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ダークモンスターのその後

時系列的には、02章15話の裏側の話です。


 ・-・-・-・-・-・-・


 誰かに呼ばれているような気がして目を開ける。


「目が覚めたか」


 ショートカットでボーイッシュな女の子がこちらの顔を覗いていた。……なぜ、目の前に美少女の顔があるんでしょうか?

 だんだんと頭が働いてこの状況を理解し始める。目の前にある美少女の顔、その後ろには青空が広がっている。全身が何かに密着しているが、感触が違う。頭は柔らかいものに触れているが、尻や足にかけては冷たく固いものの上に乗っかっている。


「大丈夫か?」


 美少女が問いかけてくる。その顔はとても心配そうだ。


「もしかして気分が悪いのか?」

「じ、自分は大丈夫です……」

「なら良かった」


 心臓のドギマギが止まらない。こちらを心配してくれて、元気だと分かると嬉しそうに微笑んでくれた。控えめに言って天使か?


「起きてすぐに悪いんだが、あなたの名前を教えてくれ」

「……さ、佐藤和彦です」

「そうか。漢字も教えてくれると助かる」

「えっと、にんべんに左、くさかんむりに――」


 名前の漢字を教えながら心臓はバクバク音を立てている。名前の漢字まで聞いて、自分に興味があるのでありましょうか……? こんな美少女が? だとしたら、なんて幸運が舞い込んできたんだろう!


 大上久美子ちゃんを推して2年。生活できるギリギリのお金で暮らし、それ以外は推しに貢ぐ人生。しかし最近大上久美子ちゃんには好きな人がいるらしく、うっとりとした表情を浮かべることが多くなった。心なしか前より綺麗になった気もする。いったい相手は誰だろう。変な奴だったら僕が守らなくちゃ!

 そう思っていたところにこんな可愛い天使がやってきた。なんにもならない推しに貢ぐより、この子に貢いだ方が付き合えるかもしれない!


「あ、あの!」

「何だ?」

「き、君は、名前は何て言うんだい?」

「俺? 守里咲だ。それじゃあ気を付けて帰ってくれ」


 じゃあな、と告げて咲たそはさっさと公園を出て行った。

 ――心にぽっかり空いた穴に、咲ちゃんへの思いが詰まっていく。きっと運命に違いない。

 咲たそのことをもっと知りたい! そう思った途端、体は動き出していた。


 後日、咲が半田と同棲しているのを知って公園で発狂するおじさんの姿があったのはまた別のお話。

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