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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第八章 ドリーム ノット アウェイキング
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第一話 景虎抹殺指令

 俺は、どう足掻いてもここから脱出出来ないのか。

 その上、どうしようもないバグを抱えてるから、自殺すら出来ない。

 本当の意味で詰んでたのは、俺だったのか。


「向こうにはこっちの離反者がかなり含まれてるはずだ、勝算はあるのか?」

 秋津はもう腹が据わったらしい、こうなったらとことんコイツに付いていくしかないと決めたようだ。

 応えてルシフェルが説明を始めた。


「向こうはどう高く見積もっても、戦力差において、決定的にこっちに劣る。たった一人、景虎というチートで支えられているに過ぎない。あとの連中の内訳を見るといい、こちらと互角に戦えるのはサザンクロスの15人、残りは離反組の300だが、彼らも大したことはない連中ばかりだ。そこに、200近くの、新人に毛が生えた程度のお荷物たちが加わっている。この構成から景虎を抜くだけで、向こうの連中には、俺達に勝てる要因などどこにもなくなる。」


 やっぱり狙ってやがったか。

 今までは、俺としてもそれは不可能だと考えていたんだが、状況が変わってきたな。

 外に連絡が付くなら、最悪、俺の本体……VR箇体を事故に見せかけて破壊すりゃ済むってことだ。

 デスゲームを演出できるくらいの組織ってのなら、そのくらいは簡単だろうな。


「景虎を始末するための刺客が送り込まれてくる手筈になっている。」

「なに? デスゲーム中だぞ? ログアウト出来ないってのに……あ、ログインは可能だったのか?」


 鯖暴走となれば、普通は運営でログイン不可にしちまうけどな。仕組まれたもので、運営にまで手を回しているなら、そりゃ、ログインだけ可能ってのも頷ける。よほど大きな力が動かなきゃ、有りえない話だけど。


 おかしいな。


 俺を排除したいってなら、どうして確実な手を使わないんだ?

 直接VR箇体に眠ってる本体を殺せば済む話なのに、どうしてそんなまだるっこしい手を使う?

 それに、姫香の処置も、そう考えれば辻褄が合わない。


 ログイン可能なら、生きたまま捨て置くなんて処理は、後に脱出の可能性を残すだろうに。

 高レベルを送り込んで、アホ犬を攻略すりゃ済む話じゃないか。それより、改竄したってだけなら、幾らでもプログラムの復旧が出来てしまうだろう。一時的にバグに見せかけているだけなんだから。


 もっと露骨にいくなら、政府介入で自衛隊あたりの特殊部隊がバーチャルに突撃仕掛けるだろうよ。

 ……なんか、引っ掛かるな。


 ルシフェルのヤロウは、尻尾を出さない。

 何を考えてやがるのか、コイツはきっと俺と同じくらいの疑問は感じたはずなんだ。コイツ自身も組織とかいうのに騙されている可能性……。

 なのに、引き受けてやがる。


 それより何より、ルシフェルのヤロウは姫香を海藤帯刀の娘と決めつけて話をしてやがるが、本当に姫香がそうだっていう確証はあるのか?

 あの時、あの女の意味深な台詞、そういや何て言ってたっけ?


 呪いのティアラのせいでお姫様にされてしまった……?


 黒幕からターゲットの名を教えられたとは考えにくい。

 俺と同様、VR箇体そのものを狙えば済む話だろう、そうしないのは何の理由だ?


 俺の居場所が解からない? 姫香の場合もそうだ、確証が無かろうが疑わしい女を殺せば済む話。

 そも、ゲーム全体のプレイヤーは数万人規模だ、どうやって1000人に……、第二サーバの第三チャンネルだけって限定が掛けられたんだ? 黒幕と違法組織の間でも情報が錯綜してるってところか?

 数万を千に絞れるくせに、俺やターゲットの位置を特定出来ないって、何事だ?


 解からないことが多すぎるな、ルシフェルも恐らくはそこまで教えられちゃいないはずだ。

 だが、刺客ってのが来るのなら、ソイツから聞きだすって手は、ありそうだな。


「その時になったら連絡が入る。動きが出るのを待っているしかない状態だ。」

「こっちは一刻も早く脱出したいってのに……、玩ばれているみたいで、気に入らないな。」


「そう言うな、何にしてもこれ以上のバグは起こりえないって事は解かったんだ。」

「信用できるのか? ソイツ等。」


 秋津の言うのはもっともなんだが、ヤロウは呆れ半分な微妙な笑みを作った。

「信用は出来なくとも、従うしかない。」


 そりゃ、そうだ。


 ややこしい状況になりやがった。

 俺を中心にしたサザンクロス主体の反ルシフェル陣営……面倒だ、レジスタンス軍でいいか。

 そして、レジスタンスに対となるこっち側、ルシフェルと姫香を中心にした王国軍。

 本来、レジスタンスは200ほどの少数で、王国軍から斬り捨てられた人々の寄せ集めだったわけで、最初の激突で離反300を呑み込んで、両陣営の勢力は五分となった。


 だが、そもそもこのデスゲーム状態は意図的に作り出されたものだった、てことで……外側に、もう一つ大きな敵を抱えるハメに陥ったってことか。

 そいつらは、日本有数の巨大企業、海藤グループの内紛に絡む誰かに依頼を受けた連中ということだけは確かだ。恐らくは裏社会の犯罪組織と見て間違いない。ネットに絡む犯罪組織なんて、山ほどあるからな、見当も付かないけど。


 姫香が連中のターゲットだとして、直接VR接続箇体を狙うことが出来ない理由が存在するんだ。

 だから、俺を邪魔としつつ、リアルには手出しが出来ない。いや、全員殺すと脅してはいるが、やるならサックリと殺るだろう、出来ないと見たほうがいい。事故に見せかけて殺したいってことだ。

 その理由としては……現会長帯刀氏、あたりが絡むんだろうな。恐らくは。


 組織と手を組んだルシフェルと、どう対峙していけばいい?

 刺客を送り込むとか言ってたが、どんな手を使おうっていうんだ。どこから来る。解からん。

 


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