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「すみませんこんな大切な日に遅れてしまって」
「大丈夫よ
さあさあ座って座って」
「失礼します」
おばちゃんに促されながら達也さんは私の目の前の席に座る
そんな達也さんの行動を私はジッと見つめる
(やっやばいよこれ!!えっえどうしようイケメン来ちゃったよ!!
えっ何このイケメン!?何でイケメン!?
てかさっき大学卒業してから3年も彼女居ないって情報貰ったよね!?
嘘だろうが絶対!!こんなイケメンが彼女居ない訳ないじゃん!!
えってか待ってよ私このイケメンとお見合いするの!?
U・SO・DA・RO!?)
「達也くん飲み物何にする?」
「それじゃあホットコーヒーお願いします」
(ホットコーヒーだと!?
イケメンだな!!)
「本当にすみませんでした
皆さんをお待たせして」
(ちゃんと気を回せるのか!?
イケメンだな!!)
「お待たせしました
ホットコーヒーでございます」
「ありがとうございます」
(お礼も言えるのか!?
イケメンだな!!)
行動全てがイケメンに見えてしまうこの男性に私のテンションは可笑しくなてしまった
取り敢えず落ち着こう
お見合いっていうのは仲介人のおばちゃんの為でもあるのだから
変な粗相をしておばちゃんの株を落としてはいけない
よしっ!!気合入れよう!!
就活の時の面接を思い出すんだ私!!
あの感じで行けば大丈夫なはずだ!!
「それじゃあ初めましょうか
まず達也くんから簡単に自己紹介お願いできるかしら」
「はい、村上達也です今年で25になりました
今日はよろしくお願いします」
そう言って達也さんは爽やかな笑顔を私に向けた
それを見た瞬間私はパッと視線を逸らしてしまった
恥ずかしさでやられてしまったのです
(なんですかあの爽やかな笑顔は!!
無理だ私にはこのお見合いを無事に終わらせる自信がないよ!!
てかもう顔が見れないですよ!!)
気合を入れたはずなのに
童貞をこじらせる改、処女をこじらせている私には
このイケメンとお喋りするのは高度なようです
「はい次は心暖ちゃん」
「え!?はっはい!!
あっあの…心暖です…24歳です…よろしくお願いします…」
おばちゃんの言葉ではっと我に返り顔を上げ自己紹介するもイケメンが目に入って恥ずかしくなり
途切れ途切れの言葉を吐くのだった
(うわー!!何やってんの私!!
コミュ症ってレベルじゃ無いだろ!!
恥ずかしすぎる!!)
「ごめんなさいねこの子人見知りでね」
「いえ…可愛らしいと思います」
「!?」
お母さんのフォローに答えたイケメンの言葉に私は顔を上げた
(この人今何て言った?
可愛らしいって?
…あーそう言う人なんだ思ってもないこと言えちゃう訳なんですね)
達也さんの言葉に私は一瞬で冷静を取り戻した
こんなデブのコミュ症でちゃんと話せない姿が可愛いわけ無い
いや捻くれているとかではなく常識的に考えてだよ
あっそうだ
今冷静になって考えてみて分かった
向こうも私と同じ立場だよね
このお見合いを無事に終わらせたいに決まってる
自分の親とその知り合いがセッティングしたお見合いだもん
ないがしろには出来ないもんね
仕方がなしだよね
私もちゃんと協力しないと