2
「緊張してきちゃったわね」
「いやどうしてお母さんが緊張するのさ」
お見合い当日
会場となるカフェに向かって私とお母さんは歩いていた
「だってもしかしたら私の息子になるかもしれないのよ?」
「そーだねー」
そんなのあり得ないと思いながらも同意しておく
もし本当のこと言ったら喧嘩になるのが目に見えてるから
今はそんな事してる場合じゃないし
それに私だって少し緊張しています
このお見合いでどうにかなるとは全く思っていないのですが
私は根っからの人見知りでして
特に男の人は苦手でして
だから初対面の男の人と言うことで緊張してます
「心暖ちゃん貴理子ちゃんこっちよー」
カフェの前まで行くと今回の仲介役の張り切っているおばちゃんが
手を振って私とお母さんを呼んできた
「こんにちは今日はよろしくね」
「よろしくお願いします」
「ええよろしくね
それにしても晴れて良かったわ
お見合い日和ね」
楽しそうに話すおばちゃん
はてお見合い日和とはなんでしょう
そんな事よりおばちゃんの隣に居る女の人が気になり視線を向ける
その視線に気づいたのかおばちゃんが話を止めて紹介してくれた
「こちらは村上和代さん
心暖ちゃんのお見合い相手のお母さんよ」
「どうも初めまして
今日はよろしくお願いしますね」
「よっよろしくお願いします!!」
お見合い相手と付くだけで私はテンパり
甘咬みしながら挨拶をした
「あの息子さんはどうされたんですか?」
「ごめんなさいね
実は仕事から帰って来れなくて少し遅れてるんです」
お母さんが一人で居る理由はその事だったのか
それにしても休日出勤とは何の仕事してる人なんだろう?
まあ正社員だよね
フリーターの私とは大違いですな
「それじゃあ先に私達だけで入ってしまいましょうか」
おばちゃん進行で私達は先にカフェに入ってお見相手を待つことになった
そこは個室があるだけあってとてもオシャンティーなカフェだった
スタバでも私からしたらオシャンティーで敷居が高いのにこのカフェはそれ以上だよ
「注文もしましょうか
心暖ちゃん何頼む?」
「えっと…
かっ…カフェモカでお願いします」
いつもなら抹茶ラテとか頼むんだけど
何故か飲んだこともない名前しか知らないカフェモカにしました
なんだろうカフェモカって甘いのかな?甘くないと飲めないんだけど…
それから注文を済ませ注文の品を待っている間
これからお見合いをする私たちの話ではなく
何故かおば様達3人の話で盛り上がっていた
私は放置プレイですか
でもその話の中で分かった事がいくつかあって
おばちゃんとの村上さんの共通点は同じ生花教室に通ってるとの事
それで息子さん、私の見合い相手の名前は達也さん
達也さんは私の1つ上で25歳
大学を卒業して以来彼女が居ないらしくて和代さんは彼女を作ってほしいと思っていて
そんな時おばちゃんとの話があってお見合いになったらしい
なるほど全然情報無いってことですね
まああろうが無かろうがどうしようも無いけど
そうこうしている中に私のカフェモカさんがやってきた
おば様方の話に笑顔で頷きながら初カフェモカを口にする
(あっ甘いんだカフェモカ!!
でもちょっと苦味もあって甘すぎない
うん、この甘さって幸せ感じるよね~)
コンコンッ
「っ!?」
初めてのカフェモカに小さな幸せを一人感じていると
扉ノックの音が聞こえ身体がビクッとして一気に緊張がぶり返した
「はいどうぞー」
「失礼します
遅れてしまってすみません」
おばちゃんの声の後に入ってきたのは
イケメンだった