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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第三章 クレイジー ティー パーティ
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第二話 テントの中でⅡ

 天国と地獄を繰り返す日々が怒涛のように過ぎ去って。

 さすがに50人ずつ詰め込むわけにもいかんってのは理解するが。


 プライバシーやらあんのも解かるけど、女の子ばっかの日と野郎ばっかの日を交互にするとか、鬼かお前ら!

 しかも男の娘は男の娘で固めやがって、むちゃくちゃビミョーな空気だったじゃねーかっ!


「あ、ども。よろしくお願いします、」

『あ、いえ、こっちこそ、』

「すいませんねぇ、こんなナリで、」

『いえいえ、お互い様ですよ、』

「……、」

『……、』


 なんか俺のほうが泣けてきたわ、最後っ!


 そんなこんなで、ようやくほぼ全員の調整が終わった。あ、身内一人忘れてたな、うみんちゅ。

 ついででルナも呼んでテントに待たせといた。ちっさい方のテントで。

 最近影が薄くてしょんぼりしてたからな、こんな時くらいは遊んでやろうと思って。

 うみんちゅと、ついでだからルナもも一度調整してやって、その後。


 座談会だ。


「あいつ等さ、俺の前でチキンレッグ食いやがんの!」

 最近の不満を聞いてみたんだが、そうとうに鬱憤が溜まってたようだ。チキンレッグて……。


 このゲームじゃHPとMPとスタミナの三つのゲージがある。MPは魔法を使うと減り、スタミナは時間経過で勝手に減る。そんでスタミナゲージが1になったら、次にHPが減り始めるんだ。これは減った分が赤くなって、それはどんな雑魚いエネミーの攻撃でも関係なく、一発食らえば消えちまうレッドゲージになる。


 レッドゲージはHP3分の2までで止まってくれるんだが、そんな状態で戦闘なんて出来んから、スタミナはこまめに回復しないといけないって感じだ。スタミナドリンクと、料理で回復って手段があるんだが。

 スタミナゲージは1が最低で、0にはならないと思われていた。だが、今回の鯖暴走ではバグったんだ。ゲージ0にしない為のストッパーがバグって、完全停止の状態が生まれてしまったことは、あのゲス野郎が確認済みだ。


「ちくしょう、あいつ等! 俺らがドリンクしか飲めない生活してるからって、バカにしやがってっ! 食い盛りのお子様舐めんな、ちくしょうっ、ちくしょうっ!」

 泣きながら拳を絨毯に叩きつける海人。おまえなぁ……。


 これ見よがしに食い物を美味そうに食ってる姿を見せつけられて、悔し泣きしながら逃げ帰ったらしい。


「景虎! なんで俺達、ドリンクばっかなんだっ!? 俺もハンバーグ食いたいっ! ステーキ! 牛丼食いてーよー!」

 すがって泣くほどのことか、それ。てか、肉ばっかじゃねーか、野菜食え。


「うう……、スライムってゼリー色で美味そうだよね。」

 頭噛じんなっ。ヨダレ付けんなっ。ルナまで一緒になってツバ呑み込むなっ。欠食児童か、お前らっ。


 ルナが無言で俺を海人から取り上げようとしたが、しっかと掴んで離さないもんだから、びろーん、て。


「ラムネ飴おいしそう……れろーっ、」

 ルナが俺のボディを舐める。うまい? ねぇ、うまいの、俺?


「ガム食いてー。」

 海人に噛まれてびろーんと伸ばされる俺。

 あんま逆らわんでおこう。育ちざかりのお子様たちだからな。不憫なことだ。


 こっちは向こうと違って、食材になるモンが何にも居ないからなぁ。本当に草原だけなんだ。

 採取ポイントくらいはあってもいいのになぁ。


 しゃーねぇ。ネロあたりと相談して、一度、街の食材屋に買い物にでも行くか。

 場所的にかなり遠い地点にあって、俺一人ならまだしも、他の連中を同行はさせたくなかったんだがなぁ。(俺のインベが小さすぎるのがアカンのや。)


 ルナと海人をテントから放り出して、一息つく。

 テントの節約はこの頃はあまり考えなくてもよくなっている。なんせ街エネミーどもはざかざか金落とすからな。

 向こうの連中はこうはいかんだろう、俺のようなチートが居なきゃ成り立たない戦法だ。


 さっそくエカテリーナと相談するべくテントを抜け出した。と。

「デリーは今夜一晩わたしの貸切よ!」

「なに言ってんのよぅ! 景虎はわたしのなんだから、貸さないっ!」


 姫とルナがデカい声で言い争っていた。おい、お前ら……。


「やーだ、お子様ねっ。デリーとわたしは恋人同士だって言ったでしょ? イイコトしちゃったりは、あたりまえなのよー?」

 嘘吐け。お前ヤらせてくれたこと、ねーじゃねぇか。


「以前はさ、熊みたいな姿で萎え萎えだったけど、今の皮はすっごいわたし好みなんだっ。」

「カエルの死骸って言ってたじゃん!」

「思い出させるなよ!」


 だからさ、皮とか言うのやめてくれん? お前ら。


「デリーはわたしのなの。リアルでわたしのなんだって前にも言っただろ!」

「そんなの知らないもんっ! 被ってる皮はわたしのだもん!」


「なに言ってんの? 皮はあなたのでも、中身はわたしのだよ? だったら、わたしのだよ!」

「皮はわたしのだもんっ! 中身だけ抜いて持ってけばいいでしょっ! やっぱダメ! 中身もダメ!」


 支離滅裂になってきてるぞ、そこの二人。俺は俺のだ、バカヤロウ。すっかり無視か。


「あの皮被った姿もいいけど、魅惑の触手プレイも捨てがたいなーっ。あんあん言わされちゃったりしてー?」

「いやらしいっ! 景虎はそんなエッチなことしないもんっ! サイテー!!」


 いや、男はみんなエッチィです。ごめん。

 姫のやつはどうやらルナをからかって遊んでるだけっぽいけどな。お子様にヘンなこと吹き込むなよー。


 アイツラは放っておくことにして、エカテリーナの姐さんと今後の相談でもしてくるか。

 付き合いきれんわ。


 姐さんの所在を訪ね歩いて、少し離れた場所のテントへ。

 森林公園みたいな趣きのある場所に、一つぽつんとそのテントは張られていた。俺は知らなかったんだが、このシチュエーションの場合に限りで、とあるバグが発生するらしい。


「あら、景虎じゃない。なにか用?」

『おじゃましまっす、』


 テントの中は無法地帯だった。

 

 姐さん、目のやりどころに困るんで服は着ててもらえないでしょおか?

 なんでマッパなの? 装備剥いでもアンダーになるだけじゃなかったっけ?


「やだ、知らないの? こういうバグもあるのよ。」

 白い裸体が眩しいぜ。痴女プレイかなんかですか?(超失礼なオトコだ我ながら。)


 かつてこのゲームは18歳禁止の社交ゲームだったらしい。つまり、VRの出会いサイトだ。気に入った同士で付き合いをして、ゲーム上で結婚したり、アダルトな遊びを提供していたのが最初だったんだと。過当競争に負けて、途中で全年齢層に路線変更したってことらしい。一旦ゲーム世界を閉めてリニューアルしたのに、新規開発とか嘘言って仕切り直したんだそうだ。


 で、このシチュエーション、『森のキャンプファイアーモード』っていうかつてのアダルトシーンバグらしい。


 さすがは廃人に一番近いギルド。そんなトコまでよく知ってたなぁ。VRゲームは開発費がものすごい額になるから、おいそれとは畳めないみたいな話は聞いてたけど、そういう事まであるとは。


「だから、テントの中では疑似性交も可能なのよ。そうでもなきゃ、こんなありきたりな世界観のゲームがウケるわけないじゃない。行政も運営も知ってて見て見ぬフリをしてるのよ?」


 で? 姐さん、なんで手招きしてんのかな?

 伏し目がちな視線で値踏みするようにこっちを見る彼女。お喋りの間中、その手は俺に向けられ、誘うような細い指先がなまめかしく動いている。誰かを待ってたんだろうと見当を付けてたんだけど?


「毎日、それなりに充実はしてるけど、人間って欲張りなものじゃない?」

『皮つきと触手と、どっちを御所望で?』

 ひらりとメモを滑らせ、読んだ姐さんが目を細めて。色っぽいねぇ。


 ちょっとニヤけてしまうんだが。いいんだったら遠慮なく頂いてしまうぞ、俺は。




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