえ、中が空洞になっているから早く抜かないと血がどんどん流れ出るらしい。知能はそれほど高くはないみたいだし、足はさすがに二足歩行するだけあってそれなりに人っぽくはあるけど、甲の部分が異様に長いし、膝は逆関節に見える。手は小さく腕も短いし武器らしい武器も持っていない。ただ、尻尾には蒼狼の爪にも劣らないような鋭い爪が3本も生えていて、主に尻尾を振り回してこの爪で攻撃してくる。なので、ネズミの外見とは裏腹に、狭いところでの戦闘は得意ではないみたい。

 ちなみに、これらの情報は訓練のあとにお父さんが教えてくれたものだったりする。


 あたし達の方を向いていた蒼狼もラッフィーへと視線を向ける。

 よく見ると、樹の幹には何ヵ所か蒼狼が放った氷の槍の痕跡があるのが見える。その事から察するに、蒼狼の氷の槍は命中率が余りよろしくないのかもしれない。


 ちなみに、冠鶏も蒼狼も、どちらも精霊が見えていないみたい。さっきから竜巻みたいな魔法を解いた風の精霊が蒼狼の周辺をうろうろしてるけど、蒼狼は気にしてる素振りすらないしね。


 それを見たお父さんが、何かを呟く。


≪風よ、あの中を調べよ≫


 お父さんの呟きを聞いた風の精霊はお父さんにサムズアップしてから樹の洞の中に飛び込んでいく。ラッフィーも蒼狼も気付いた感じはない。

 ほんの10秒くらいで風の精霊は洞から出てくると、お父さんの耳元に飛んでいき、ポソポソと呟いた。


「ラッフィーは1匹のみで、冠鶏の雛は3羽くらいがすでに食い殺されてて残り2羽か……急がないとね」


≪風よ、もののみを切り裂け≫


 お父さんの呟きに、またまた風の精霊がサムズアップで応えて飛んでいく。そして樹の洞に入ったかと思ったら、中からラッフィーのものと思われる叫び声が聞こえてきた。

 その叫び声に蒼狼が一瞬見詰め合い、お父さんと相対した方が洞へと飛び込んで、首が半ばまで切り裂かれたラッフィーの死骸を引き摺り出してきた。おびただしい量の血が噴出したらしく、美しかった蒼狼の毛並みが血塗ちまみれになっている。

 それを見た冠鶏が「クケェェェ!」と鳴くと、洞の中からこれまた血塗れの冠鶏の雛2匹がよたよたとけつまろびつ母親冠鶏の足下までやって来て、蒼狼の足下で震えていた1匹と合わせて3匹が横一列に並び、点呼でもとるかのように順番に声を上げる。


「くぁ!」「くぃ?」「くぇぇぇ……」


 3羽の雛鳥の声に母親冠鶏は1羽ずつ頭を擦り付けていく。父親冠鶏と雛3匹が死に半数になってしまった冠鶏の家族は、それぞれの命を確かめ合うかのように身を寄せ合う。


 冠鶏の親子にほっこりしていると蒼狼の片方がお父さんの前までやって来て、器用に前足をたたんで地面に伏せた。後でお父さんが教えてくれたんだけど、このポーズは上位者に敵意がない事を示すものなんだって。そして蒼狼はウウウと唸ったかと思ったら口から氷に包まれた何かを吐き出した。それをお父さんの前まで咥えてくる。


「これは? 中に何か……ッ!」


 突然、凍った何かを掴んで見詰めるお父さん。こういう真面目な顔の時は凄くカッコいいんだけどねえ。


「やっぱりそうか……だとすると、アイツの事だから多分まだ近くに居るな……」


 ブツブツ呟くお父さんが急に立ち上がると駆け出して、広場を出ようとして慌てて立ち止まってあたしの方を見て言った。


「リューオはここで待ってて! お父さんはちょっと確かめてこなきゃいけない事が出来ちゃったから行ってくる! 絶対ここから動いちゃダメだからね!」


 それから暫く、あたしは冠鶏の親子と1頭の蒼狼と一緒に森の広場でお父さんを待っていた。待ってる間に残ってた蒼狼が、ラッフィーの死骸を咥えてどこかに持って行ってたので、あたしは雛達と遊んで仲良くなってた。手の平に乗せて抱え上げたら腕を伝って頭の上に登ってきたりしてとても楽しく過ごせたよ!

 お昼も回ってもう少ししたら夕暮れになるって頃になって、やっとお父さんは戻ってきた。その肩にはぐるぐる巻きにされた誰かが担がれている。


「お帰りなさい、お父さん」

「ただいま、リューオ」

「その人は?」


 蒼狼の首筋を撫でながらお父さんに訪ねると、お父さんがそのぐるぐる巻きにされた男の人を地面に降ろした。その人の顔を見てみると、どこかで見た覚えのある顔だった。誰だっけ?


「こいつは前回までマリドーと一緒に行商に来てた商人の1人だよ。今回は来てなかったからどうしたのかマリドーには聞いてたんだけど、マリドーはこいつは別の村に向かったと行ってたんだけどね。どうやらこいつが、今回の件の仕掛人みたいだね」


 そこからお父さんの説明が始まった。

 蒼狼が吐き出したのは、この男の人が以前お酒の席で酔っ払って持っているのを見せびらかしていた、宝石のチャーム付きの革のブレスレットだったんだって。それを見せられた時に、前の持ち主を罠に嵌めて手に入れたっていうのを自慢げに話してたんだって。その時に罠に嵌まってるのを影で見てたってのを酔った勢いで暴露してたのを思い出したから、今回も近くで見てるはずだって思って、逃げられる前に周囲の警戒に向かったんだって。そしたら案の定、遠ざかる気配を察知したお父さんがすぐに追い掛けて捕まえたんだって。それで捕まえた後に所持品を確認してみたら、ラッフィーの毛まみれのぼろマントと一緒に、幾つかの確証的な物も見付けたんだって。それが何かは教えてくれなかったけど、さっき蒼狼が片付けていったラッフィーの死骸にも同じ物があったから間違いないって言ってた。


「取り敢えず、村に戻ってから尋問するするしかないんだけど、今から移動するとなると……ね」


 そういうお父さんの話を聞いてか、蒼狼と冠鶏の母鶏が「ウォフ!」「ケェ!」と鳴いた。そして縛られた男の人を蒼狼が咥えて宙に投げ上げると背中で受け止め、氷を生み出して落ちないように固定した。母鶏はお父さんの股の間に頭を入れようとして、お父さんに待ったを掛けられていた。


「分かった分かった。君達が運んでくれるんだね?」


 お父さんがそう訪ねると、1羽と1頭は先程と同じように鳴いた。お父さんは「ありがとう」と言って、あたしを抱き抱えようとする。すると、冠鶏の雛達3羽がやって来て、あたしの足を嘴で優しく突っつきだす。どうやら一緒に着いていきたいみたいなので、あたしはお気に入りの耳付き帽子を外してその中に雛達を入れた。それを抱き抱えるとお父さんが自分の前に抱き上げてくれて、そのまま母鶏の背に跨がる。母鶏が振り向いて大丈夫そうなのを確認したら「クァ!」とひと鳴きして走り出した。


「ふわぁ! 速いねー!」


 森の小路を冠鶏と蒼狼が疾走する。村の冠鶏には乗った事はなくてこれが初乗りだったんだからハシャいでも仕方ないよね!

 途中で一度休憩を挟んだけど、村までの道程を僅か2時間で駆け抜けちゃった。ちゃんとした時間を知る手段がないから分からないけど、多分夜の7時前くらいだと思う。だって、あたしがまだ眠くなってないから夜8時にはなってないと思うし、何より村の門番の人が午後担当の人だったしね。夜担当の人と交替するのが確か夜8時くらいだったはず。うん。


 門のそばまで近付くと、篝火の届く範囲ギリギリの所で冠鶏と蒼狼が立ち止まった。そしてお父さんが冠鶏から降りると、蒼狼が背中に男の人を固定してた氷を溶かして降ろした。男の人は気絶していたから逃げ出したりといった事もなかった。

 男の人を降ろした蒼狼はあたしの帽子の中で眠っている雛の様子を見た後、あたしに体を擦り付けてから離れていった。そして、一度だけ振り返ってから、今来た道を引き返していった。冠鶏の親子とあたし達は、それを見送る事しか出来なかった。


「リューオは随分蒼狼から好かれたみたいだね」


 お父さんが言う。というのも、一度だけ休憩を取った時にも雛達の様子を見に来た蒼狼の耳の後ろ辺りを揉み揉みしてあげたらすっごい喜んでくれたみたい。何て言うか、恍惚とした表情って言うの? 狼がだらしなく口を開けて舌を出して目をとろーんとさせてる姿は、本当にこれがあの蒼狼なのか疑わしいくらいだったよ。それに、その後は千切れるんじゃないかって程に尻尾を振ってたんだよね。あたしのフィンガーテクニックにメロメロ? 流石にお腹を見せて寝転んだりはしなかったけどね。


 走り去っていく蒼狼を見送って、あたし達は村の門へと歩き出した。男の人はお父さんが担ぎ、荷物は母鶏が背中に乗せて運んでくれた。あたしは雛達の眠る帽子を抱いている。そんなあたし達に気付いた門番の人が迎えてくれる。


 ひと通り事情を話すと、門番の人は何かを書いた紙をお父さんに渡して通してくれた。ひとまず村長さんの家に向かい、事情の説明とさっき受け取った紙を村長さんに渡して、男の人はお父さんが村長さんの家の地下にあるっていう留置場に運び込んでた。

 昔、一度だけ見せてもらった事があるけど、暗いし埃臭いし変な魔力が溜まってるしで、出来ればあたしは行きたい場所じゃない。あそこに入れられるくらいなら、家の柱に括り付けられる方がマシ。いやホント。


 村長さんの家からお父さんと2人で冠鶏を連れて家へと帰る。冠鶏はこのまま家で飼う事になった。もちろん雛達も。まずはお母さんに報告して、明日は鶏小屋とりごや作りだね、お父さん。

 一気に村まで戻ってしまいました。

 このままだらだら森の中を戻っても仕方ないかなって思ってしまったんですよね。


 それにしても、このところ別のシリーズを集中的に書いてたので数字の使い方とか会話以外の部分とか全然違うので混乱気味に……。

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