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予定時間より早く出店者入場開始となったので、私はスタッフさんから出店者用の赤いリストバンドを受け取る。それから4階までエスカレーターで上がり、ブースの設営を始めた。組み立て式の立体型什器を持ってきていて、事前に家で練習してきたけれど、それでも組み立てに手こずる。一旦どうにか設営完了させたものの、テーブルの向きが反対だったのでまた1からやり直しとなった。やり直しも爆速で終わらせ、ようやくXに設営完了とポストできる状態になったのだ。
それからしばらくして私の作品を取り置きしてくれていたフォロワーさんたちがブースに来てくれる。Xで話したことはあれど、会って話すのは初めてだったので緊張して何を言っているかわからなくなった。商品とお金の物々交換を終え、私も取り置きをお願いしているフォロワーさんのブースへ行くことにする。
「○○さんいらっしゃいますか? 初めまして、相沢です」
私はそれぞれのフォロワーさんにiPhoneでXの画面を提示し、挨拶をした。商品を受け取ってお金を渡す間にそれぞれ立ち話もする。設営中にいきなり押しかけてごめんよと思ったけれど、みなさん快く対応してくれた。私は取り置きしていた本やもらったフリーペーパーをバッグに入れ、自分のブースに戻る。
一般のお客さんがどんどんやってくるのが見えた。開場時間に来る方は事前に行きたいブースを決めてから来ている方が多いので、私みたいな弱小サークルは注目もされないだろうと考える。
「……文学フリマ東京40、ただいま開場です!」
アナウンスと同時に一般参加のお客さんが入場する。会場では拍手も起きた。文フリに行くよと言ってくれていた知人が、真っ先にブースに来てくれる。
「来たよ。15分前とかに着いたんだけど、結構並んでてさ」
と一般参加者入場の状況を教えてもらい、立ち話をした。『ニューヨーク恥かき旅』と『一等星』と『familie』の3点を購入してくれ、私は知人を見送る。
それから20代後半くらいの男性客がブースで立ち読みをしていた。作品についての話をし、年齢も近いことがわかる。彼は小説3冊セットを買ってくれた。11時30分くらいから私もフォロワーさんのところに行こうとブースから離れる。
事前にチェックしていたフォロワーさんのブースに1軒1軒行き、簡単に挨拶をし、本を購入した。Xで話したことはあっても実際に会って話すのは初めてだったので、特別な時間でもあったのだ。私は4階のフォロワーさんのブースを爆速で周り、商品をバッグに入れ、再び自ブースに戻る。