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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第四章 イン ザ ダークネス
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第一話 実証Ⅰ

 城門内のエネミーは向こうもこっちも分け隔て無く、うじゃうじゃと涌きだしている。

 まるで数が減ってないとこを見るに、あの男の率いるチームはコイツ等の相手をせずに突っ切っていったって事か。


 何人のチームだかは知らないが、ルシフェルの口調だと単独ってことはなさそうだし、何人で行ったのかが気になる。

 廃人に近い連中が四人に、俺が付いてやっと釣り合い取れるダンジョンだぞ。

 俺一人が何人分の役を担ってるか解かったもんじゃないってのに。数人でなんて、死にに行くようなもんだ。


 野郎は最初からそのつもりだったようだが。


 あ、さっきのランスだ。屋根の上に乗ってやがる。【隠密】発動中なんだろう、すぐ傍にエネミーが居るが気付かれていない。てか、あのレベルのエネミーが気付かないって、相当なレベルにまでスキル精度上げてやがるんだな。


 スキルは、レベルと精度によって威力に差が生じるんだ。【隠密】の例を取るなら、初期のレベルだとほとんどのエネミーに勘付かれてしまうから、まるで意味がない。中程度にレベルを上げて初めて、自分より弱いエネミーには気付かれないくらいになる。


 このランス、黒髪によくあるタイプの整った顔をチョイスしてんだが、ヒゲなんだよな。その点だけは褒めてやる。

 あんな野郎に加担してる時点で大きく減点だけどな。


「おい! てめぇ、連中はどこだ!?」


 怒鳴りつけた俺の声に気付いたんだろう、ランスがこっちを振り返った。

 情けないツラで、俺に訴えかけるように腕を伸ばす。広場の方角を。


 ちくしょう、


 それ以上を問い質す必要なんかなかった。通りを抜け、邪魔なエネミーを斬り捨て、ようやく広場へ飛び込んだ俺の目の前で、プレイヤーの一人が暗黒竜のデカい前足に叩き潰された。

 くそがぁ!


 駆け寄り、渾身の力を込めて鎧のような黒い鱗に覆われた脚を叩く。

 まるで壁だ、深く切り裂いてもコイツから見ればミミズ腫れ程度か。浮き上がった足が俺を踏み潰そうと迫る。


 よし! 狙い通り! 武器を腰へ戻し、巨大な足を両手で受け止めた。これを狙ってたんだ!


「逃げろ! 早く!」

 躊躇とかしてんじゃねぇ! こっちはセオリー無視した戦いしてんだ、いつ何が起きるか解かんねーぞ!


 逃げろっつってんのに、俺の言葉を無視して女戦士が魔法陣に向かって走った。

 なにやってんだ!


「ばか! 戻れ、逃げろ!」

「けど、脱出出来るかも!!」


 欲張ってんじゃねぇ! 魔法陣の中で手続き踏まなきゃならないし、タイムラグ取られるんだ、その間にヤツの攻撃パターンが変わったら……!!


「リモートモードが出たわ! 脱出できる! て、どうして!? なんで動かないの!? お願い、出して!!」


 魔法陣が輝きだした、だから行けるのかと一瞬思った。

 けど、いつまでも次の段階へ進展しない。


『魔法陣の上にエネミーが乗っています。質量オーバー、操作はリセットされました。もう一度、エネミーを排除してから、操作をやり直してください。』


 何度も何度も、同じアナウンスが繰り返された。


「お願い、助けて!!」

 彼女は地にしゃがみ込んで、激しく魔法陣を叩く。


 急に、腕が軽くなる。はっ、と見上げれば、暗黒竜は空へと跳躍していた。

 全体攻撃、【シャイニングフォースアタック】


 黒く丸い球体に変化した竜が次第に光を帯び、輝きだす間に、俺は蹲る女プレイヤーと呆然自失に陥ったあの時の男プレイヤーと、二人の手を引っ張っていた。

 あと二人居る、


 なんでお前ら離れた場所に居やがんだ、この状況下に!!

 届かねぇ!


 無数の光の針が降り注ぐ。

 俺は口から本体を引っ張り出して、二人を包む。


 目の前のあと二人が、俺に救いを求めるみたいに腕を伸ばしていた。


 地獄だ。

 連鎖して起きる爆発に、辺り一面に地獄の業火と火柱が立ち上る。

 犠牲にされたプレイヤーの、俺に向けて伸ばされた腕が引き千切れて吹っ飛んだ。


 バルーン状の俺の中で、三人分のキャラクタが揉みくちゃになる。

 この状況から、どうやって脱出すりゃいいっていうんだ!


 伏せの状態から、暗黒竜の次の攻撃。【スライドオブジェクト】

 突進から体当たり、もろに衝撃を食らって俺バルーンが跳ね飛ぶ。


「きゃあぁぁ!!」

「うわぁぁ!!」


 なんだ!? どうした、なんで消えちまったんだ!?

 バルーンで保護したはずの二人のプレイヤーが、さっきの攻撃で死んじまった!!

 なんでだ!?


 元のサイズに戻って滑りながら、暗黒竜の攻撃を躱す。

 本当に消えちまったのか!? 俺は二人を探してそこら中を滑りまくった。

 居ない! 居ない! ちくしょう!


 なんで、どうして、わけが解からない! 【ダメージゼロ】は発動してたはずだ!


 建物の影でインベントリへ隠れる。

 奴にはターゲティングされてるが、この状態は恐らく、突然、座標から目標物が消えたように認識される。

 暗黒竜は戦闘モードを維持したまま、広場周辺を走り回り、敵の捕捉を試みているようだった。


 落ち着け、俺が混乱しててどうする、何が起きたのか整理して考えるんだ、


「SOは、衝撃波の二次ダメージが付いてるんだ。」

 後ろにランスが立ってやがった、まるで気付かなかった、


 そうとう動揺してんな、俺。


「衝撃波は、例えば盾なんかの防御を突き抜ける性質を持ってる。」


 ……そんな。

 じゃあ、アイツ等は、全滅……?



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