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偽りの恋  作者: 乙鈴
5/8

1年に1回の金曜日

「紗綾久しぶり」

1年ぶりの墓参り。柔らかい春の光が俺と紗綾の眠っている場所を照らす。

「紗綾ビール買ってきたから一緒に飲もう?」

そう言って自分の缶ビールの蓋をあける。風の音しか聞こえない静かな空間。

これが俺の”恒例行事”

「今年もやっぱ忙しいよ」

こうやっていろんな出来事を順々に話していく。

「初のレギュラーの司会とかさ俺緊張しすぎちゃった。あと今年はまだ1回も森に行けてないんだよ」

もちろん返事が返ってくることなんてない。俺が話すのを止めればそこで話が途切れる。話すことは数えきれないほどある。でもその前に話すことがある

「俺さ紗綾に話さなきゃいけないことがあるんだ。」

微かに聞こえる波の音、子供のはしゃぎ声。

「あのさ、俺そろそろ新しい恋して良い?」

空になったビールの缶が風に倒され俺の足元に転がった。

言葉にすると悲しくて目の前がぼやけている。

「紗綾大好き。…大好きだった」

好きという気持ちは今もこれからずっと変わらない。

「俺さそろそろ前に進もうと思う。そうしないと駄目だと思う」

溢れかけの涙を右手で擦り、ここ最近で一番の笑顔を向けた。

「紗綾、絶対忘れないよ。また来年一緒にビール飲もうね。じゃあ俺帰るね。バイバイ」

空になったビールを片手に家へ帰った。


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