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小説のハウツー  作者: Lauro
20/50

迷いの森を見つめる大樹

ラミエルは樹々の間から見えるライザ達の頭上を覆う黒雲を見上げながら聞く。

「いや、メリナからフエンデルスに調査隊が向かったと聞いたから来てみたんだ。もしかして、この人とラミエルはその調査隊だったりする?」

ライザが聞くとラミエルはコクリと小さく頷いた。

「君の言う通りだ。ボク達はギルバート公爵の命を受けてこの迷いの森のフエンデルスの調査に来ていた。けど、君達も襲われただろう?森に入るなり影のような連中に襲われて、そのまま街へ侵攻することを許してしまったんだ…!」

ラミエルは彼女の瞳と同じ色の悔しさを顔に浮かべた。

「その後、ラミエルは迷いの森からイノセンシアまで私を助けに駆けつけてくれた後にまたここへ戻ったんですよね?」

「うん、影に襲われた人は意識はないけど死んではないみたいだからボクは迷いの森で散っていってしまった仲間や、眠りに落ちてしまった仲間を探しているんだ。」

「それがこの人ってわけか…」

ライザは眠りに落ちてしまった自分が背負っている男に眼を向ける

「さっきは敵対するような真似をしてすまなかったよ。ボクの仲間を助けてくれてありがとう。」

「ねぇラミエル?君以外に何人動ける調査隊がいるか確認出来る?」

ラシェルはラミエルが完全に警戒心を解いたところで改めて質問した。

「それが…恐らくボク以外は全員眠りに落ちてしまっていると思う。たまたまボクは運が良くて……今、森で倒れている仲間を安全な場所に運んでいる途中なんだ。」

「まぁ、死んだというわけではないからその方がいいかもしれないわね…」

ラシェルは顎に細い指をあてながらボソッと呟いたが、ライザにはその一言がかなり物騒に聞こえた。

「じゃあ、とりあえずその眠りに落ちてしまった方達が集められている場所に行きませんか?傷があれば手当てだけでもしてあげたいです。」

メリナはラシェルに視線を送るとラシェルは静かに頷いた。その時ライザは彼女を見ていてメリナを申し出を拒否してしまうのかと思ってしまう頷きだったと思った。

「ラミエル、案内してくれますか?」

「わかった、ついて来てくれ」

そう言ってライザ達の先頭を切って歩きだした。


「ここ?…って、えらいデカイ樹だな…」

10分程ラミエルについて行くとライザが元の世界では見たこともない巨大な大樹の前に来た。幹はその大樹が今までこの迷いの森の全ての時を見てきたように、さらにこの森にこれからも流れていくだろう悠久の時を見守っていくことをライザ達に語っているかのように広い。しかし、この悪夢のような空の下にそびえていては何処ぞのおとぎ話しに出てくるようなお化けの樹だ。

「うん。実はこの大樹は中が空洞になっているんだ。」

そう言ってラミエルは人が入れる程の穴から大樹の中に入っていく。

「お邪魔しま~す…」

メリナはそんなことを言いながら大樹の中に足を踏み入れると、中は少し湿った空気が漂っていてライザの嫌いな虫が出て来そうだが、天井が高く所々に穴が空いていてそこから光を取り込むのだろう、晴れた日に来たかったものだ。ラミエルは薄暗い大樹の中に明かりを取るためにランタンのような物に明かりを灯す。

「かなりいるな…」

ラシェルは地面に横たえられる騎士達に視線を落とす。

「街の人達と同じか…」

ライザが今まで担いでいた騎士の男を先に眠っている者たちの横に並べるように横たえて観察すると皆一様に苦悶の表情を浮かべている。一体どんな悪夢を見ているのだろう。

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