表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説のハウツー  作者: Lauro
19/50

メリナの守護 ラミエル

ラシェルは進行方向の右側に視線を向けたままメリナに指示を出す。

「は、はいっ!……ラシェル、敵…ですよね?」

「え?え?ちょっ…下ろした方がいい?!」

ライザはキョロキョロしながらフエルテに手を伸ばそうとするがなかなか届かない。

こんな状態では自分も左肩に背負っているこの男も守れないという不安がライザの心臓の鼓動を急かす。

「慌てるなライザ、恐らく敵は1人だ。」

ラシェルは腰のホルスターからナイフを一本右手に取るが、彼女が敵がいると予想している場所へは投げようとしない。

数秒の沈黙が緊張を高めていくと、ラシェルの視線の先の茂みが音を立てて揺らぐ。

次の瞬間、茂みの奥の闇から光の閃光が数枚の葉を散らしてラシェルに向かって飛んでくる。

「ッ!?」

ラシェルはそれを間一髪で左に飛び込んでかわす。ライザがその光景に眼を奪われていると、1体の人影がラシェルが体勢を立て直す隙を利用して飛び出して来た。

「貴様ら!メリナ様から離れろっ!!」

少女のような声だが少し低めな印象を受ける声がライザの耳に届いた。ライザが振り返るとライザより少し小柄で深海のような深い猫っ毛な青髪の少女がルビーのような紅い眼でこちらを睨んでいた。

「ラ、ラミエルッ?!」

メリナは構えていた斧を下げて少女の名を呼んだ。ラミエルと呼ばれた少女は武装しているわけだが、下半身は白い脛当てに水色のスカートから白い太ももが覗いている。上半身は男の騎士と変わらず胸の膨らみがない鎧だ。そして、気になったのが左胸の紋章だ。

「おいおいお嬢さん、これがメリナお嬢様を襲っているように見えるか?」

ラシェルはナイフを手に持ったままメリナと同じ紋章を持つラミエルをからかうように言う。

「ボクを馬鹿にしてるのか!?」

ラミエルは紅の眼を更に吊り上げると右手を広げ眩い光を掌に集め槍のような形状にとどめる。

「ラシェル、刺激してどうすんだよ!?」

もしかしたら、既にラミエルがギルバート家の騎士であることに気づいているのかもしれないが、どこか楽しんでいるようにも見える。

「ラミエル、落ち着いて下さい!この人達はこの空の原因を調べに来たんです!」

メリナが激昂するラミエルに叫ぶとラミエルは高ぶる感情を無理やり押し込めるように右手の光輝く槍を掌中に収める。

「…ボクはギルバート家私設騎士団のラミエルだ……君達は?どうしてメリナ様と一緒にいるんだ?」

まだラミエルは警戒心を解いてはいないが一応ライザ達と話しが出来る状態にはなったようだ。

「えっと、ライザだ。俺はラシェルと一緒にこの黒い曇の原因を調べてるんだ。んで、イノセンシアの屋敷に来たらメリナがいたってわけ。」

簡単に今までの流れを簡単に説明すると、今度はラシェルに説明を促すようにラミエルは睨んだ。

「私はラシェルだ、よろしくな。まぁ、ライザの言う通りお嬢様が少しばかりこの状況に詳しかったからついて来てもらったのよ。」

「そういう事なんですラミエル。私、ラミエルが心配になって来ちゃいました…」

メリナは上目遣いでラミエルを見る。最初見た時はとても気弱そうだったメリナが決心してここまでついて来た理由がどうやらラミエルだったようだ。

「メリナ、あれほど来ちゃダメだと……しょうがないな………君達が敵ではないということはわかったよ。それで、君達はこの曇の原因を掴めたの?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ