空から地球が落ちてきた日
20XX年10月21日
俺の名前は黒澤凛、大学2年生だ。
その日俺は普通に大学に向かおうとしていた。
ーーその途中だった。
空から地球が落ちてきたのは。
訳が分からなかった。
地球って一つしかないはずなのに。
すごい速さで近づいてきて、俺がいる地球は
落ちてきた地球にぶつかった。
もうダメだと思った。
その瞬間、俺の視界は光に包まれた。
「…あれ、何ともない」
特に体に異常はない、多分俺の幻覚だったのだろうか。
辺りを見回す、さっきまでいなかったはずの女の子が目の前に座り込んでる。
あと、周りの人が増えた気がする。とりあえず目の前にいる女の子に手を差し伸べる。
俺は紳士なのでね。
「大丈夫ですか?」
「あぁ、どうもありがとうございます」
いやぁ人助けというのは素晴らしいものだ。
気分が良くなる。どうやら俺はヒーロー気質なようだ。
「すいません、ご迷惑をおかけして」
「いやいや、俺は大した事はしてないですよ」
「じゃあ、これで失礼します」
「うん、気をつけて」
彼女は前に歩き出した。俺も大学に行くために歩き始める。
ーー2分後
「…」
「…」
すっごい道が同じ、なんか気まずい。
…よし。
俺は全速力で走った。途中自転車にぶつかりそうになった。
大学の教室にて〜
「ハァ…ハァ…あぁキッツ。久しぶりに全速力で走った…」
教室に着きゼェハァと体中に酸素を渡らせる。
唐突だが俺には決まったルーティーンというものがある。
それは至ってシンプル、俺の定位置の席に座る事だ。席は右の端っこ。
高校生の時主人公席に憧れてたけど、くじ運の悪さのせいでいつも一番前だったから、大学生活ぐらいはこうさせてほしい。
そして席に着く。
にしても今日は人が多い。
何となく二倍くらいは居るかな。
「おっす〜調子どう?」
「おぉ、シュン。今日は来たのか」
彼の名前は山千俊、俺はシュンと呼んでいる。
彼はなかなかに気まぐれでたまに講義を休む。
でも単位はしっかり取れる。
地頭の良さだろうな。はぁ、羨ましい。
「なぁなぁ、朝の見たか?空から地球落ちてきたやつ」
「え、お前も見たのか?」
「俺だけじゃねぇよ、いま世界中で話題になってんぜ?ほらっ」
シュンに見せられたニュースではその事について話されていたが、何か違和感があった。
「え〜世界各地で目撃された、空から地球が落ちてきた現象ですが…」
「え〜世界各地で目撃された、空から地球が落
ちてきた現象ですが…」
男性と、女性アナウンサーの2人が画面に映ってせっせとニュースを伝えていた。
「「簡潔にまとめますと、世界人口が二倍、地球の大きさも二倍、さらに自分の」」
「女体化」
「男体化」
「「した自分が現れる現象が起こっていますが意外と問題はなさそうです」」
「「いぇーい」」
そんな事信じられるのか?
てか例えそうだとしてもすぐにその情報を得たテレビ局ってなんなの?
いやいや、ありえない。そんなわけない。
現にほら、シュンの女体化した人なんていないじゃん。流石に冗談だよね。
「あの、そこっ私の席なんですが?」
後ろから声が聞こえた。
はぁ…別に席なんてまだたくさん空いてるじゃん何でわざわざここに。そう思いながらも声の聞こえた方を見る。
「あの、別に席なんてどこでも…」
「「あ」」
固まった。相手の女の子も固まった。というか朝俺が真摯に振る舞った女の子がそこにいた。
「朝、私と会った人だ…」
「ど、どうも?」
「え、何お前ら知り合い?…というかまさか凛の女の子バージョンだったりして?」
「…一応、名前聞いても良いですか?」
俺は彼女に尋ねた。
「私は、黒澤凛よ」
「え?」
なるほど。いや、まだわかんないよ?
たまたま名前が一緒なだけで、たまたま同じ学部で、たまたま同じ席が好きなだけで…
「もしかして、あんたが私の男バージョン?」
「逆に…君は俺の女バージョン?」
まずい。まだ確定した訳じゃないが俺の女バージョンちょっと可愛いと思った。
でもこの人は俺の女バージョンだと思うとスンとなった。多分相手も俺と同じこと思ってるんだろうな。
「はぁ…多分そうみたいね。じゃあちょっと右にずれて、わたし半分座るから。それで良い?」
「まぁ、良いけど」
俺は彼女?を半分座らせた。
普段の俺ならこんなことしたら俺のアルティメットスティックは一瞬にして発射態勢になるだろう。
何という事でしょう。全く発射態勢になりません。
やはり遺伝子が近いと興奮しないように人は創られているのだろう。
夕方〜
とりあえずその日の講義を全て終わらせて、家にかえる事にする。
「わたし帰るから」
「俺も帰る」
結局2人で帰る事にした。
ん?ちょっと待てよ?
「あのさ、女版俺」
「何よ?」
「もしかしてだけど、俺らって帰る家同じ?」
「え?」
「いやだって、今んとこ帰り道一緒だし…」
「ま、まだ分かんないわよ!」
そう話しながら歩くと結局同じ家の前に着いた。
「ねぇ、わたし思ったんだけど」
「何?」
「この世界がもし性別が反転した世界同士が合体したら、部屋ってどうなると思う?」
「そりゃ…難しいな。とりあえず開けてみない事には変わりないな」
「…そうね」
彼女は恐る恐る扉を開けた。
俺の家は扉を開けたらその奥にまた扉があってその廊下の左右に風呂と、寝室。奥の扉を開けるとリビングだ。
友達からは「あたん⚪︎んち」の間取り似てると言われた。確かに似てるけども。
「リビングの扉、開けるわよ」
「おう」
リビングの扉を開けた。
すると何という事でしょう。まるで今まで俺らが同棲していたかのようにお互いの私有物が綺麗に整頓されているではありませんか。
「…」
「ま、まぁ汚いよりかはマシじゃない?」
「ちょっと待ってじゃあ寝室は?!」
彼女は走って寝室に行った。
俺も着いていく。
「えぇ…」
何やら女版俺ががっかりしたようなため息をついていたので部屋を見る。すると、お互いの私有物が調和するかのように設置されていた。
ただ、ちょっと違うところがあるとすれば…
「でかいな…」
ベッドがシングルからダブルになっていた事ぐらい。
「1人じゃ大きすぎるわよ」
「うん、1人じゃ大き…は?何独り占めしようとしてんの?」
「はぁ?私あんたと寝るとか嫌よ!」
「俺は別に構わないが」
「だってえっちな事するじゃん!」
「俺がえっちな事をしようとする変態ならお前だってそうなんじゃないか?お前は俺の女版なんだし」
「ち、違うわ!誰が自分の男バージョンにえっちな事しようと考えるのよ!」
「俺だって自分の女版に興奮するほど変態じゃないけどな」
「とにかく嫌よ!」
「でも俺知ってるぞ、元カノと別れてから1人で寝るの寂しい事、お前の場合彼氏か?」
「(ギクッ…)」
俺には元々同棲してた彼女が居た。けど、色々速すぎたし、価値観が合わなかったから別れてしまった。
だから正直自分の部屋に女の子の私物があっても別になんとも思わない。
ましてや俺の女版、なおさらだ。
「わ、分かったわ…けど、少し離れなさいよ」
「善処します」
その夜〜
風呂の事でも色々揉めたが相手は一応、一応女の子なので風呂ぐらいは配慮してあげよう。
別に自分の女体化した裸とか見ても別に興奮しないだろうし。
という事もありつつ寝る場面へとついに来た。
彼女は壁側で寝ることにした。
俺は扉側の方に寝そべる。
「なぁ、女版俺」
「さっきからその呼び名やめてくれない?名前ちゃんとあるんだけど」
「でも名前同じじゃん、なんて呼べば良い?」
「そうね…じゃあ、私の事は凛って呼んであんたはくろって呼ぶわ」
「くろかぁ…なんで?」
「適当」
「…そうすか」
俺はくろと今後呼ばれるらしい。こんなあだ名初めてだ。
しかも凛にあだ名つけられたんだぜ?
いや、俺も凛なんだがな?
「ねぇ」
「クロ呼ばなきゃ反応しません」
「めんどくさいなぁ…くろ」
「なんでしょう」
「これ、治るのかな」
「さぁ、俺は部屋が狭く感じるようになるのは嫌かな1人増えたし」
「それはこっちのセリフよ、早く治ると祈っとくわ。おやすみ」
「おやすみ〜」
10分後〜
「…?」
寝ぼけてるから分からなかったが体のどこかに違和感を感じ、目を覚ました。
特に異常は無かった。
横を見ると凛がこっちを向いて寝ていた。
俺は寝相が悪い。たまに、朝起きたら床で寝てることもあった。こいつも寝相悪かったりするのだろうか。
「おっ」
目の前に映ったのは二つの膨らみだった。
別に興奮はしてないが、男が無性に触りたくなってしまう魅力的なものだ。
「すぅ…すぅ…」
寝てる、今がチャンスだ。そう思いその二つの膨らみに触れた。
うん、なるほど。D寄りのEだなこれは。
しっかし驚いた。俺のアルティメットスティックは全く発射態勢になっていないのだ。
ここまでくると俺がそういう病気なんじゃないかと怖くなってくる。
「はぁ…」
「あっ」
やべ、凛と目が合った。
起きてたんですかあなた。
「触んじゃねぇよクソ野郎が!!!!」
「ぐふぉあっ」
その時凛の拳が顔面に飛んできた。
めっちゃくちゃ痛い。前が見えねぇ…
「出てけっ!!」
「ぐはぁっ」
そのまま凛の蹴りが腹部に直撃。
俺はベッドから壁に吹っ飛んだ。
「ふんっ」
俺はそのまま気絶した。
世界が変わった最初の日、俺は久しぶりに床に寝て、幕を閉じた。
次の日から呼び名が「くろ」から「変態」になった。




