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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第六章 ソード オブ ジャスティス
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第五話 罠Ⅱ

 エリスの目論見が知れたのは、翌日のことだ。

 やっぱりあの女、俺を罠に嵌めようとしてやがったらしい。

 いきなり俺は強姦の嫌疑を掛けられて、エカテ姐さんやら姫やらに追及される羽目に陥った。


「デリー、彼女にまで手を出したって、……ほんとか?」

 姫が感情を抑制した声で尋ねた。


「強姦はしてないぞ。」

「そういう問題じゃないっ! お前のはビョーキだっ! ホイホイと付いてくから、こんな事になるんだろ!?」

「うん。心配してくれたのか、ごめんな。」

 全然堪えてない俺の態度に、姫は地団駄踏んでヒステリー起こしていた。


「浮気者っ! ナンパばっかしやがって、わたしの処女かえせっ!!」

「一度貰ったモンは返さねぇ。」

 掴みかかってきたんで逆に手首捕らえて引きずり上げた。

 そのまま抱きすくめると、暴れる、暴れる。(ヘラヘラ)


 ジャレてたら、エカテ姐さんの咳払いの音が。

 おう、悪い。いちゃつくなら余所でやれ、て感じに睨んでた。改めて聞く態勢を、と。


「いちゃいちゃするなら後でやって頂戴。」

 棘が。

 ちょっとくらいは妬いてくれてんのかね? 彼女は奔放で、一夜の相手に執着とかは無さそうなんだが。


 エカテリーナは表情を引き締め、本題を切り出した。


「エリス……、彼女のいう事は信じられないわ。ルシフェルの元側近、あなたを罠に掛けるために近付いたってのが本当だと思うけど?」

「そうだろうな。でも、恐らくヤロウの目的はあの女の回収だと思うぜ? こっちで問題起こせば、追放されるのは目に見えてる、その程度が解からん頭の悪い野郎なら苦労はない。」


「彼女の言い分をこっちが聞くはずはないと踏んでいるわけね。あなたの言を容れて、彼女を隔離しておいたけど、あれはどういう意味?」

「強姦被害なんてことになれば、一人や二人は同情してあの女に情報を漏らすヤツが出てくるだろう。折角、向こうの連中を隔離して情報を遮断してるってのに、元も子もなくなっちまう。」


 スパイの防止策、そんでこっちに寝返った連中の引き止め策だ。情報の手土産もって向こうへ舞い戻ろうとか、悪い考えを浮かべないようにな。エリスを自由にさせておいたら、恐らくはそういう工作も始めるだろうから、寝返り連中全員に隔離は必要だ。


 隠すべき情報なんてモンは無いんだが、それを手土産にあの地獄へ戻ろうなんて馬鹿な考えを起こさせない為に必要なんだ。こっちに馴染んで洗脳が緩めば、向こうに帰りたいなんてヤツは居なくなるだろうさ。


 洗脳被害者に注意すべき点は二つ、報復を恐れる心と洗脳者への同情の心だ。それが服従に繋がる。

 同情のほうは、そう簡単に解けるものじゃないし、無理をすれば反感に繋がって逆効果だが、報復のほうは相手よりも強大な"力"を見せつけることで抑えられる。


 報復を恐れる気持ちは、俺の常識はずれなチートが抑え込んでくれるはずだ。それを足掛かりに、なつきのように直接相手と対峙する勇気を取り戻せれば、同情があっても支配の場へ戻ろうとは思わない。


 ふわりと漂う、甘いような柑橘系のような妙味ある香りが鼻孔をくすぐった。


 あ、姫の首筋からなんかいい匂いがすんなー。

「くすぐったいってば、デリー、」

 首を竦めて身をよじる。リアルとは違う豊満な肉体。甘く漂う香り。やべ、止まらん。


「解かったわ。聞く気ないのね?」

 エカテリーナが氷の微笑を浮かべる。

「ごめん、姐さん。ちゃんと聞くから。」

 ぱっ、と姫を手放した。


「彼女の始末、なんとかしてよ? 中途半端なことをするから、こういう事になるのよ。可哀そうに。」

「解かってる、ちゃんと責任もってこっちに引き入れるよ。」


 手ぶらでは戻れない、それは彼女も同じことだ。今持ってる情報カードなんて、たかが知れてるだろうから、もっと価値の高いカードが欲しいはず。でないと、戻ったところで、姫香を追い落として返り咲くなんてのは、無理だ。どうせ、そういうのを狙ってんだろうからな。


 乙女心っていうか、本当に、あんなヤロウのどこがいいんだかなぁ。


「そうだ、姫。ちょっと頼まれてくれるか? 小細工すんのに、駒が足りねーんだ。」

 景虎のまま、ちょいと口から青い触手を伸ばす。

 ココ、ココ、先をチョキンとね。(うねうねアピールだ)


「きもっ、」

 女二人が声を揃えやがるのが、多少ムカつくが、まぁいい。不問にしておく。


「よくよく考えると、コレと寝るってかなりエグいわよね。エイリアンの域じゃない。」

「やははひー、」

 口から出した触手が邪魔で滑舌が悪すぎんぜー。いいから、さっさとやってくれ。


 エカテリーナが俺の触手の先、5cmくらいをブツリと切り取った。

 スパイ分身その2が完成。触手を引っ込め、皮に同化させて元に戻す。


「よし、後は二つのカケラにも問題なく移動できるかどうかだな。同じフィールド上でなら、6体はまぁ軽く操作可能なんだが、遠隔になるとどうか解からんからな。実験だ。」


 恐らく、隣り合ったフィールドでの移動が限界だと思うんだ。

 ルシフェル陣営に置いていたカケラも、テント内の別座標に意識を移すにはテントの設置されたフィールドへ移動する必要があったからな。


 引き揚げ後に何度か、ランスに忍び込ませたカケラに意識を移してみたが、ヤツがフィールドに居る時は可能でも、巧く行かない時もあった。たぶん、向こうのテント内に居たんだ。


「じゃ、わたしが持ってテントに入ってみるね。その後で、向こうフィールドにテント展開してみる。」

「もし、二つ分フィールドを跨ぐと不都合が起きるってことなら、それは貴方の最大の弱点になるわね。カケラに意識がある時にフィールドを跨がれると、あなたは本体に戻れなくなる。」


「スパイ分身にはリスクがある、多用は出来ないと心得ちゃいるんだが、便利だからどうしても、な。」

 そうそうご都合に、俺だけ便利ってわけにはいかないさ。



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