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「あーどれにすればいいか全然分かんない」
どうもこんにちは
私は新堂心暖、24歳の雌です
今はとある百貨店に来ていて服を選んでいます
でもねーどういうのを選べばいいか分からず困っている最中なんですよ
「これはどう?
可愛いんじゃない?」
そう言って白いドレスを手にとって私に見せるのは私の母、貴理子です
「それってドレスじゃん
結婚式行くんじゃないんだからさ
それに白って豚が余計に豚に見えるでしょ」
白はより太く見せる色ですよね
私のように80キロの巨体デブが着てはいけない色です
まあどう足掻いたとしても私の第一印象の『デブ』は変わらないんですがね
心が暖かい人になって欲しいいと両親が『心暖』と付けてくれたのですが
体型も暖かいと言うか暑苦しい体型になってしまったのです
「でもお見合いなんだからドレスでもいいんじゃないの?
お母さんは着物かしら?」
「いやそれはお母さんの頃の話でしょ
今どきはもっとラフな感じじゃないの?
だってお見合いする場所も個室があるカフェだし」
えー実はこの度、私お見合いをすることになりました
ではどうしてこうなったかを説明しましょう
とある日の事
親戚のおばちゃんがやって来ました
そのおばちゃんが急にお見合い話を持ってきたのです
理由は友達が仲介人をしていて私もやってみたい!との事
ノリ軽いよねー
だから色んな事が緩いお見合いになりそうです
だって場所がカフェって
私のイメージは料亭とかだもん
それにお見合い写真も無し
会ってからのお楽しみらしいです
そんな緩々のお見合いを持ってきたおばちゃん
それを私がokして今度の日曜日にお見合いすることになり
今日はその時の服を買いに来たのです
「それにしても心暖がお見合いするとはね
お母さんビックリしちゃった
どういう心境の変化かしら?」
お母さんの言う通り私はお見合いするようなタイプじゃないんですよ
だって人見知りのコミュ症でお見合いしても上手く話せないだろうし
でもこの話は悩む事無くokしました
それは何故か
「…最近暇だから」
そう暇だったからです
ダイエットも就活も失敗に終わった私はフリーターとしてバイトを掛け持ちして過ごしています
でもそれは変化のない日々
楽しいことがなかった
だから少し違うことをしてみたくて
柄でもないお見合いの話を受けた
でもそれは3割ぐらいの理由
最大の理由は恋愛がしてみたいから
物心が付いた時から太ってる私には彼氏が居たことがありません
好きな人が出来ても告白なんてしたこともありません
だってデブの事を好きになる人なんで居ないじゃないですか
でも私だって女の子なんです
太ってるデブだけど女の子なんです
だから恋がしたいし彼氏がほしいんです
だからお見合い受けました
もしかしたら私に彼氏が出来るんじゃないかって
「あーもうこれでいいや」
「ちょっとそんな適当でいいの?」
「いいのいいのー
どうせ…」
期待を胸にお見合いをokしたけどその後一人でよく考えてみた
デブに彼氏出来るわけないじゃん!!
顔合わせだけで終わっちゃうよ!!
そこから私のウキウキ感は消え去ってもう投げやり状態です
「じゃあお会計して来るねー
…何やってんだろ私」
お見合いの前にやらなきゃいけないことがあるだろう
全然成長しないや
だからずっとデブなんだけどね