表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リバティアスダイヴ ~カレナとナレカの仮想世界 カレナはナレカの世界を救うためゲームを作る~  作者: リバティ
第1章 ティアマーズ編 ~カレナの魔物討伐シミュレーション~
26/100

第26話 カレナVSナレカ


「……」


その様子をナレカは無言で見つめていた。


「さて、ナレカさん、先ほど説明した通りここはゲームの世界で、プレイヤーの行動が記録されていたから主犯を特定できました。これを現実世界でやろうとするとそうはいきません」


現実世界では人の行動記録なんて取ってるはずがないし、仮に取っていたとして、それを精査する人工知能もない。人の手で捜査するしかないんだ。


「いつ、どこで行動するかも分からないプレイヤーキラーを張り込んで見つけ出すのは非現実的です。報酬が目的という点で先ほどのマリと目的が一致しているので、ここでの事件と同じと仮定して推理してみましょうか。ただし参考になるかどうかは分かりませんよ?」


「それはさっきも聞いた。いいから説明して」


ナレカが説明を求めて来た。


「まず、奪い取った報酬ですが、アイテムであれば換金するでしょう。

しかし、王都内で換金したら足が付く可能性があり、リスキーです。

なので、換金するなら隣国でしょう。ティアジピターでしたっけ。

だとすると、換金はまだできていないのではないですか?」


まだ外には魔獣がうろついている。それなりのパーティーでないと隣町まで行くのは厳しいだろう。


「さらに、換金できるまでの間はどこかに保管しておく必要があります。

王都内に保管していては、見つかる可能性があり、やはりリスキーです。

なので、王都の外、隣国との間に何かあるなら、そこに保管している可能性が高いです」


「奪われた物がどこにあるかは後でいい。それより先に犯人の目星をつけて」


ナレカが急かしてきた。何様?


「はぁ、犯人は金が目的で、かつ被害者の行動をある程度把握できる人物となると、稼ぎの少ない同業者の可能性が高いのですが、真っ先に疑われるでしょうから、彼らにはアリバイがあることでしょう」


ナレカは黙って聞いている。腕組んで指をトントンしてるけど。

私は構わず説明を続けた。


「予想できるのは、今回の様に報酬の何割かを渡す代わりに盗賊や山賊に冒険者に扮して襲ってもらうことでしょう。ターゲットがクエストの帰りなどで、疲弊しているタイミングは犯人が把握しているでしょうし」


「はぁ、聞いて損した。賊ごときが変装したぐらいで王都に簡単に入れる訳ないでしょ!」


ナレカはイライラしながら反論してきた。

あまりにも横暴なので私も段々イラついてきた。


「ですから、侵入経路も逃走経路も犯人が手引きしたということなんでしょう。

それに変装も騎士団には見破られるかもしれませんが、民衆には分からないでしょ?

案外こちら側と同じく犯人はジンギさんのパーティの誰かなんじゃないですか?

ほら、魔術師の女性とか怪しくないですか? 強欲な人って、とことん強欲なものですよ?」


バシッ!


「痛ったぁ! 何なんですかもう!」


ナレカに頬を思いっきり引っぱたかれた。


「ふざけないで! リマは死んだのよ! ジンギの仲間がそんなことするはずない! いい加減なこと言わないで! アンタなんかよりよっぽど信用できる!」


案外純粋なんだなぁ。

と言うか、もういいよね、これ。


「あっそ、じゃあもう知りませんよ。そっちで勝手に探してよ。こっちは便利屋じゃないんです。

指名手配でも討伐クエストでも何でもすればいいじゃいですか?どうせ見つけ次第処刑するんですよね?」


「討伐?処刑? 何言ってるのアナタ? そんなわけないでしょう。騎士団が城に連行して、取り調べして、王室がしかるべき判決を下すに決まってるでしょ!」


「あ、裁判するんですね。その後、火炙りの刑とかですかね?」


「バカにしてるの?!」


どうも中世のイメージで話すのは良くなさそうだ。


「そうですか。いずれにしても我々にできるのはここまでです。

後はそちらのやり方で解決させればいいんじゃないんですか?」


「真面目に考える気はないようね」


「真面目に聞く気がないようですので」


お互いに引くに引けない状況になってしまった。


「大体、犯人捜しだの罰するだのって、ゲームでシミュレーションするものじゃないですよ。

人間同士のいざこざはこのゲームは向かないってことです。

あ、でも帝国と戦争する予定なら、シミュレーションしてみたい気もしますけどね」


バシッ!


「痛ったぁ!」


本日二度目のビンタである。


「帝国と戦争!? イカれてるのアナタ!」


はぁ、綺麗ごとを……。


「いつまでも帝国の犬になるつもりはないんでしょう? なら腹くくんないといけないかもしれませんよ?」


「アンタ、所詮現実のリバティアスもゲームの世界と同じだと思ってるんでしょう。楽しんでるんじゃないの?」


「そうかもしれませんね。ゲームのネタとしては帝国との戦争は王道ですからね。

こちらは犠牲も出てませんし。何なら小国が焼け野原になるさまをお見せしましょう……か?」


私は杖で軽くナレカのお腹をトンと小突いた。


「喧嘩売ってんの!? この根暗賢者!」


ナレカがブチ切れてローフレアを詠唱して私にぶつけてきた。熱っ!


「何すんだよ! この無能賢者!」


私はすかさずローサンダで応戦する。ナレカは悶えている。

本格的に女神術の応酬が始まった。


「おい! 何やってんだ? やめろお前ら!」


ギンジが止めに入ろうとするが近づけない。


「チーフやめてください!」


バックのエンジニア達も何か言っているが聞こえない。


「クソッ!クソッ! 犠牲を極力少なくしてやって来たのに!

何でこんなことで仲間が死ぬんだ!私は何もできなくて……」


ナレカは泣き叫んでいた。私に言うなよ。


「それは貴方が弱かったからでしょ! 私に当たらないで!

悔しかったらビービー泣いてねーで中級女神術の一つでも覚えろよバーカ!」


「っ! 貴様っ!」


ナレカは攻撃の手をやめて、私を睨みつけた。

そして、ブツブツ言いながら、杖の先端を光らせて振り回してきた。

杖にエッジで刃を付けてる様だ。ここで物理攻撃?


バキン!


私も持っている杖で応戦する。


「何言ってるか聞こえないですよ!言いたいことがあるならはっきり言えば?!

図星を突かれて物を振り回すとか幼稚すぎ!」


相変わらずブツブツ言いながら殴り掛かってくる。

が、数回振り回したところでナレカは距離を取った。何してんのコイツ?


あ。


ナレカは杖を振り回しながらずっと詠唱していた。コイツ、中級女神術覚えたんだ。


「チッ! もう!」


対抗して私も中級女神術を唱える。間に合うか?


「お前らやめろって! 洒落になんねーぞ!」


「おい!何の騒ぎだ?」


自警団もやってきたようだけど、もう詠唱始めちゃったからこの喧嘩は止められない。


「時間かけすぎだよバーカ! 轟雷!それは女神の制裁!」


「……暗闇!それは女神の堕天!」


私が詠唱を完了したと同時にナレカも詠唱を完了する。


中級女神術を同時に当てれば相殺される。相殺……ん?

何でそんなに詠唱に時間かかったの?――


「ミドルサンダ!」


「ハイダーク!」


目の前の空間が割れて闇の力が溢れ出す。

ミドルサンダはあっさり闇に飲まれていった。

中級女神術と上級女神術ではまるで勝負にならない。


「そんなの使えるなら最初から――」


闇に蝕まれ強烈な寒さと痛みが襲ってきたと思ったら意識が途切れた。


ハイダークは近くにいたギンジも自警団も呑み込んだようだ。


最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

面白いと思った方は、いいね、評価、ブクマ、感想、誤字ご指摘、何でも結構ですので、いただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ