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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第五章 ウォー ゲーム
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第七話 革命Ⅱ

 俺は、散開した後は遊軍として、敵の多い地点の応援に徹する。

 お、なつきだ。


「てめぇ! 自殺したかと思ってたら、生きて……!」

「裏切りやがったな、この野郎!!」


 武器を振り上げ殺到してくる二人に対して、なつきは。

 ぐっ、と腰を屈め、深く、静かに盾にパワーを集中した。よし!

 【カウンター】が発動。

 同時に、なつきが叫んだ。


「ボクだって、殴られたら痛いんだ!!」

 二人を同時に弾き飛ばした。


 弾き飛ばされ、転がりながら奴等は運悪く俺の足元へ。


「く、くそ、なつきのヤロウ、」

「う、ちくしょう、……ぅげ! か、景虎!」

「いらっしゃい♪」

 にっこりと微笑んでやったが、二人にはどう見えたモンだか。

 後は問答無用。


 双剣は二本の剣だ、一本ずつ奴らの脳天に叩きこんだ。鬼だな、俺。


「か、景虎!」

 なつきに向かって走り寄ってた残り二人が急ブレーキかけて、慌ててUターンした。

 逃がしゃしねぇぜぇ♪


 俺はサブウェポンのナックル効果で戦闘中の移動速度UPが付いている。

 追いかけりゃ必ず追いつくんだよ。


 手の届く範囲の敵を撫で斬りしながら二人の背を追いかける。

「う、うわ! なんで追いかけて!?」

 振り向いた一人が喚いた。スピード落ちてんぞー。


 射程範囲。とび蹴り。

「ぎゃ!」

 もんどりうって倒れた後頭部をざっくり殺って、残る一人をさらに追う。


 逃げる背中を射程に収め、とび蹴りで蹴倒して捕まえた。

 どっか、と胸辺りに片足乗せて抑えつける。


「な、なんで俺達に構うんだよ!? なんで、俺らばっか……!!」

 可哀そうになぁ。半泣きだ。


「なんでかって? 別に理由なんざねぇよ? 強いて言うなら、気にいらねぇから?」

 ニヤニヤ笑いを貼り付けてそう言ってやると、そいつが顔を歪めた。

 悔しいとか、憎いとか、疑問とか、ないまぜになった半分泣き笑いの顔だ。


「もう一回くらいは殺させろよな、さっさと生き返ってこいよ?」

 剣を振りかぶる。


「べほ、」

 脳天かち割って殺す。コイツ等、殺るたんびに違う断末魔上げやがる、おもしれー。

 くっくっくっ。


「あ、ひ……、あいつは、鬼だ、……鬼だぁ、」

 声に気付いて振り向くと、後ずさりの中堅プレイヤーと目があった。


 にんまり笑った俺の顔を見て、何を想ったかな。

 ぶん投げた剣がヒットして、掻き消えちまったから、解からんけど。


 いよぉし! 二回ずつ殺した! あと一回ずつ殺す!


「景虎くん!」

 俺を"くん"付けで呼ぶようなお上品なのは一人だけだな。うん。


 案の定、呼んだ当人が語感のオカシサに首を捻ってやがる。なつきだ。


「"くん"とか"さん"とか止めれ、痒い。」

 興奮してるから声が尖りっぱなしだ、なんつーか、もう、楽しい。

 やっぱゲームの華はPvP戦争なんだってくらいに、アブネー精神状態だ。


 なつきも興奮状態なのは丸解かりで、へらへらした薄笑いを浮かべていた。


「やれば出来るじゃねーか、」

「うん、」


 とん、と胸を軽く叩いて褒めてやったら、極上の笑みを返した。

 コイツはもう心配いらないな。


     ◆◆◆


 敵陣は崩壊、俺はルシフェルのヤロウを探している。


 見つけた。

「ルシフェル!」


 お前を殺らないことには始まらない。どうせ生き返る、そうと解かっててもだ。

 俺がお前より圧倒的に強いことを示さないことには、支障を来たす。

 ヤロウはにやりと一瞬笑って、周囲の連中を片手で制した。一騎打ちの体裁を取るためか。


 逃げたり、部下を向わせたりは、お前のイメージじゃねぇもんな。


「景虎ぁ!」

 叫んで、俺に向かって突っ走ってくる。勇敢なとこを周囲に知らしめる。策士だな。

 ナックルのほうでぶん殴ってやりてぇ衝動を辛うじて抑えた。


 本当に、お前は気に食わねぇな!!


 大量に居る取り巻き連中。

 お前がなにを狙ってるかなんざ、見え見えなんだよ!


 双剣をクロスに、ヤツの大剣を受け止めた。なんかの記念品の、ド派手な金ぴかの剣だ。

 力任せにヤロウに向かって押し戻す、無様につんのめってコケな! その脳天に叩きこんでやるぜ!


 たたらを踏んで後退し、脚をもつれさせたヤロウが後ろへひっくり返る。

 その頭上へ無双の両刃を叩き下ろした。


 ヤロウは最後まで、無様なナリは見せないまま、致命傷ダメージ(オーバーキル)で消え去る。

 ヤツとの対決の間、音が消えていた空間に、怒涛のように人の声が戻る。歓声、怒号、悲鳴。


 そして、俺に向かって、我を忘れた一部プレイヤーたちが殺到した。

 ヤロウの狙い通りに。


 まったくお前ら、あんなキチガイ野郎のどこがいいんだ?

 身を屈める、軸足に意識を集中する、スキルはねーんだが、巧くいくか?

 旋風脚、ならぬ、旋風斬り。


 こういう特殊動作はとにかくベースにスキルが必要になる。機転が効かなきゃ、こういうゲームは出来ない。

 執事に付き物の【ステップターン】を応用した。


 周囲360度の殺到する敵に、一回転で双剣の刃が襲い掛かる。

 ターンは反転だが、勢いで一回転だ。俺のチート攻撃力は撫でるだけで敵を瞬殺する。

 怯んで立ち止まった後続の奴等に突っ込んでいく。


「くそ、退け! ルシさんと合流するんだ!」

「そうだわ、ルシーが一人になっちゃう!」


 ヤツの取り巻き連中もさすがに瓦解し、逃走を始めた。

 冷静さを取り戻した奴らが叫ぶ。首領をほったらかしにしてた事を思い出したらしい。


 ふん、こっちの目論見は大方達成ってとこだな。

 フィールドを見る限り、赤いマーキングの連中と無色の連中は五分の数だ。

 ヤロウがどう出るか。


 おそらくは、撤退するだろう。そんで、何か巻き返しを狙ってくるはずだ。


 俺は景虎をインベへ仕舞い込み、スライムの姿で素早く立木によじ登る。姿を眩ますにゃ、ポリゴンを利用すんのが一番だ。立木の上部、枝の茂み部分はポリゴンでは丸いバルーン状の仕組みだから、見た目は木の葉が適当にくっついてるだけでも、実際は風船に描かれた絵のようなもんなんだ。

 その風船内部へ侵入。


 よし、これで俺の姿は外の連中には見えない。この騒ぎでは気付く奴もそうそうは居ないだろ。

 注意して看れば、透過処理の部分でチラ見えしてんだけどな。


 ヤロウの陣地に残しておいた分身、カケラに意識を移す。

 スパイするには、ヤツの側近に憑りつくのがいいな。コロコロと転がってフィールドを移動する。


 お、ランス発見。

 やっぱ強ぇなぁ。あの巨大な武器は飾りじゃなかったってことか。

 バックステップ、サイドステップ、槍って前後運動だけかと思ったが器用にその重量を生かした攻撃で、周囲の敵を翻弄している。ヤロウが頼りにするだけはあるな。


 小さなカケラを転がして忍び寄り、周囲に気を取られているランスの背後についた。

 どこに忍び込めばバレねぇかな?


 敵を一掃。周囲に人が居なくなり、ヤツは息を吐きだし、武器を背に戻した。

 ぴょいと飛び付いて、槍のポリゴン内部へ侵入した。引っ掛かりのよさそうな場所は、と。


 ポリゴンの中にちょうどいい窪みがあった。持ち手部分の奥。

 お邪魔しまっす。


 べったりと貼り付けば、同化して視界もクリアに。

 あとは、コイツが武器をインベに仕舞い込もうとしない限りはバレねぇはずだ。



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