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セリーヌ王妃の元へ

 王の居住区画の入口には、オリヴィエ王や宮廷魔術師長とか兵士の人もいた。なんか物々しいね。


 王は私を見ると、リュミエール様に怒鳴った。

「なんで、アニエラを連れてくるんだよ!」

「祈祷師の魔法を跳ね返すためです。丁度いいタイミングでローブや鏡が届いてよかったです」

「良くない! 僕はそのためにローブを注文したんじゃない! 祈祷師の魔法の対策として、宮廷魔術師長を連れてきたじゃないか!」


 びっくりするくらいの剣幕で王は怒っている。

 そして、私に向かっても大きな声で、

「アニエラ、下がれ! これは命令だ!」


 私は一礼して戻ろうとしたのを、リュミエール様が押し留めた。

「陛下。宮廷魔術師長の結界が無意味になるかもしれません」

「僕はアニエラを連れて行きたくないんだよ」


 奥さんが住む区画だからかな……。

 全然、どういうことかわからないな。


 リュミエール様が、

「わかりました。アニエラを置いていく条件として、あなたもここにいてください」

「嫌だ。僕は王として、彼女の夫として、全てを確かめたい」


 それなら、尚更私が必要だよ。私を連れて行かないと、君は祈祷師に殺られちゃうよ。


 私の心を視たオリヴィエ王がハッとした表情で私を見た。


 祈祷師の心の闇は深いよ。その闇を直接視てしまったら、君の心はボロボロになって、二度と戻らないよ。

 でも、私の心だけを深く視続ければ、絶対に祈祷師の心は視なくていい。私が何があってもさせない。


 リュミエール様が、

「時間がありません。アニエラの同行をお許しください」


 オリヴィエ王はため息をついてから、静かに言った。

「そうだな。アニエラの同行を……許す」


 私たちは急ぎ足で、王妃の区画へと向かった。


 私はオリヴィエ王が私の心の深くを見つめるのを感じた。これで、彼は私以外の心の中は見えなくなった。


 男の人達の歩幅についていくのは大変で私だけが駆け足みたいになっている。

 少し息が上がりながらも馬上試合のことを思い出していた。


 私が跳ね返した魔法を放った術者は、オリヴィエ王への憎しみと恨みと殺意を異常なまでの強さで明確に抱いていた。


 王様だから、誰かの恨みは買うことも多いのはわかる。でも、一体、誰なのだろう。


 ううん、面倒くせえや。

 奴隷の私が知っていいものでもないし、気にするだけ無駄なんだ。


 私たちは王妃の住まいへと足を踏み入れる。

 王の区画より狭くて、質素な作りだ。


 皆、気が立ってるから、周囲をきょろきょろする余裕もないよ。


 王妃の侍女が、私たちを見て、オロオロしだして、先に進もうとするのを拒んだ。

 王が命令しても避けない。すごい度胸だよ。


 リュミエール様が、

「アニエラ。これからの光景は何があっても他言してはいけませんし、動揺することなく、しっかりと王を守るのですよ」

「わかりました」


 え? 何? 猟奇的なやつ? なんか、あ、魔法的な世界だから、魔族みたいなのとかが徘徊してるとか?


 えぇ? だとしたら。ごめん。最悪すぎる、自信ないな。


 私は前世で観たファンタジーバトルアニメを思い出していた。

 やっぱり魔法の世界はパないね。


 兵士が王妃の部屋の扉を開けた。

 扉の向こうには、着衣が乱れたセリーヌ王妃と男がいた。


 拍子抜けだよ。

 つまんね。

 期待して損した。


 踏みこまれたセリーヌ王妃は露骨に動揺し、踏み込んだ側も凍りついてちゃってる。二人がどんな関係かわかってて踏み込んでるんでしょ、もっとちゃんとしなよ。


 私は祈祷師の男を見つめる。赤みがかった焦げ茶色の髪の毛。


 仮面の下はきっとグチャグチャなんだろうな。あんたの自業自得だけどね。


 祈祷師は顔を、私の方に向けて言った。

「アニエラ王女」

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