第38話 ナレカの旅立ち
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第2章書き始めましたので、よろしければ。
ナレカはリバティアスダイヴ内を透視投影でスキャンする。
サールテらしき人影は見当たらない。完全消滅した。
「ふぅ、やっと終わった。過去を清算できた」
「ナレカさん、折角ですしナァカの体使って東京を散策してみますか?」
「それも悪くないかもしれないけど、取り合えず帰るよ」
「隣国とか帝国に行く機会があったら教えてください」
「はいはい」
「あと、妹さんの意識体を探す方法を考えてみましょう」
「そうね。その時が来たら頼むかも。それじゃ、またね」
「バイバイ、ナレカさん」
ナレカの意識体は転移魔法陣を通ってリアルリバティアスに帰って行った。
◇
その後、私はこれまで通りゲームの管理者をやっている。
「色々大変だったようだね。怪我大丈夫かい?」
「道楽社長お疲れ様です。大した怪我じゃありません。坂東チーフは?」
「坂東チーフは全く覚えてなかったけど、責任を感じたのか辞めてったよ。
ということだから、ナァカの面倒も見てやってくれないか?」
覚えてないのは当然だよね乗っ取られてたんだから。どうせならナァカも連れてけよ。
「それより僕も今度ゲームに参加させてもらうよ。帝国の装備を使いたいね。
君は僕が成し遂げられなかったことを成し遂げたのだ。引き続きよろしく頼むよ」
どこまで本気なのかよく分からなかった。
プレイヤー界隈では、王都を巻き込んだサバイバルクエストの件でプチ炎上していた。
最後の方が無理ゲーすぎたのと、報酬が少ない、中途半端に終わったなどが理由だ。
この一件は掲示板などで語り継がれているが、あのあまりにもリアルなNPC達は本物人間だったのではないかと噂されていたが、その後、向こう側の会話の辻褄を合わせるように調整して何度も挑戦できるようにしたため、本物説も徐々に薄れていった。
本当のことは言わないつもりだけど、あの場にリアルタイムで参加していた100人余りのプレイヤーはあの時確かに世界を救った勇者達だったのだ
◇リアルリバティアス◇
取り合えず町はほぼ元通りになっていた。
国王は城の上層からその様子を見ていた。
「陛下、こちらにおられましたか」
騎士団長ガウロが国王に話しかけて来た。
「ガウロか。ワシはここに立ち戦士達を鼓舞したそうだな」
「? そうですね。かなり危険な行為でした。あのようなことは」
ガウロの話を王は遮った。
「実際のワシは隠れていただけだというのに、ここには真の王が立っていた」
ガウロは何を言っているのか理解できず「は?」と返事したのみだった。
「この座を明け渡すときの様だ……ワシにはふさわしくない」
「陛下! それは……」
国王はそれ以上何も言わなかった。
◇
「はぁ、とんだ目にあったわ。こんな属国早く出て帝国に行きたい」
リマ達は文句を言いつつ帝国軍も移動の準備を始めていた。
この一件を本国に報告するためだ。
「……」
「隊長?」
黙って考え込んでいるクラウドにリマが話しかける。
「いえ、認識を改めないと、と思いましてね。我々はここで魔族を一人倒した。
カレナさんのおかげとはいえ、帝国でさえ成し遂げられていない偉業ですよ。
女王陛下もさぞ驚かれるでしょう。今後は対等の付き合いを考えなければなりません」
「何をバカな、そんなことは……」
その偉業を目の当たりにしているため、他の隊員も何も言えなかった。
「それに、サールテを倒したことにより魔族側は遊び感覚ではなくなったことでしょう。
一刻も早く女王陛下にこのことをお伝えし、戦力の増強しなくてはなりません」
クラウドは真剣な目をしている。
「やっぱナレカも連れ行きます? アイツ、魔族連れて来た重罪人ですよ?
ま、トラブルばっかり起こすんで一緒にいたくはないんですけど」
不満そうな顔でリマはクラウドに聞いた。
「異界交信を罪とするなら、成果を求めた我々もですよ。これは事故です。
それに結果論ですが、魔族を倒す偉業を成し遂げるのに一役買ったのも事実です。
彼女の意思は尊重します。やりたいことがあるようですし」
アタシの預かりしならないところで処遇を決めていた様だ。
◇
アタシは王都ティアマーズの宿屋の一室でベッドに横になりながら考え込んでいた。
さて、これからどうするか。
誰かがドアを開けて部屋に入ってくる。
「……おい、ナレカどうした?」
いつも行動を共にしている傭兵の男、ジンギ・ダハーラが部屋に入ってきてアタシの顔を覗き込んでいた。毎度毎度ノックぐらいはしてもらいたい。
「これからどうしようかと思ってね」
「お? 何か考えてんのか?」
「折角だし隣国にちょっと行ってみようかと思って」
「ティアジピターにか? カレナにネタを渡すためか?」
「それはついで。デモンリザードがいなくなった後どうなったか、見ておきたい。
それにナルカを助ける方法を本格的に探すならここから出ないとね。ナルカも一緒に連れてく」
カレナがナルカに憑依したようにアタシの意識体を憑依させれば多少ナルカを動かせる。
ようやく少し余裕ができたから、アタシのやりたいことをやろう。
「ナルカも一緒か。分かった。んじゃ俺も行くわ」
ギンジは付いてくる気の様だ。
「いやいや、傭兵団どうすんのよ?」
「俺は別に団長じゃねーし、俺いなくてもどうにかなるって。
神術師団が本格的に活動を始めたしな」
強引に押し切られた。
「話は聞かせてもらったよ。アタイも付いていこうかね」
なぜか、キズミまで勝手に入って来た。
「えぇっ! キズミまで。気楽に一人旅しようと思ったのに。
ていうかアンタもギルドはどうすんのよ?」
「あそこの連中は保守的でツマラナイんだよ。カレナんとこのエロボウズ共の方がまだマシさ。
別にアタイはギルドマスターでもないし、気軽に抜けて来たよ」
はぁ、2人共自由だね。
「ナレカ、ここを出るのか?」
キーユも部屋に入って来た。不安そうな表情をしている。
「アンタはどうするの? 帝国に呼ばれてるんでしょ?」
「そうだけど、次の賢者長への引き継ぎもあるしね。すぐには行けないよ。
次の賢者長は君にお願いしようかと思っていたんだが」
「冗談じゃないわ。側近でも捕まえてそいつにやらせなさいよ。
じゃなきゃカレナ呼んできてあげるよ」
「彼女は勘弁してくれ! 分かったよ。まぁ断られるだろうとは思っていたよ」
キーユを軽くあしらった。引き止めるつもりもなさそうだ。
旅支度を終えたアタシ達はクラウド達と合流した。
馬車を用意しているようだ。
「途中までご一緒しますよ。僕らは先に帝国まで行きますが」
先に行くって、後でアタシが帝国に行くみたいじゃない。
「はいはい、じゃあお願いします」
「庭園の魔法陣はどうするのですか?」
「賢者会に警備を任せたから、そのままにしておく」
「ということは、ご友人にまた会える可能性があるってことですね」
何で嬉しそうなのよコイツ
「マジで言ってます? あんなウザい奴ともう会いたくないですよ。
できればナレカともここまでしたいんですけど!」
リマはそんなに関わってないと思うけど嫌われてるね。
「アタイはもう一回会いたいねぇ」
「俺もだ。生き返らせてくれた礼をちゃんとできてないしな」
キズミとジンギは会いたそうだ。
「カレナは二度と行きたくないって言ってたけど、なんかまた会う気がするね。
よし。んじゃ、ナルカ、行こうか」
新天地に向けてアタシは進みだした。
またね。カレナ。
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