表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

黒夜白月何となく短編シリーズ

クリスマスの過ごし方

クリスマスをテーマにして書きたかったのに、こうなりました。スイマセン。

もっと短くしたかった……。

「……好きだって言ってしまったら、もう……もう、お友達ではいられないんです……よね?」


 桜坂夢弓(さくらざかゆめみ)は、誰もいない教室でそう言った。彼女は俺から目をそらし、顔を真っ赤にさせながら口をパクパクさせる。


「ごごご、ごめんなさい! 知哉(ともや)君は、しし、(しずか)さんが好きだって……わ、わかってたのに……」


 彼女はそう言うと、急いで荷物をまとめようとする。女の子が好きそうな可愛らしいマスコット達が、彼女の鞄の隅で揺れていた。


(ここで止めないといけない!)


 彼女が鞄を持つと、急いで俺は腕をつかんだ。か細い彼女の腕は、小刻みに震えていた。


「……ご、ごめんなさい!」

「静が好きだなんて、俺は言ってない」


 目に少しだけ涙を浮かべ、夢弓は俺を見る。彼女の顔と共に、綺麗な黒髪のツインテールが左右に揺れた。


「……だって、クラスで噂に……」

「そんなのは、噂だよ」


 飴色の瞳が俺をじっと見つめる。仔犬のように震えた彼女が、俺にとってたまらなく愛おしい。

 俺は彼女の腕を強引に引っ張り、俺の腕で抱き締める。なるべく優しく抱き締めたつもりだったが、俺の頭とは反対に、体は強く抱き締めてしまう。


「……知哉、く、ん?」


 正直に言うと、ここで夢弓を抱き締めていないと、怖くて仕方がなかった。本人は自覚がまるでないようだが、夢弓を狙う男なんて数万といる。ここで俺が引き止めなかったら、他の誰かに奪われてしまうんじゃないかと、そう思ってしまうほどに。


「……好きだ」


 俺は彼女を机の上に押し倒す。夢弓は顔を赤らめて、飴色の瞳を潤ませる。両手で口元を押さえ、信じられないと言わんばかりの顔をしていた。


「俺は夢弓が好きだ」

「……っ、わた……しも、だ……いすき……」


 大粒の涙を流して、夢弓は嬉しそうに笑う。俺は、彼女の大粒の涙を拭ってあげると、彼女に顔を近付けた。彼女も、次にすることをためらうこともなく受け入れた。

 彼女の唇が俺の唇と重なる。柔らかな唇の感触を確かめるかのように、俺は彼女の唇に噛みつく。舌で味わうと、甘い味がほのかにした。


「…………」

「……いいよ」


 顔を真っ赤にした夢弓は、俺の手を自分の胸へと運ぶ。彼女の柔らかな胸の感触と、その奥から感じる鼓動と熱。彼女は優しく笑いながら俺に囁いた。


「は……じめて、だから、や、優しくして……ね?」


 俺はそっとブラウスのボタンを外そうとすると、世界がいきなり闇に包まれた――。



    ◆



「ちょ! なに、停電っ!?」


 闇に包まれた俺の部屋。俺は慌ててカーテン裏の窓を覗いた。隣の家には明かりがちゃんとある。


「知哉ぁ! ブレーカー落ちちゃった、ごめーん!」

「……はぁ!?」


 一階から聞こえた姉の声に、俺は愕然とする。


「セーブしてねぇ……、最悪だ、悪夢だ」


 すぐにブレーカーをもとに戻してくれたものの、ゲームはタイトル画面に戻ってしまっている。俺は急いでセーブデータを探したがそれも何故か消えてしまっている。


「……最悪のクリスマスだぁ!」


――そんな今日は12月24日。俺は今年もエロゲーをする。

楽しんでもらえたなら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  『さくらざかゆめみ』。  音がいいと思いました。  エロいゲームをしていた主人公という結末。  楽しめました。途中からおかしいな、フラグかなとは思っていましたけれど。  短いながらもし…
2014/02/26 02:47 退会済み
管理
[一言] 途中までドキドキしてたのにーっ! 声に出して笑ってしまいましたwww ブレーカーの奴めイイトコロデ……(笑)
[一言]  いつもお世話になっております。masa-kyです。  わたくしは残酷描写がメンタル的に苦手ですので、こちらの作品を読ませていただきました。  クリスマス短編らしく、前振りから最後の展開へ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ