第66話 ナレカのカレナの脱獄
約3時間半後、アタシは目を覚ました。
カレナは既に起きて透視をしている様だが、難しい顔をしていた。
「どう、カレナ、寝れた?」
「はい、寝れました。精神体としても寝ればリフレッシュするもんですね」
カレナは上を見たまま返事した。上の様子に集中しているようだった。
「どうしたの?」
「どうと言われると……。
理由は分かりませんが、兵士の半数ぐらいが城の外に出て行きましたね。
特別何かあったと言う訳でもなさそうなので、いつもことなのかな。
それにしたって、地下2階とか兵士誰もいないんだけど」
カレナから話を聞くと、兵士達が外の見回りに出て行ったようだ。
慌てて出て行く様子ではないことからイレギュラーではなく、毎晩出ているのでは?ということだ。おかげで、城は手薄だ。
「不気味だね。チャンスかもしれないし、罠かもしれないね。どうしたもんかね」
キズミはどうするか慎重に考えていた。
「取りあえず兵の巡回ルートを確認してシミュレーションしてみましょう」
「そうは言ってもよ、プレイヤー達も寝ちまってるんじゃねぇのか?」
カレナは淡々と進めようとしていたが、もう夜だ。
健全な生活をしている人達なら寝る時間だけど。
「大丈夫ですよ。今から活動する人達と、寝ずにプレイする人達がいるので」
ヘビーユーザーとはそういう感じらしい。ゲームにそこまで夢中になれるものかな。
透視を再会して小一時間後、リバティから巡回ルート把握の連絡があったので、カレナにその旨を伝えた。
「随分早いですね。やっぱりそんだけ手薄ってことかな。ユウキに繋いでもらえます?」
アタシは万能鏡でリバティアスダイヴと通信を繋いだ。
「チーフ、夜の部をギンジさんとチャリティソードのメンバーにテストプレイしてもらったのですが、全然手応えがないみたいです。
やはり何かの罠の可能性がありますが、どうしましょうか?」
「考え過ぎじゃないの? チャンスなら活かすべきだと思うけど」
アタシは率直な意見を述べた。兵がいないことは透視で確認している。
不測の事態があるかもしれないが、増援はなさそうだ。
「賭けに出るか? 俺もそっちに賛成だな。もう待つのはいいだろ」
ジンギは動き出そうとしている。キズミも頷いている。
「了解です。ま、取りあえず瓦礫どかして外出てみますか」
「皆さん気をつけて下さい。リバティと状況をモニタリングしてますから」
リバティアスダイヴ側はいつでもサポートできる状態だ。
ドゴン!ガラガラ……
アタシとカレナでローフレアを放ち、瓦礫を砕いていく。
誰もいないようだし、感づかれてはいなさそうだ。
数分後人が通れるスペースが空いたので、外を覗いてみる。
元々尋問室があったエリアだ。廊下が続いており、人の気配はない。
「本当に人はいなさそうですね。では、脱出の成功率を上げるため、牢屋の囚人を解放しましょう。牢の鍵持ってるんですよね?」
以前尋問官の対応をした際に兵士から鍵を奪っている。
尋問室は地下2階、囚人を解放するために地下3階への階段へ向かう。
牢屋には何人か捕まっている人がいた。
「ねぇ、犯罪者を解放するの何か気が引けるんだけど」
この国を混乱に陥れたい訳ではない。アタシは正直な感想を述べた。
カレナから、そんなこと言ってる場合じゃないだろと言われる気がしたけど、以外と普通の返答が返ってきた。
「うーん、軽く会話して利害が一致しそうな人だけ解放しましょうか。
後ろから刺されたら堪らないので、ガチで殺人鬼っぽいのはやめておきましょう。
キズミさん、なんかこう、冒険者の勘で、雰囲気見分けられないですかね?」
「アタイはエスパーじゃないんだよ。あんまりアテにしないでくれよ」
キズミは文句を言いながらも囚人達と会話を始めた。
「げへへへへ、姉ちゃん達、冒険者だろ?災難だったなぁ」
ゲスな笑い声のネズミの様な顔の男がいた。
あれは関わらない方がいいんじゃないかなぁ。
ところが、キズミはソイツと話を始めた。
「アンタ、殺しで捕まったんじゃなさそうだね。盗みかい?」
「げへへ、分かるかい? ドジっちまってさ。
なあ、姉ちゃん達どうやって牢から出たんだい?
俺っちにも裏技とか教えてくれねぇかねぇ?」
男は脱獄したい様だ。キズミは鍵を投げた。
「え、大丈夫なの?」
「盗人なら影響ないっしょ。あっちにも盗人いたんで、解放しますよ」
カレナも軽いノリで囚人達を解放していた。
「げへへ、気前がいいねぇ。一体何が欲しいんだい?」
盗人達は対価を確認してきた。以外と話の通じる連中なのね。
「聞くまでもないだろう? アンタのわけまーー」
「宰相についての情報持ってるなら」
キズミが金を求めるのに被せてカレナが希望を出した。
「げへへ、訳ありかい。そうかい、アンタ達ティアマーズから来たのか。
宰相はティアマーズの生き残りに執着してるからなぁ」
どういうことだろう? やっぱり恨まれてる?
「私等が生きてると都合が悪いんですね」
「詳しくは知らねえ、だが、魔獣の大群がいなくなったのも奴のおかげなんだ。
ティアマーズには悪いが、恨みっこなしで頼むぜぇ」
魔獣の大群とは、おそらくデモンリザードのことだろう
「別に恨んでないよ。全滅させたから」
「げへ? あの大群をか? こりゃ、宰相殿が聞いたら焦るだろうねぇ。
そうだ、向こうの牢にティアマーズの騎士団が何人か捕まってるぜ」
奥の牢に4人の男女が収監されていた。どうも人間の扱いは雑だ。
「ん? お前達、ガウロんとこの騎士団か?」
ジンギは収監されてる人々に見覚えがあるようだった。
「そうですが、まさか、ティアマーズの冒険者ですか?」
ジンギは「いや、俺は傭兵だ」と軽く訂正していた。
騎士達は武器や防具は身につけていなかったが、
佇まいから騎士の雰囲気を感じた。
「これは、さすがに助けないわけにはいかないね」
アタシは鍵を開けて騎士団を解放した。女騎士は深々と礼をした。
「助かりました。賢者会のナレカ殿ですね。どうしてこちらに」
「多分お前等と同じだ。訳も分からず捕らわれちまった」
アタシが答えるより先にジンギが騎士団に経緯を簡単に説明した。
「そうでしたか。しかし、ご覧の通り我等は丸腰、どうやって脱出しようか」
「なぜか分からないけど、地下2階と3階には兵士がいないの。脱出するなら今の内だよ」
「え? りょ、了解しました」
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