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ここはどこですか?

 まーちゃんへ


 私は体を小突かれる感覚で意識が戻った。

 まぶたを開けると、秘宝館みたいな家に住んでた侯爵が、私を見下ろしていた。


 私は動こうとしたけれど、手の自由が利かない。見ると、手枷がはめられている。

 私は犯罪者か!


 侯爵は憎たらしい笑みで、

「さあ! 奴隷、我が領地、我が城に悪しき魔法がないかどうか感知せよ」


 侯爵は私の髪の毛を掴んで、無理やり立たせた。


 私はやっとの思いで、

「侯爵。ここが侯爵の領地ということは、もしや私はダルジャンにいるのですか? 何故ですか」


 私が今いるのは、えんじ色の絨毯に左右に曲線がある大きな階段がある部屋。侯爵の城の広間かな?


 侯爵は不機嫌になり、私をぶった。

「物わかりが悪い奴隷だな!」


 イッタ! ックソ!

 でも、とりあえず、誘拐されたってことだよね、きっと。


 侯爵は得意げに、

「お前はルーンブルク王国妃として、我が妻になるのだ!」

「ルーンブルク王国?」

 私は思わず尋ねていた。


 侯爵は意気揚々と、

「王はいつまで経ってもお前を我が領地に送らなかった。あんな若造に従っていられるか! だから、ルーンブルク王女のお前を娶って、王になって国を再建してやることにした」


 何それ?

 完全に逆恨みじゃん。


 侯爵は声を弾ませながら、

「嬉しいだろう! 奴隷から王妃になれて」

「嫌です。侯爵、考え直してください。独立すれば、ヴァレンヌ王国と必ず戦争になります。侯爵の兵力だけでは王国には敵いません」


 侯爵は再びいきなり私を殴った。

 私はイモムシみたいに床を転がった。顔以外にも体中が痛い。


「奴隷の分際で口答えするのか! お前は俺に従っていればいいんだ!」


 ここで、この侯爵の言うことを聞くのがブタれなくて、一番楽なのはわかっている。


 私の脳裏に、オリヴィエ王の顔が浮かんだ。

 犬っころみたいな甘えた表情をしている。


 私は顔を上げて、

「私はオリヴィエ王の奴隷です。王以外には従えません」


 侯爵は今度は私を足で、何度も踏みつけた。


「アァ」

 私は痛みで呻く。


 ぶたれる度に、昔のぶたれまくった記憶が蘇って、吐きそうなんだけど。

 でも、屈したくはないんだよ。


 昔の私じゃないんだから。

 今の私は、犬っころの還る場所なんだよ。


「王がなんだと言うんだ!」

 侯爵は唾を飛ばしながら叫んだ。そして、言葉を続ける。

「今の俺はルーンブルクの残党が味方だ。そして、カリシュタも俺についている」


 つまり、侯爵の背後でルーンブルクの残党とカリシュタが糸を引いているのか。

 

「侯爵。あまり王女に乱暴をされては困りますな」

 そう言いながら、階段を降りてきたのはエルスピオだ。

 右手には赤い曲剣を持っている。


「おぉ、エルスピオよ!」

 侯爵は親しげに、王妃を寝取った祈祷師に声を上げた。

 あんたもこの祈祷師に、頭、やられたんじゃないの?


 侯爵は祈祷師に向かって、

「ここはお前に任せる。王女を従順な家畜にしろ」

「お安い御用です」祈祷師が頷きながら答える。


 侯爵はそう言って、階段を意気揚々と登っていった。


 そして、エルスピオは私に向き直った。

「早速ですが、あなたの血を少しばかりいただきます。あなたの血を持って、オリヴィエ王の命を絶ちましょう」


 エルスピオの赤い剣がきらりと光った。


 そして、彼は静かに、冷たい声で言った。

「あなたの心は、それで、へし折れる。枝を折るより容易だ」


 私の背中がゾクリと震えた。


 逃げられない。

 でも、なんとかしなくちゃ。


 私は必死の思いで立ち上がり、逃げ出そうとした。でも、体が痛みでうまく動けない。


「動くと、急所に当たるかもしれませんよ。じっとしてください」

 エルスピオの冷たい瞳が私を射抜く。


 私は諦めるわけにはいかないんだよ。


 瞬間、室内に影が走った。

 窓を見ると、誰かが窓を突き破って侵入してきた。


 ガラスまみれの男は私を素早く抱きかかえ、再び窓の外へと飛び出す。


 男を見ると、カシェだった。


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