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その42
「そうか!その何者かが忘却の自動魔法をかけたのですね。門番が術者の事を喋ろうとした時、発動するように」支配人が右手の拳骨で左掌を叩いた。おいおい、どんだけ魔法に詳しいんだよ、オジサン。「はい、ですから門番さんは術者に出会う直前から今までの事を、全て忘れてしまっているでしょう」
僕は最後の締めにかかる。「しかし通常は、記憶を消した後でも記憶の微かな欠片、記憶残サというものが残るはずなのです。本人は覚えていなくても、記憶残サを魔法で増幅すれば記憶は戻ります。しかしそれが全くない。よって彼の記憶を呼び戻すのは不可能でしょう」僕は表情を曇らした。




