『リユースドリーム ――あの日、扉を開けた私へ』
高校三年生の美月は、東京の下町で母と兄と暮らす、ごく普通の女子高生だ。おしゃれが好きだが、家計に余裕はなく、欲しい服があっても諦めることに慣れていた。目立たないこと、無難でいることが、自分を守る一番の方法だと信じてきた。
ある春の日、美月は駅前のショーウィンドウに飾られたワンピースに目を奪われる。値段は一万二千円。手の届かない現実を突きつけられながらも、「着たい」と思ってしまった自分の気持ちを否定できず、立ち止まってしまう。そこへ降り出した雨から逃れるように、美月は見知らぬ路地へ足を踏み入れる。
路地裏で見つけたのは、小さな古着屋「RE:TOKYO」。
〈もう一度、東京から始めよう〉という看板の言葉に惹かれながらも、場違いではないか、何も買えなかったらどうしようという不安に逡巡する。それでも美月は、初めて“寄り道”を選び、店の扉を開ける。
店内には、新品ではないが、どこか生きているような服たちが並んでいた。その中で美月は、深い青と茶色のスタジアムジャケットに強く惹かれる。値段は千五百円。袖を通すと、少し大きめながらも不思議と落ち着き、鏡に映る自分がいつもより前を向いていることに気づく。
店主から古着の背景や「服は次の物語を引き継ぐものだ」という言葉を聞き、美月は迷いながらもジャケットを購入する。それは衝動ではなく、これまで避けてきた「自分で選ぶ」という行為だった。
帰りの電車の中、美月は袋の中のジャケットを何度も確かめる。まだ何も変わっていないはずなのに、自分の中で何かが静かに動き始めていることを感じる。そして、美月は小さな決意をする――明日、このジャケットを着て学校へ行こう、と。
このささやかな選択が、やがて彼女を思いもよらない場所へ導いていくことを、美月はまだ知らない。
ある春の日、美月は駅前のショーウィンドウに飾られたワンピースに目を奪われる。値段は一万二千円。手の届かない現実を突きつけられながらも、「着たい」と思ってしまった自分の気持ちを否定できず、立ち止まってしまう。そこへ降り出した雨から逃れるように、美月は見知らぬ路地へ足を踏み入れる。
路地裏で見つけたのは、小さな古着屋「RE:TOKYO」。
〈もう一度、東京から始めよう〉という看板の言葉に惹かれながらも、場違いではないか、何も買えなかったらどうしようという不安に逡巡する。それでも美月は、初めて“寄り道”を選び、店の扉を開ける。
店内には、新品ではないが、どこか生きているような服たちが並んでいた。その中で美月は、深い青と茶色のスタジアムジャケットに強く惹かれる。値段は千五百円。袖を通すと、少し大きめながらも不思議と落ち着き、鏡に映る自分がいつもより前を向いていることに気づく。
店主から古着の背景や「服は次の物語を引き継ぐものだ」という言葉を聞き、美月は迷いながらもジャケットを購入する。それは衝動ではなく、これまで避けてきた「自分で選ぶ」という行為だった。
帰りの電車の中、美月は袋の中のジャケットを何度も確かめる。まだ何も変わっていないはずなのに、自分の中で何かが静かに動き始めていることを感じる。そして、美月は小さな決意をする――明日、このジャケットを着て学校へ行こう、と。
このささやかな選択が、やがて彼女を思いもよらない場所へ導いていくことを、美月はまだ知らない。
第1章 光の下で
2026/01/25 23:45
第2章 RE:TOKYO
2026/01/26 09:52