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その7
僕は馬車に乗り一安心。いや、まてよ。これは相手にペースを握られちゃったという事かな……。ま、細かい事は気にしない気にしない。今は約束の時間に遅れるという失態を免れたという事で良しとしよう。しかし立派な馬車だなぁ。首都のルレイクだってこれほどの豪華な馬車は滅多にお目にかかれないぞ。
十分ほど馬車に揺られて僕たちは立派な建物の前に降り立った。えっと……、ここが待ち合わせの酒場なのかな。酒場と言うより高級料亭じゃん。こりゃ、馬車に乗せてもらって助かった。僕が一人でここを訪ねても門前払いが関の山だったろうな。「さぁ、どうぞ。ここは私が経営している酒場でしてな」