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デスゲで俺は最強スライム  作者: まめ太
第十章 ナチュラル レッド 4
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第八話 レッドウォリアーⅠ

 真紅の機体、メタリックレッドでピカピカのボディだ。人型で、腰が細い、赤い菱形が四つくっ付いたような形状というか、昆虫っぽいデザインだ。センスのいいプレイヤーが創り上げたんだろう、外観はとてつもなくカッコイイ。セイバーを装備していて、波状のラインに紫色の光が電飾のように流れている。

 フォース・オブ・カーズ、早く日本にも上陸しねぇかな。


 しかし厄介だぞ、ロボットってだけあってこっちよりも随分と図体がデカいんだよな。

 その上に、スピードは若干向こうの方が早いときてる。しかも瞬間加速が付いて、斬りかかっても回避される。


『景虎、"クリムゾン"のメンバーからメッセージだ、02号機の弱点は背中の排気筒らしい。ただし、ウィークポイントはカバーしてある、ホバー制御性能はAAA、恐ろしく小回りの利く機体だから注意しろ、だとさ。』

 ありがたいね、"持ち主"からの支援情報か。さっさと返してやらなくちゃな。


『パックス2より、追加情報だ。03号機、弱点は足回りだ、重量型だから物理攻撃は無駄だそうだ。コケさせて軸足集中攻撃が有効だという話だ。01と04は共に際立った弱点は無し。伝言、"巧い事立ち回ってくれ"。』

「了解、"感謝する"と伝えてくれ。」


 チームワークが要になるゲームだ、にわかのパイロットじゃお得意のフォーメーション再現は無理だろ。互いをカバーされまくるのが彼らを無敵と言わしめる理由だが、今日初めて操縦するってくらいの連中にそんな動きは不可能と見ていい。


 まずは情報のある二機を撃墜、残りをなんとかする。


『景虎、01号機のハッキングコードを送る。機体のコクピット制御をお前のリモートに移動させられる。自動リンクを切って手動に切り替えられたら、制御は向こうへ戻る。巧い事使ってくれ。』

「一発勝負だな、了解。」


 次々と情報が集積され、接近する4機の大きさがリアルに視認出来る頃には準備が整う。

 カードから”カーズ”のホームページへ、操作方法一覧より重要な情報を確認、これで準備OK。


 体格差5倍はさすがに勝てないとは言わないまでも、この状況下では時間も技量も掛けたくねぇ。


 4機のロボが草原フィールドを超低空飛行でやって来る。先頭に03号機、ゴツい機体で肩周りが特に強化されている。武器はウォーハンマーだ。あんなモンで殴られたら、さすがの”景虎”でも多少は痛いだろうな。

 重量型の両隣に01と04、後ろに02号機が菱形の編隊を組んで飛行している。


「皆、林の中へ退避してくれ! 禁止コードがある、連中は入れないはずだ!」

 そう、カーズの世界とは違って、こっちの木々や建築物なんかのオブジェクトはすべて”進入禁止”だ。なぎ倒して進める仕様にはなってないんだぜ。全部が、連中には障害物扱い、迂回しか取れる手は無い。


 デリート命令の虹が侵蝕を開始したら、フィールド構造上、林や岩など、連中にとっての障害物から先に消されていくわけだから、連中もそれを期待してたんだろう。遅滞措置の為に、未だに虹は現れてもいないけどな。


 ファースト・コンタクト。

 爆音を響かせて、4機の最新鋭部隊が到着した。すげぇ風圧だ、足元に力を込めてても飛ばされそうになる。

 軽いフットワークで4機が着地、同時に戦闘の重量機が俺への攻撃を開始した。


 振り上げたハンマーを掻い潜って陣形の真ん中へ飛び出した俺に、両側の二機からレーザー攻撃が浴びせられる。二機はそれぞれライフル銃創で均一の距離を保ったままで次々と射撃してくる。バック転で躱したところへまたハンマーの横殴り、そんで取り回しに優れた02号機が退路をことごとく潰してくれやがる。

 トライアングル・フォーメーションだな、遊撃の02号機がうぜぇ。


 コイツ等、扱い慣れてやがる。いや、AIのサポートか。今日までに本来のチームが蓄積してきた動きが自動でトレースされて補助に加わっている。ますます不利だな。

 さっさと、AIサポートをオフにして貰うとしよう。


 近付いた01号機にハッキングを仕掛ける。狙い目は、コクピットのハッチバックだ。

 跳ね上がったメタルの上部ハッチから、テロリストの姿が丸見えになった。


 久々の、フライング・スライム・アタック!

 今回は錐揉み飛行に適した形状、錘形だ。口からでろりんと引っ張り出した瞬間は、なぜかどいつもこいつも一瞬動きが停止する。凍りつく瞬間、てヤツらしい。(いい加減慣れたらいいよ。)


 顔面に貼り付いた俺に為す術なく、パイロットはすぐにログアウトで逃げ出した。身体の自由を奪おうというこっちの意図は見抜いたようだな。居なくなりゃなったで、自ら操縦するだけのことなんだけどな!


『マイガッ、マイガッ!』

 開かれたコクピットの内部で繰り広げられる、スライム形状の俺の動きに連中は悲鳴を上げた。

 メイン動力部制御、油圧系制御、マザーボードも支配下に置く、武器系統コントロール制御、スライムの触手を細い管状にあらゆる機器へと伸ばし、絡め取る。

 ロボットの電子配線には透明なチューブと化した俺の手足が絡みつき、俺はロボットと一体化する。


 ハッチを閉じて、と。

 お待たせしたな、本格的に相手してやるぜ。



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