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リバティアスダイヴ ~カレナとナレカの仮想世界 カレナはナレカの世界を救うためゲームを作る~  作者: リバティ
第2章 ティアジピター編 ~ナレカとカレナの世界への侵略者~
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第81話 カレナとナレカの短縮詠唱


私は気を取り直して話を始めた。


「王妃、ようこそリバティアスダイヴへ。当たり前かもしれませんが、意識体分離ってナレカさん以外も使えるんですね」


「無論だ。転移魔法陣を無事に通れるか些か不安ではあったがな」


「ですから、何とかカレナを連れてくると申し上げたではありませんか!」


ナレカだけが特別とは思ってなかったけど、それでも扱える人は少ないようだ。

それにしても中々冒険心に溢れた王妃様だね。


「なるほど、我が国もよく再現できておるのは賞賛に値するが、

これでは異世界に来た感じがしなくて、ツマランな」


そういう目的で作った世界なんだから仕方ないでしょうに。

私はひきつった笑いをするだけで、口には出さなかった。


「さて、妾に頼みたいことがあるのだったな。

大体想像はついておるが、短縮詠唱を教えてほしいのだろう?

妾が女神術を使ったときのうぬ等の目は血走っておったからな」


 王妃がさらっと本題に入った。短縮詠唱というそのままの呼称らしい。

血走ってると言うほどだったかなぁ。ナレカさんは確かに食い入るように見てたけど。


「勿論タダでとは申しません。今後のために使えるようになりたいです」


ナレカは素直に頭を下げた。


「そもそも修行なり契約なりして、どうこうできる類のものなんですかね?

普通の人間には扱えないとかだと諦めるしかないのですが」


アタシは素朴な疑問を王妃にぶつけた。ナレカが睨んでる。

え? 今のも無礼?


「相変わらず可愛げのない。無論、人単体では無理だ。

ただ始動詠唱を省略系で詠唱しても発動はせぬ」


ですよねー。でも何かしら手続きを踏めば普通の人間でも出来るってことだね。


「短縮詠唱は精霊と契約することで、対応可能だ。

簡単に言えば充填詠唱を精霊が肩代わりしてくれるという仕組みだ。

始動詠唱も短縮しているのは精霊への合図みたいなものと思えばよい」


王妃は続けて説明した。なるほど中々合理的だね。

人間には聞き取れないぐらい早口で精霊が詠唱してるのかな。


「なるほどです。でも、それが出来るなら、いっそ全部肩代わりしてもらえないんですかね?」


「無詠唱で精霊に合図を送るだけで発動させるということも理論上可能ではあるが、それが出来るものは数える程しかおらぬぞ?」


いるにはいるということか。所謂規格外的な存在ね。


「理屈は分かりました。精霊との契約が肝ということですね」


ナレカも納得した。契約がどんなものか分からないけど挑戦する価値はありそうだ。


「そうすると、ここでは無理そうですね。そういった機能は ”今は” 実装していないので」


王妃の眉がピクッと動いた。


「”今は” か。いずれここでも出来るようになるということか?」


「はい、仕組みは理解したので、あくまで疑似環境ですが実装は可能です。

精霊がどんなものかも分からないので、すぐには無理ですが」


「なら、もう一度リバティアスに来ればいいじゃない。

アンタにとってはゲームの新しいネタなんだし、何を躊躇してるのよ?」


「いやぁ、そうなんだけど、社長……あー、私の組織のトップに止められてんの!」


「はぁ?礼儀知らずのアンタが自分のところのトップに尻尾振ってんの?

喧嘩すりゃいいじゃん」


ナレカは軽い感じで提案してきた。たしかに賢者会と喧嘩してたね。


「いや、そういう問題じゃなくて、クビになったらどうするんだよ!

この国じゃ、定職に付いてない奴は食ってくのに苦労するんだって!」


この国でファンタジー世界みたいに冒険して食っていくなんて出来る訳ないだろう。


「ふむ。何やら生々しい話をしておるな。社長とやらの許可がないと動けんということだな」


社長の許可の話をしていたその時――


「分かったよ。許可しよう」


誰かがログインしてきた。これはこちら側の人間だ。


「ど、道楽社長!」


「王妃、お初にお目にかかる。先ほどカレナ君から話のあった社長の道楽と申します。

実質このリバティアスダイヴの最高責任者と思っていただければ」


道楽社長は淡々と自己紹介をした。


「ほう、うぬがか。見知った顔ににておるな。帝国軍の隊長の親戚か?」


皆そう思うよね。それくらい似ている。


「いいえ、カレナ君から話は聞いてるけど、彼とは面識はありませんよ。

それよりカレナ君をそちらに滞在させるということだったね」


いやいや、滞在するつもりは全くないんだけど。


「なぜ、許可する気になったのだ?」


王妃は道楽社長に尋ねた。


「大事な社員だからね。危険に晒したくないというのは今も変わらないさ。

だけど、なんだか遠慮してるカレナ君を見るのはどうも忍びなくてね。

それより彼女の意思を尊重しようと思ったんだ」


私は普段は遠慮してないのかね。ユウキが目を瞑って大きく首を縦に振っている。


「すみません社長。ここでは許可したけど、あとでクビとかないですよね?」


「今聞くのかい、それを?」


道楽社長は半笑いで答えた。この場では答えられるはずもないか。


「心配しなくてもクビにはしないよ。僕が許可を出したという手前ね。

それに、スカラベの亜種が彼方此方で猛威を振るってるみたいでね。

この件、カレナチーフはどう思う?」


道楽社長は私に何か考えがあると思っているようだ。


「なるほど、分かりました。やっぱり野放しには出来ませんね」


「何の話?」


ナレカは不思議そうに聞いてきたが、私は黙っていると、それ以上は何も言わなかった。


「話はまとまったようだな。では道楽社長、カレナを借りていく」


「カレナチーフ、言うまでもないけど、自分の命を守ることを最優先にね」


私が他所の世界のために命を投げ出すキャラには見えないことを分かってるだろうけど、あえて社長はそう言って私を送り出した。


こうして私は再びリバティアスダイヴへ向かうこととなった。


最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

面白いと思った方は、いいね、評価、ブクマ、感想、誤字ご指摘、何でも結構ですので、いただけますと幸いです。

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