宮廷のホットトピックとがっかりするリュシル様
私に話しかけてきたメイドは好奇心に満ちた瞳で、
「ねえ、王様に子種がなことと継承者に王弟のクラウス様が指名されたことが公表されたじゃない」
「そうなのですか?」
昨日、オリヴィエ王が荒れたのはセリーヌ王妃と一悶着あったからか。
それで、緊急事態だと判断したリュミエール様が、魔法で王弟様とやりとりをしたんだろうな。
メイドは面白くなさそうに、
「王の側にいるのに、何か聞かされなかったの?」
「そのような難しい話は、私には誰もしません」
「宮廷内はこの話題で持ちきりなのよ!」
余程、何かを聞き出したいのか私に向かって、
「王妃様ともし王様が離婚されたら、新しい恋人が王にできるかもしれないのよ? 何か思ったりしないの?」
「私は王の奴隷ですから、王のご意思に従うまでです」
メイドはがっかりした様子で、部屋を掃除して出ていった。
私は軽く溜め息をついた。
本当に、オリヴィエ王にいい人ができてほしいよ。
私みたいな路上売春上がりにお熱になってないでさ。
もっと、きれいで、可愛くて、優しい子に、お熱になってほしいよ。
ねえ、まーちゃん。オリヴィエ王と付き合ってみない?
だいぶ、オリヴィエ王の好みからはハズレるんだけど、悪くないと思うよ。
難点はまーちゃんがここにいないってことなんだけど。
とりあえず、私たちとは真逆の子を募集してます。
オリヴィエ王はとっても優しい人だからさ。誰か頼むよ。
メイドが去った後、私は空を見上げて休憩をしていたら、今度はリュシル様がやって来た。
王に子種がないことは、公妾のリュシル様には事前に知らされていたらしい。
久しぶりにやってきたリュシル様はがっかりした様子で、
「ねえ、アニエラ。たとえ、私が王と離婚したとしても伯爵様とラブラブになれるわけじゃないのよね。次の人も親が勝手に決めちゃうから」
「そうですか」
「それだったら、伯爵を近くで見ることができるから、今のままがいいわ。大好きなの、筋肉ムキムキで、運動神経抜群なところが」
いい人いるよ。
筋肉ないし、運動音痴だけど、とびっきりを通り越して、世界一優しいいい子だよ。
あんたの今の旦那なんだけどさ、同性愛者の雰囲気百パーセントの伯爵から乗り換えてみない?
応援するよ?
リュシル様はため息をついて、
「はあ。馬上試合での伯爵様の勇姿を想像しただけで、幸せすぎて召されちゃいそう」
馬上試合での王様のヘタレっぷりを想像しただけで、幸せすぎて……召されちゃいそうは……無理だ。心配することしかできないよ。




