第74話 ギンジとミヅキとゲーム部
◇東京◇
都内のとある高校への通学路。
オフのギンジ、原田銀次は高校三年生である。
ツンツン頭の学生服姿で、身長は高めで、180cmぐらいある。
今日も通学路をノロノロと歩いていた。
「ふぁあ、眠ぃ~。学校休みゃ良かったかな」
銀次は大きなあくびをしながら、呟いた。
明らかに寝不足なのが見て取れる。
ふと、後ろから足早に近づいてくる気配があった。
気づいてないのか、気にしてないのか、銀次は振り返らずに歩いている。
「コラァ、銀次!」
バシッ!
後ろから来た女子に竹刀で頭をひっ叩かれた。
「痛ぇっ! お~瑞希、ぉはよ」
銀次の同級生の音羽瑞希が詰め寄ってきた。
ポニーテールでキリッとした顔立ちの剣道女子で、こちも同年代の女子の中では身長高めで170cmぐらいある。
まぁ、よくいる清楚キャラのテンプレみたいな感じかな。
「君はまたゲームしていたのか? 最近道場にも全然顔を出さないし。
部活にも出てないだろ? 弛んでるぞ!」
バシッ!
瑞希は再度竹刀で銀次の頭を叩いた。銀次が鈍いのか悉く脳天に炸裂している。
「痛ぇって! いやいや、だって世界を救うために戦ってるんだから仕方ないだろ?」
銀次は頭をさすりながら弁明になっていない弁明をした。
実際はそうなんだろうけど、事情を知らない瑞希に説明しても理解を得られないよ。
「それは何回も聞いた! ゲームの話を現実に持ってくるな。
君はいよいよ廃人になってしまったのか!?」
瑞希はさらに銀次に詰め寄っている。
竹刀を振り回しているが、今度は銀次は交わしている。
「別に学校に登校はしてるし、成績も悪くないはずだが?」
「いーや悪いね。成績上位とは言えない!」
「お前自分を基準にしてるだろ。ハードル高ぇって!」
テンプレ的な瑞希の成績は大体3位以内に入っているようだ。
彼女の言う上位とは、学年10位以内とかの話だろう。このゲーマーには無理だよ。
「なになに、また痴話喧嘩? 朝から見せつけるね~」
「アツアツですねぇ」
さらに後からやってきた同級生の男女二人が銀次達を茶化してきた。
「星凪!麻莉! いいところに来た。助けてくれ」
さわやかな男子の方はオフの弓使いの星凪、
オタク系眼鏡女子の方はオフの魔術師の麻莉である。
「君はゲーム部の部員じゃないんだ!いい加減に遊びに行くのをやめろ!
君等からも銀次に言ってやってくれないか?というか誘わないでくれ」
2人はゲーム部の所属だけど、銀次は剣道部に籍を置いている。
だけど、銀次は部活をサボってゲーム部に入り浸っているようだ。
「え~、大事な仲間なんですよぉ。世界の平和を守らないとですからぁ」
麻莉の回答に、瑞希はダメだコイツ等と言いたそうな顔で見返した
そんな話をしているうちに学校に到着した。
「取りあえず午前の授業始まるから、また昼休みにね~」
朝のやり取りは有耶無耶に終わってしまった。
◇
昼休みーー
「いや~、全く毎朝毎朝懲りねーなアイツも」
銀次が部室に入ってきた。お前もなと言いたくなるシーンだ。
「あれ? 逃げ切れたの?」
「いや、アイツも飯食ったらここに来るだろうから匿ってくれ」
銀次は空いてる席にどかっと座った。
「カレナかチャリティーソードからクエストとか来てねーの?」
「クエストは来てないけど、闘技場の試合のイベントの告知はあったよぉ
ティアジピターに闘技場作るんだってぇ。”向こう”に本当にあるらしいねぇ」
リマから話を聞いた途端、銀次は席から飛び上がるように立ち上がった。
「おっ、ついに来たか。よっしゃ腕が鳴るぜ」
「そういえば、カレナって暫く見かけなかったけど、どっか行ってたの?」
銀次が拳を叩いてる横で星凪はその様子を見上げながら聞いてきた。
「ん?まぁ、ちょっとな。ナレカ絡みだ」
「あーそれ、絶対面倒くさい奴だよね」
そうだよ、その通りだよ。面倒事に巻き込まれたんだよ。
「ところで、他の奴らは何してるんだ? クエスト中か?」
銀次は部室内にいる数人の部員の様子を確認した。プレイ中のようだ。
「普通の素材集めだよぉ。参加するならお昼食べてからねぇ」
ガラッ!
「コラァ、銀次!」
勢いよく部室の扉が開けられると、怒った瑞希が入って来た。
「げっ、来んの早ぇよ! 飯食ったのかよ?」
「ここで食べる! 今日は君を説得すると心に誓ったからな」
話し合うと行ってる割には手に竹刀を持っているけど。
「プレイしようと思いましたけどぉ、痴話喧嘩見てからにしようかなぁーー
って熱ぅ!」
ガシャン!
VRゴーグルが熱くなっていた様で、麻莉は思わず床に落としてしまった。
「おいおい、どーした? 大丈夫か?」
「銀次! 話を聞け!」
銀次は一生懸命話題を逸らそうとしているが、瑞希は意に介さない。
「VRゴーグルがぁ、すごく熱くなってますぅ。皆ぁ大丈夫ぅ?」
周りの部員たちは黙々とクエストを行っている。聞こえてないのだろうか?
「あれ? かなり没頭してるね。レアな素材でも見つけたのかな? チャット送ってみよう」
星凪が部員達にチャットを送るが反応がない。
「あれぇ? 皆すごい集中してるねぇ、おーい――、って熱ぅ!」
麻莉がプレイ中の部員の一人のVRゴーグルに触れると、やはり熱くなっていた。
「触れないくらい熱いよぉ、ちょっと中断した方がいいよぉ皆……
おーい……!? きゃわぁ!」
ガタン!
!?
銀次達は麻莉の悲鳴を聞いて振り向いた。
部員の一人がVRゴーグルを付けたまま立ち上がって麻莉の首を絞め上げている。
「おい、何やってる!? やめろ!」
銀次の叫びにも一切応答がない。麻莉の顔が青ざめている。
かなり本気で締め上げているようだ。
ガタガタガタッ!
その後、続々と他の部員もVRゴーグルを付けたまま席を立ち上がった。
ただ事ではない事態であることを察した銀次達は臨戦態勢に入った。
部員の一人が椅子を持ち上げて銀次に向かって投げつけて来た。
「うわっ! 危ねぇ!」
ガタン!
間一髪で銀次は攻撃を回避した。
「やめるんだ? 自分が何をやってるか分かっているのか!?」
瑞希は竹刀を構えて牽制したが、部員達の反応は薄い。
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