第64話 カレナの脱出シミュレーション
アタシはプレイヤー達のプレイをジンギ達に投影して見せた。
「まずは瓦礫をどかすところですが、比較的瓦礫が薄い箇所が2カ所あります。
どちらからでもいいですが、巡回の兵が近くまで来るので気をつけて下さい」
カレナは万能鏡に地下2階の地図を写して現在地と瓦礫が薄い箇所に印を付けた。
「で、こっから先はプレイヤーに任せましょう」
アタシはプレイヤー達の状況をジンギ達に投影して見せた。
物陰に隠れながら静かに進んでいる。――が。
「貴様! そこで何をしている!」
「やべっ、見つかった。お前等、戦闘だ」
兵士に見つかって戦闘が始まった。数人であれば難なく対処できるが、
カンカンカンカン!
「脱獄だ!」
警鐘を鳴らされ、次々と兵が押し寄せてきたため、数で負けてしまった。
「やられた場合は瓦礫のところから再スタートになります。
ちなみにレベルアップして教会からやり直すこともできます。
シチュエーション的に装備は整えられないようにしてますが」
「結構慎重に進んでても見つかっちまうもんだな。ここの兵士はやっぱ練度高ぇな」
ジンギは映像を見てタイミングを研究していた。
そこからしばらくプレイヤーが挑戦するが地下1階から1階へ中々進めずにいた。
「ちっ、以外と面倒だね。何か策はないのかい?」
「うーん、あるにはあるんですが、確実ではないですね。
ご存じの通り地下2階は尋問室や取り調べをするエリアで、地下3階が牢屋です。
牢屋の囚人達を解放して注意を引かせるというのが思いつきますが、こちらに都合よく動いてくれるか分かりません」
なるほど。囚人は何人かいたから、やってみる価値はありそうだ。
「後はいっそ夜まで待つか、ですね。一般的には夜の方が手薄ですよね。
まあ、実際のところは見てみないと分からないですが」
「分かったよ。じゃあ夜の警備状況も見ようじゃないか」
キズミはまたゴロンと寝っ転がった。
「ねぇ、カレナ、ユウキが困ってるみたいなんだけど」
向こう側でユウキがアタシに相談をしてきていたので、カレナに伝える。
「ナレカさん万能鏡の親機と子機つなげてもらえますか?」
万能鏡は実体の親機と、鏡に映る虚像を子機として意識体が持ち歩ける様になっており、親機と子機は互いに通信が出来るようになっている。
帝国の技術力の高さが伺えるけど、根本の仕組みは古代魔法でブラックボックスらしい。
向こう側の意識体のアタシが持ってる子機と、こちら側のアタシが持ってる親機を繋いだ。
「あ、チーフ聞こえますか?」
万能鏡の親機にユウキの顔が写っている。
「聞こえてるよー、どーしたー?」
カレナはフランクにユウキと会話している。
「あのー、やっぱりプレイヤーが思ったより増えないですね。
警戒されちゃって、皆宮殿に入りたがらないんですよ」
「やっぱり罠にかける様な方法では、皆やりたがらないか」
カレナはしばし考え込んでいる。
入っちゃダメと言われたら当然警戒する人がほとんどだろうし、好奇心で入ったら捕まるって分かったら尚更だろう。噂は一瞬で広がる。
「なぁんだい、所詮ゲームなんだろ?気にせずとっ捕まって攻略法探してくれりゃいいじゃないか。メンドクサい連中だね。
アタイからガツンと言ってやろうか?」
横で聞いてたキズミが小言を言っている。
「いやぁ、大半のプレイヤーは現実世界と繋がってる事を知らないので……。
キズミさんが出てくると……いや、そうですね。ちょっと協力してもらえます?」
カレナは否定的な意見から急に切り替えた。何か思いついたようだ。
「いいよ、何をすればいいんだい?」
カレナはヒソヒソとキズミと密談を始めた。
◇リバティアスダイヴ◇
カレナが向こうに行ってからアタシはギンジ達のプレイ状況を観察した。
上手くいっていないようだ。他のプレイヤーはどうなんだろうか。
(ナレカさん)
アタシが宮殿を透視していると、リバティが話しかけて来た。
「リバティ? 何?」
(万能鏡を貸していただけますか?リバティアスダイヴの機能をいくつか実装します)
「え? そんなことできるの?」
万能鏡はリアルリバティアスの魔道具だ。
創造主とはいえ、仮想世界の者がアタシ達の世界の道具を改造できるというの?
しかも制作者の帝国ですらブラックボックスの部分があるというのに。
(はい。万能鏡は既に解析済みですので。
それから、ナレカさんをこのゲームに正式にユーザ登録しました。
この世界のプレイヤーになりましたので、掲示板などのUIにアクセスできます)
リバティは淡々と答えた。
掲示板ってギルドにあるクエストが貼りけてある板のことよね。
アクセスってどういう意味だろう。
淡い光がアタシを包んだ後に消えた。見た目上は特に変化はない様にみえる。
(終わりました。ナレカさんメニュー画面を開けますか? こちらヘルプになります)
アタシの目の前のメニュー画面の開き方と言うタイトルの画面が現れた。
指でサインを描いて画面を開く仕様になってるらしい。
画面の指示に従ってメニュー画面を開くジェスチャーをする。
ヒュン
メニュー画面が開かれた。この世界の魔法と思っておけばいいのかな。
トップ画面から装備、ステータス、アイテムなど、複数選択できる項目がある。
アタシはステータスを確認した。
「これはアタシの能力値?」
(はい。以前解析した広域分析の結果の色の度合いを数値化したものです。
どこまで正確かは分かりませんので、あくまで指標とお考え下さい)
そこそこ信用できそうな気がする。客観的に自分のステータスが見れるのはありがたい。
最後に掲示板を選択した。クエストについての掲示板はあったが、それだけではないらしい。
プレイヤーがリモートから一つの板に皆で書き込んで会話するらしい。画期的な技術ね。
いくつかのテーマごとに掲示板は分かれており、そのテーマに絞って会話をしている。
ちょうどティアジピター宮殿についての議論が交わされている様だったので覗いた。
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