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その13
とんでもなく美味しいケーキとお茶をごちそうになった後で村長が仕事の話に入る。「実は娘が誘拐されまして……」え!誘拐って何?そんな話ぜんぜん聞いてないよ。ローテルは「簡単な仕事、ちょっと相談に乗ってやる程度」って言ったのに。明らかに狼狽している僕の顔を見て、村長が慌てて付け加える。
「いや、誘拐と言っても、これは狂言誘拐だとわかっているのです。娘を誘拐したのは彼女の恋人でして……。彼が娘を傷つけるわけはないのですが、実は彼の部族と私どもの村の間に些かトラブルがありまして」村長はバツの悪い笑みを浮かべた。って事は恋愛相談?恋人いない歴23年の僕に?




