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魔眼の王と恋する奴隷  作者: 桜雨実世


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背徳の深夜飯に私は付き合わされています

 まーちゃんへ


 今日は命令で、朝から晩まで魔法を感知して、すっかり疲れちゃったよ。

 えっと、王宮の宝物庫の宝物に悪い魔法がかけられていないかどうか調べてたわけ。


 戻ったら、服も脱がず、私はベッドの上で寝ちゃった。


 私が目を覚ますとあたりは真っ暗。うわ、最悪。夜中じゃん。夕食食べそびれた。まあ、いいけどさ。


 オリヴィエ王もベッドの上に横たわっていて、精神だけは私の中にいる。

 彼にとって、私の精神世界が、第二の家みたいになってんだけど。いや、まあ、いいよ。


 今日は平日だから、奥さんのとこに行く日のはずだけど、いるということは、奥さんは二人とも生理だろうな。


 私は、ドレスも脱がなかったなーと思って、服を見たら、ちゃんと寝間着になってた。家宰の人が着替えさせてくれたのかな。


 どうしようかなって思ったら、オリくんが魔法を使った。

 瞬間、私の意識が引っ張られる感覚がある。


 目の前の風景が変わる。

 私の意識が、精神世界に行ったからね。


 オリくんはいつもののぞみさんの部屋にいた。

 室内は暗くて、深夜のバラエティ番組の明かりだけが頼り。


 現実と精神世界の時間を合わせたんだ、ふーん。今日のオリくんは凝ってるね。


 オリくんはニコニコしながら、

「起きた? 起きた? 僕ずっと待ってたんだよ」


「うん、ちゃんと起きた。用があったら、起こしても良かったのに。オリくんが起こしてくれたら、ちゃんと起きて、相手するよ」


「だってさ、きららちゃんが疲れてるわかってるからさ。それに、待ってたら、絶対いつかは起きるし」


 まあな。


 ところで、オリくん。

 なんで、そんな他愛のないことを言うだけで、顔を赤らめて、モジモジしてんの?


「きららちゃん、コンビニ行こう」

「いいけど」


 私とオリくんは深夜の街を歩いて、近所のコンビニへと向かう。


「君がさ、まーちゃんと一緒に食べた、SNSの深夜飯、僕も作ってみたい」

「そうなんだ」

「そういうご飯ってさ、ストレス溜まってる人が作って食べるんでしょ?」

「偏見だよ。でも、間違ってはないかな。それを深夜に試す人の三割くらいはストレスで、眠れない人だと思う」 


 オリくんは王様なのに、ストレスが半端ないからなー。


 オリくんはラーメンを手に取った。

「ねえ、オリくん。それ、とっても辛いラーメンだよ。オリくんの世界にはない味覚のものだから、あまり辛くないピリ辛レベルのものから試したら?」


 オリくんの国には辛味に相当する香辛料がないんだよね、実は。

 マスタードと胡椒が精々だよ。だから、唐辛子と山椒に耐えられるのか心配になる。ちなみに、胡椒は輸入品。


 多分だけど、この世界は地理的なやつが地球と似てるっぽいから、気候も似てるんじゃないかな。だから、南あたりから胡椒を輸入してるんだと思うんだ。


 そして、激辛ラーメンだけど、私が何度も食べたものだから、完璧に味が再現されるはず。オリくんは精神世界とはいえ、ショックで死ぬかもしれない。


「だって、きららちゃんが好きだったもの食べてみたい」

「私、こっちのカルボナーラも好きだよ」

「それ、明日にでも僕らの世界で作れるし」


 駄目だ、止めらんねー。

 なんで、激辛ラーメンにハマった、過去の私!


 私は袋に、ラーメンとか色々とつっこんで、アパートに戻った。

 ちなみに、私の記憶を模した精神世界だから、お会計は必要ない。


 オリくんはやかんに水を入れ、ガスコンロで温め始める。


「僕さ、きららちゃんが好きなアレンジで食べてみたい」

 そう言って、カップの蓋を開ける。


「嗅いだことがない臭いがする」

「唐辛子の臭いだよ」


 お湯を注いだ。

 辛味が立ち上ってきたら、オリくんは、

「なんか、ヒリヒリする」


 辛いやつだからね。


 出来上がった、激辛ラーメンに角煮と温玉を入れ、躊躇なく、すすって、むせて、ゴホゴホ咳き込んだ。


 私は乳酸飲料系ジュースをオリくんに飲ませた。

「このジュース、甘くておいしいな」

「ね? 辛いのって痛いでしょ」

「でも、きららちゃんが好きなもの食べれて嬉しい」


 涙目になりながらも、ニコニコ笑顔で言うんだよ。

 あんた、マジ大丈夫なの?


「私がそれ食べるから、オリくんはこっち食べなよ」


 カップうどんで作る健康キャンセル界隈油うどんと交換した。


 私が、オリくんが一口だけ食べた激辛ラーメンをすする。

 うわ、辛い! ウマッ!


 オリくんは私が食べる様子を、瞬きもせず見つめ、顔が真っ赤になってる。

「大丈夫? 顔がすごい赤いけど。……現実に戻って、医者でも呼びに行こうか?」

「ううん、行かないでほしい! 大丈夫だからさ! あのさ、味見しない? こっちのうどんも」

「え? 地球で何回も食べてるけど」


 もう味見しなくてもいいくらい、おいしいってわかってるんだよ。


「久しぶりに食べなよ、おいしいから」

「オリくん、それ一口も食べてないじゃん」

「これから食べるよ」

「まあ、いいか」

 私は一口うどんをすすった。


 マヨネーズ、チーズ、オリくんでも食べられるレベルのラー油の辛みでうまー。


 オリくんは嬉しそうに、慣れない手つきながらもうどんを食べ始めた。


 ちなみに、精神世界で、いくら食事をしたところで、夢の中でご飯を食べてるようなものだから、体の空腹が満たされることはない。


 つまり、アニエラの体は腹が空いている。

 まあ、いいんだけどさ。

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