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私は奴隷になったんだって

 まーちゃんへ


 私がこの世界に生まれてから、結構な月日が経ちました。

 私はよくわからないけれど、どこかの国の王女として生まれたらしいです。それで、カリシュタという国に人質として送られたらしいです。


 らしいが続くのは、私が幼い頃の出来事過ぎて何も覚えていないから。


 まーちゃんは今は何をしていますか? きっといつもどおり、しっかりとおしゃれをして、町をさっそうと歩いているんだと思います。


 つい最近も、日本とはやっぱり違うんだなと思ったことがあったので、教えてあげるね。


 私はいつものように、王子様の魔法の練習と称して、王子様が放つ火の魔法の的役として逃げ惑っていたんだ。


 それが終わったら、偉い人から、「お前の生まれた国がヴァレンヌ王国に滅ぼされた。今日からお前は王女じゃない。単なる奴隷だ。奴隷としてこの王宮においてもらえることをありがたく思え」と言われたんだ。


 日本にいた頃は、国が滅びるなんて聞いたこともないよね。やっぱり日本とは違うんだなと思ったことがこれ。


 何か奴隷になったら変わるのかなと思ったら、あまり変わらなかったよ。


 私は今も王女様が馬に乗る時の台代わりだし、王子様の魔法の的だし。


 本当は、奴隷になったから、セックスでも強要されるかと思ったんだ。

 ほら、日本にいた頃、図書館で読んだ本に書いてたんだ。


 女奴隷がセックスを強制されることは少なくないって。

 じゃあ、仕方ないかなって思ったんだ。


 私もまーちゃんも日本にいた頃、ずっとやってたから、まあ、それと同じかなって思うんだよね。


 あの頃の私たちは親のところにもいることができなくて、路上で適当なおじさんとホテルに入って、お金を稼いでたよね。


 食べるものがない日もあったし、泊まる場所がない日もあって大変だったよね。

 夜中に町中をうろつく未成年者を補導する警察から走って逃げたこともあったよね。


 少なくともここだと食べるものはあるし、補導される心配もないよ。

 いつも、食べ物はいもばっかりで、一日一回しかないけれど、水がしっかり飲めるから大丈夫。


 奴隷になったら、もっと食べ物はひどくなると思ったけど、きちんと一日一いも生活が続いてるよ。

 人間、いもだけでも生きていけるからすごいよね。


 でも、体を見ると、ガリガリで肋骨の骨が見えて、思わず笑っちゃうことある。

 まるで、人生RTAしてるみたい。


 私は死ぬまで、王女様に踏まれて、王子様の的になって、王宮の人たちに馬鹿にされながら生きていくんだろうけど、今日もまーちゃんが幸せに暮らしていますようにって思えるだけで幸せだよ。

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