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達也さんからデートのお誘いを受けた私は
…調子に乗りましたごめんなさい
お見合いのテンプレの通り2人の時間を過ごす事になった私達は
達也さんの提案通りカフェから少し歩いた所にある映画館に来ていた
「心暖さんは何か見たいものありますか?」
「いえ特には
寧ろ今何やってるかも全然知らないぐらいですから
達也さんの見たいものでいいですよ」
「そうですか…じゃあどれにしようかな」
私の返答で達也さんは壁に貼ってある放映中のポスターをジッと見つめる
その様子を隣で私が盗み見る
あー横顔までイケメンだなこの人
「あれとかどうですか?」
「っ!!
はいそれで大丈夫ですっ!!」
達也さんの横顔を見てたらパッとこちらを振り向き不意に目が会う
油断していた私はビックリしてあからさまに目を逸らしてしまった
そしたまたその事にテンパッてしまい不自然に大きな声で返事をしてしまう
うわっ何してるんだよ私!!
目が会って目を逸らすって思春期の中学生か!!
あーもうまだこれから映画見るのに一緒に居づらいな
「良かった
じゃあ券買いに行きましょうか」
「はい…」
達也さんは私の変な対応にも触れずに爽やかな笑顔を見せてくれる
一方私は自分の不甲斐なさのため苦笑いで返すのだった
もう頭が上がらないですはい
私の勢いの返事で決まった映画を見るため私達は券を買いに受付へと向かう
見る事になった映画は今テレビのCMでもよく宣伝しているものだった
○丁目の夕日みたいな話らしいくとても大人気らしい
好き嫌いがあまり別れない様な映画で私達みたいな趣味の合う合わないの分からない私達にはナイスチョイスですねさすが達也さん
でもこれ感動ストーリーで泣けるらしいんですよ
私はちょっと苦手なんですよね…
と言っても感動系の映画が嫌いな訳ではなく誰かに泣き顔を見られるのが嫌いでして
例えそれが友達であろう家族であろうとも嫌なのです
我慢すればいい話なんですがどうも歳を重ねるに連れ涙腺は緩くなっていくのですよ
だからちょっと私は今ピンチですね我慢出来るかな?
「何か他に見たいのありましたか?」
「えっいえ大丈夫です
消費税上がってから来るの初めてだったのでいくらしたかなと思って」
黙りこむ私を見て心配になったのか達也さんが声をかけてきた
ダメだ1人で考え込んでないと達也さんとコミュニケーションを取らなくては
人見知りと言うATフィールドは払わなければならないね
「あっ今日は気にしなくても大丈夫ですよ
俺が払いますから」
「えっそんな大丈夫ですよ
自分の分はちゃんと自分で払いますから」
「いえ俺に払わさせて下さい
俺の趣味に付き合って貰ってるんですから」
「でも悪いですから…」
「全然悪くないですよ
それに今日は特別ですから」
「じゃあ…言葉に甘えさせてもらいます」
私は達也さんに奢ってもらう事にしました
達也さんの言う通り今日はお見合いと言う特別な日
それが成功だろうが失敗だろうが特別なものですよね?
だからと言うか私からしたら記念として
達也さんに奢ってもらうことにした
今度友達に自慢しよう←
そんなこんなで達也さんの奢りで映画のチケットをゲットすると
公演時間まで少し時間があったため取り敢えず映画館から出ることに
「開演まで1時間くらいですね
心暖さんは何処か行きたい所ありませんか?」
「私ですか?いえ…特には」
「そうですか?
じゃあ何か甘いものでも食べに行きませんか?」
「甘いもの大丈夫なんですか?」
「全然大丈夫ですよ
寧ろ好きですから」
「そうなんですか」
さっきブラックコーヒー飲んでたから甘い物全般ダメだと勘違いしていました
うん男の人が甘い物好きって…なんか可愛いよね
イケメンの上に可愛いだなんて
ハッ!!これが噂のギャップ萌ですね分かります!!
「それじゃああそこの店入りましょうか」
「え?あっはい」
映画館の斜め前にあるケーキ屋を指さしながら問いかけられると
私は気の抜けた返事を返した
私には学習のう力が無いのでしょうか
自分の世界の中に入りすぎですね
気合を入れ直しましょう
私は達也さんにバレないように静かに深呼吸をする
そしてギュッと両手に力を入れて気合を入れる
よし!!ケーキ屋さんでは達也さんと会話しまくる!!
私のバイトで築き上げたコミュ力見せてやんよ!!