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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第三章 クレイジー ティー パーティ
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第一話 テントの中でⅠ

 騒動から数日後のことだ。ああ、俺はあの後、無事にこっちへ戻ってきた。例のあの娘も、翌日には復帰したみたいで、境界線沿いからさんざん射掛けられた。まぁ、元気そうでなによりってトコか?


 おおいに暴れまくり、向こうのプレイヤー多数を蹴散らしてやったから、憎悪はひとしおだろう。境界線に沿って封鎖用のバリケードを築いてやがったんで、反撃ついでに、木っ端みじんに粉砕してやったら、気分が良かった。

 定期的にぶち壊しに行ってやろうと思う。まる。


「景虎! ちょっといい?」

 サザンクロスの女幹部エカテリーナがテントの前で手招きしてる。なんの用だ?


 スライムの状態だと会話ってのは出来ないから、俺は相手のすぐ傍まで移動しないといけないんだよな。

『なんか用か?』

「用事があるから呼んだんじゃない。ねぇ、あなた、マッサージ上手なんでしょ? ルナと姫に聞いたんだけど。」

 あいつら。


『マッサージじゃない、シンクロ率の調整だ。』


 長時間バーチャルに接続してるってのは、本来、想定外の状態なんだ。ステータス欄にはシンクロ率がどうなってるかが書かれてる。で、スライム状態で捻ってやりゃ、揺るぎを調整する事が出来たんだ。景虎にリンクすんのと似たような感覚で、外側から相手の皮を引っ張ってくような感じ?


 たまたま二人のステータス覗いて気付いたから直してやっただけの事なんだけどな。姫が、動作のテンポが合わないとかボヤいてたからだけど。


「だから、マッサージみたいなモンでしょって。結構不具合が出てるプレイヤーが多いみたいなの。ちょっと見てあげてよ。」


 どういう説明でそうなったかは知らんけど、あの二人が吹聴して回ったらしい事情を聞かされて。

 促されてテントの中へ入ってみれば、絨毯にはずらーっと女の子プレイヤーたちが寝そべっていた。


 テントの特徴で、通常の状態だと収容人数は5人なんだが、入り口をオープンに設定することで50人までなら収容出来るようになるんだ。サーカスみたいなデカいのに変化する。プレイヤー開催のイベントとかを行う為の仕様だ。

 その代わり、宿泊で得られるHPやMPの回復は無くなっちまうんだが。


 色とりどりのアンダー装備。いや、はっきり言って下着姿の少女たち。リアルはどーか知らんが、こっちじゃ見た目も一級品の可愛い娘ばっかりだ。全員アイコンは女。男の娘は混ざってない。その可愛い娘ちゃん達が揃いも揃って、俺の方を振り返り、微笑みながら迎えてくれる。


 OKです! いくらでも揉み解してあげちゃいましょう!!


「ごめんね、景虎さん。噂だけを信じて、酷い人だって誤解してたわ。」

「わたしもー。」

「わたしもそうよ、なんだかすごい悪い人みたいになってたのよね、噂では。」


 そうそう、そうよねー、と女の子たちの会話が盛り上がる。なるほど、この娘たちは向こう側から来た新人さんたちだったのか。まぁ、例のあの野郎に扇動されてただけだからな、罪はない。うんうん、可愛いは正義というし。


 俺は端っこの子から順番に背中や首、腰など、関節部を主に調整していった。するりと背中を撫で、脇から胸に向かい、腹部をなぞり、下腹へ……。

 公認でお触りし放題ってのは、また、格別ですなー。(ほくほく)


「ああん、痛いんだけど、気持ちいいーっ、」

 きゃあきゃあと黄色い声がテント内に響く。ちょっとキワドイ事言ってるけど、いいんだろうか。


 運営のデータログにはすべての会話やキャラの行動は記録されちまってんだけどな。

 バグってる今はどうか知らんが。


『そんな騒いでいいの? 記録残るよ?』

 たまらん。けど、もうちょいお静かに願いますって感じで。そろっ、とメモ書きを女の子に手渡してみた。


「え? ああ、大丈夫よぉ。テントの中ってプライベート空間だから、音も漏れないし記録も付かないのよ。」

 メモ書きを見た女の子はにこっと笑ってそう言うと、唇をとがらせて、ふぅっ、とメモを吹いた。ひらひらとメモ紙は風に飛ばされて。くすぐったーい、とまた笑う。……おーい。(汗)


 女の子の手が伸びてきて、俺の身体を撫でて。頭よしよしでもしてるつもりなのかな?

 こっちは別の子の背中に乗ってる。腰からするりと内股へ触手を伸ばしてすーっと降りていく。

「きゃはは、くすぐったいーっ、」

 ぱたぱたと白いフトモモがバタ足を打った。暴れないでくれー。


「このゲームで気に入ってる点なのよねー、プライベート守ってくれる場所があるって。」

「えー? そうだっけ? わたしが聞いたのは、バグだって話だったわよ?」

「わたしもバグって聞いたわ。唯一、運営ログが取れない場所なんでしょ? それを利用してカレシとイチャイチャするんだって教えてもらった事あるもの!」


 四方八方から手が伸びて、……え?

 運営ログが取れない? そうなのか。それは知らなかったな。

 しかし、なんというか。


 俺の今の姿って、男として意識しにくいんだろうか。女の子たちは我勝手で手を伸ばしてきて、俺を掴んでもみくちゃにしたり、抱き締めたり、……ヌイグルミかなんかと勘違いしてない?

 びろーん、とか、伸ばすな!


「きゃはは! すんごい伸びるー。」

「やーん、貸して貸して! ひんやりしてるー、手触りもいいよねー、すべすべ。」

 頬摺りとか、嬉しい限りなんだが、なんかなー。(顔がゆるむ。)


「実はさー、触ってみたかったのよねー。ペットのスライムって、ぜったい、コレ違うもんねー。」

「あ! わたし触ったことあるよ、ペット! ぬるぬるしてたっ!」

「こっちのが絶対いいよねー、運営に抗議しよっか。」

 ちゅう。


 て! ちゅう。て! おいぃ、この子たち、ぜってー、俺のこと意識してねぇだろ!

 モテ期到来! ハーレムじゃ!!


 無数の細くてしなやかな女の子の手が伸びて、奪い合う。

 俺をもちあげ、抱き締め、撫でまわし……、うはは。


『おーい、離してくれないとマッサージ出来ないよ。』

 さらさらっと書きつけて、ぴっ、とメモを渡す。ここは紳士に振る舞わねばな。また後日にゆっくりとね~。

「はーいっ、」


 きゃははっ、とまた嬌声がテントの中に木霊した。


 女の子たちとの楽しいひと時を有意義に過ごし、そして翌日。


『……。』

「俺さぁ、なんか腰が特に調子悪ぃんだよ、頼むわ。」

「その次、俺ねー。よろしく。」


 むさい空気がテント内部には充満していた。この世の地獄か。



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