蒼狼と冠鶏
3か月以上!
暑いとスマホもタブレットも熱暴走するからダメですね・・・。
何度もフリーズしてやる気激減するのは勘弁してほしいです・・・。
お父さんと朝食を摂りながら精霊達の様子を眺める。
精霊達にはこれといった食事は必要ないみたいで、周囲に散らばってそれぞれに思い思いの行動を取ってたりする。
火の精霊は暖炉の火の中で寛いでるし、水の精霊は水瓶に水を貯めている。風の精霊と土の精霊は小屋の外で警戒中で、魂の精霊はあたしの頭の上の定位置で舟を漕いでいる。……精霊って眠るの?
食事を終えたら出発の準備。食器類は水の精霊が洗ってくれて、火の精霊と風の精霊が協力して乾燥させてくれたから、すぐに片付ける事が出来た。精霊達様々だね。
今夜もここを利用する予定だから、予め薪や水は小屋の中に入れてある。疲れて帰ってきたり、もし何かあって怪我や病気の状態で戻って来たとしても大丈夫なようにね。
小屋を出発して2時間程したら三叉路に行き当たった。左の道は細く、右の道は広い。行商人のマリドーさんの話だと、左の道を1時間程進んだ辺りでさらに獣道に分け入って、30分程で冠鳥の巣が見える場所に着くみたい。
それにしても、なんでマリドーさんはそんなとこに行ったのかな? 行商路は右の広い道のはずだし、村に来る時に見付けたって言ってたけど、この細い左の道は村から遠ざかる方向に延びてるんだよね。何かに追い掛けられて逃げ込んだのかな?
そんな事を考えながらも、周囲の警戒は風の精霊と土の精霊がやってくれるし、火の精霊が炎を纏って突撃して、水の精霊が水の舌を伸ばして炎を搦め捕って延焼を防いでるので、昨日とは段違いの早さで進めてる。
精霊達が頑張ってくれているので、あたしはお父さんから精霊の事を教えてもらいながら歩いてる。
基本的に精霊達は精霊石から魔力を貰っていて、精霊石は周囲を漂う魔力を吸収してるんだって。吸収する時にそれぞれの属性に魔力を変換しているから精霊石の色が違う……なんて事はなくて、単純に精霊毎に好きな色があるらしい。
精霊が宿っている精霊石と、その精霊から祝福された生き物との間には絆が生まれる。その絆が深まれば精霊語も理解出来るようになるし、話せるようにもなる。一度理解出来てしまえばどの精霊とも話は出来るようになるけど、絆がなければお願いはなかなか聞いてもらえない。なので、ポルターガイスト現象みたいな事が起きてしまい、怖がられたり気味悪がられたりする事もしばしばだとか。
だから、気に入った生き物が現れたら、まず姿を見れるように祝福を授けるらしい。でも、魂の精霊はまだ生まれたばかりのようで、その辺のシステム的な事を良く知らなかったみたい。お父さんに指摘されるまで、漠然としていながらも確かな絆をあたしとの間に感じるものの、自分の存在に気付いてもらえてなくて悲しい気分に堕ちてたんだって。そのせいか、今はあたしの頭の上でご機嫌みたい。
ちなみに、まだ声を聞く事は出来てない。こればっかりは素質の問題よりも時間の問題らしいから仕方ないかな。
そんな風に、先日とは打って変わった道行きを経て、ついに冠鳥の雛が見られたという場所に到着したのは良かったんだけど、何やら藪の奥から争う音が聞こえてきた。
あたしとお父さんは顔を見合わせて頷きあうと、藪を剣で払って突き抜けた。そこはちょっとした広場みたいになっている場所で、地面すれすれの所に大きな洞の空いた木が真ん中に鎮座してた。
弱々しい鳴き声がする方を見てみると、あたし達が抜けてきた場所のすぐ傍の大きな木の根元には冠鳥の雌が1羽横たわってた。冠鳥の雌は、首の辺りから胸にかけて大きな爪痕から大量の血が流れ出している。もはやその命は風前の灯火といった感じ。
そして洞の空いた木の傍には真っ青な毛並みの狼が2匹。全高は1メートルくらいと冠鳥に比べると小さいけど、全長は2メートルを越えるし、あたしの頭周りと同じくらいの太さのある脚にある鋭く大きな爪やずらりと並ぶ牙は冠鳥にとってもあたし達にとっても充分に脅威になる。
2匹の蒼狼の内の1匹がこちらを向いて威嚇し始める。もう1匹は相変わらず洞に向かって唸るばかり。
お父さんが傷付いた冠鳥の雌の方に向かおうとしたら、こちらを威嚇していた蒼狼が吼えた。すると、蒼狼の周りで魔力が動きを止め、その空中に氷の槍が浮かび上がる。それを尻尾で弾いて、お父さんに向かって飛ばしてきた。
「お父さん!」
あたしにはそう叫ぶのがやっとだったんだけど、お父さんは即座に精霊魔法を行使する。
≪土よ、壁を建てろ≫
お父さんが聞き取れない言葉を話すと、土の精霊が角を地面に突き刺して、地面を持ち上げるかのように大きくのけ反った。すると、お父さんを覆い隠して余りある程の大きな土壁がそこに屹立する。そこに蒼狼が放った氷の槍が突き刺さり、わずかに土壁を凍らせるが、突き破るまでには至らなかった。
未だに精霊語は聞き取れないけど、起こった現象で土の精霊に壁を作ってもらったんだと理解出来る。けど、言葉が聞き取れないのでは後から判別する事しか出来ないので、一向に精霊魔法を行使する前段階にも到達出来てすらいない。それが悔しい。
土壁に氷の槍を防がれたのを見た蒼狼は猛スピードで駆け出して土の精霊が作り出した土壁を駆け上がり、土壁の天辺へと登っていった。
その間にお父さんは冠鶏の元に駆け寄り、精霊魔法を使う。
≪風よ、舞い踊れ≫
お父さんの周りで風の精霊が舞い踊ると、魔力の風が竜巻のように吹き荒れた。冠鶏の様子を一目見たお父さんはさらに精霊魔法を使った。
≪水よ、穢れを押し流せ≫
お父さんが何かを呟くと水の精霊が身震いをし、背中の棘から魔力の水の塊が現れて、それを冠鶏に向けて放つ。
すると、今まで苦しそうに踞っていた冠鶏が首をもたげてお父さんを見詰める。
「何かの毒に侵されてたみたいだけど、もう大丈夫だよ」
そう冠鶏に言いつつお父さんはさらに魔法を使う。
≪火よ、癒せ≫
蛍みたいな火の精霊が冠鶏の元に飛んでいくと、身体全体から仄かな光を放つ。その光が冠鶏に向かって注がれると、冠鶏の身体も仄かに光だした。
これでお父さんは、4種類全部の精霊に4種類の魔法を行使させている事になる。
基本的に、魔法使いは一度にひとつの魔法しか維持出来ないっていつだかの魔法の勉強の時にお母さんが言ってた。極稀に《並列思考》などのスキルの恩恵で、複数の魔法を同時に制御・維持出来る魔法使いも居て、その1人が20年前の人族の勇者の1人で、当時でさえその1人だけしか居なかったみたいだから相当に稀なスキルなんだと思う。
その間、土壁の上に登っていた蒼狼がどうしていたかというと、懲りずに氷の槍を作って尻尾で弾いて攻撃しようとしてたんだけど、お父さんが風の精霊に行使させた竜巻のような風の壁の前にあらぬ方向に散らされたり砕かれたりしてしまってて、そこかしこを氷漬けにしたりしてた。さすがに4本目の氷の槍を散らされた段階でこれ以上は無意味と判断したらしく、土壁の上で唸るばかり。竜巻みたいな風の壁に突っ込まないだけの知能はあるみたい。
そうこうしている内に冠鶏の体力が回復したみたいで、よろよろとではあるけど立ち上がり、お父さんのお腹に頭を擦り付けだした。助けてもらったって理解出来てるんだろうね。
「クルルルルゥ」
村に居る冠鶏と同じ鳴き声でひと通りお父さんに戯れた後、冠鶏は土壁の上の蒼狼に向かって一声鳴いた。
「ケゥ!」
すると、土壁の上の蒼狼は唸るのを止め、冠鶏とお父さんを少しの間見詰めてから踵を返すと、もう1匹の蒼狼の方に向かって行った。
どういう事? この蒼狼達は冠鶏を狙ってたんじゃないの?
そう思いながら、あたしはお父さんと冠鶏の元へと駆け寄ると、お父さんが精霊達に魔法を解かせていた。
蒼狼はそうろうです。
早漏ではないけど早とちりさんっぽくしようとしてこうなりました。
ブックマークしてある作品も殆ど読み終わったので、年内にはあと3話くらいは更新したいですねぇ。




