第22話 ナレカの遺跡攻略
3体のガーディアンが動き出す。リアルで見た時と同じ連携を取り始めた。
ブォン! ブォン!
ガードファイターはひたすら斧を振り回していて近づけない。
長物のため、攻撃の範囲が広い。
「牽制します。爆炎!それは、うきゃっ!」
ブスッ!
マリの背中に矢が突き刺さる。
「気を付けて! ソイツ術者を潰すらしいから!」
「なら、野郎を先にヤルぜ!」
ギンジはガードハンターに切りかかる。
しかしガードナイトが割って入り盾で防御する。
バキィン!
「クソッ! なめやがって!」
バキィン! バキィン! バキィン!
攻撃を続けるが盾で防がれており、ギンジの武器にダメージが蓄積されヒビが入っていた。
「やべっ」
ガードナイトは薙ぎ払いでパーティを吹っ飛ばしていた。
こちらも同じく攻撃の範囲が広い。
しばらく戦闘を継続したが、結局勝てそうにないため、いったん退却し、王都に戻った。
「装備の強度よく再現できたね」
「ナレカさんの広域分析魔術の結果と装備の材質から試算しています」
完全かどうかは分からないけど。
「リアルと同じく、西の洞窟から採れた鉄鉱石を使って武器を強化します。
ギンジ達は鍛冶屋に行きました。それから、戦術をいくつか見直しましょう」
「どうするの?」
「装備のダメージが課題ですからね。装備の強化だけでは足りないかもしれません。
今までは攻撃の女神術ばかり使ってきましたが、補助系の女神術をもっと使っていきましょう。
攻撃力を上げるエッジ、防御力を上げるハード、速さを上げるランズ辺りですかね?
有効そうなのは」
「そういうのは女神技じゃできないから純粋な魔術師が必要ね」
女神技は基本攻撃女神術特化らしい。魔術師を多めに揃えた方がよいだろう。
「取り合えずエッジとガードをかけましょう。で、気になったことがあります。
女神技への重ねがけが可能なのかどうか」
試したことはないだろう。ゲームでは割と制限されるものだが、現実はどうだろうか。
「当然フレアとアイスを付与したら打ち消し合うでしょうが、エッジとハードとフレア
とか効果がお互いに干渉しなさそうなのは重ねがけできるんじゃないですか?」
「あーできるかもね」
「それにプラスして広間に入る前、つまりアイツ等が動き出す前に神術付与をしてから挑みましょう」
「アリなの?それ?」
ゲームなら戦闘モードに移行しないと技が使えなかったりするけど、現実にそんな制約はない。
武器の強化が済んだギンジ達に戦術を伝える。
「なるほど、じゃ、リベンジと行きますか!」
一行は再び遺跡の中に入っていった。
途中のガードソルジャーとガードウィザードは武器を持っている右腕だけ落として、先に進んでいった。
「思い切ったやり方ね」
ナレカは感心していた。
敵の行動パターンを把握しているからこその時短である。
再び3体のガーディアンの広間の手前まで来た。
「硬化、それは女神の防御」
「鋭利、それは女神の爪先」
「俊足、それは女神の疾走」
「轟雷、それは女神の制裁」
装備に順番に付与する。ガーディアンはまだ動き出していない。
「いくぜ!」
走り出したと同時にガーディアン達が動き出した。
マリともう一人の魔術師で詠唱を始める。
ガードハンターはマリの方に矢を放った。
その矢を戦士が盾で受け止める。
キィン
盾は強化しており、なおかつハードもかかっているため、ノーダメージである。
構わずマリは詠唱を続けてハードをさらに戦士にかける。
ガードハンターは継続して矢を放っているが盾にすべて弾かれる。
そのまま戦士はジリジリとガードハンターに近づいていき、
剣の間合いに入ったところで、大剣でガードハンターを攻撃する。
その隙にもう一人の魔術師と弓使いがガードファイターを攻撃する。
敵の攻撃範囲が広くて近づけないため遠距離でチクチク攻める。
ガードファイターは弓使いを攻撃しようとするが、ランズがかかっているため、追いつけない。
ギンジともう一人の剣士でエッジをかけた女神技を使ってガードナイトを攻撃する。
ガードハンターのフォローをできないように行く手を阻む。
「いい感じね」
「はい。魔術師を守ることとバフを切らさないことに注意すれば勝てるでしょう」
「よし、リアル側も挑戦する」
リアル側も装備の強化が終わっていて広間前まで来ているらしい。
「討伐の様子はこちらにも中継してください。まだ隠し玉があるかもしれませんから」
◇リアルリバティアス◇
遺跡の10階層目の広間の手前でアタシはガーディアンとの戦闘の様子を投影していた。
「いいねぇ、これならいけそうだよ。アンタに頼んで正解だった。
今回は魔術師も頭数揃えて来てる。やるよ」
キズミは手ごたえを感じているようだ。
「まったく、言っとくけどお金にならなかったら承知しないよ。
ジンギのアホが無賃労働してくれたみたいだけど私はそうはいかないから」
「悪かったって。仕事のつもりじゃなかったんだって。めんどくせぇな」
魔術師のリマが釘を刺してきた。
ジンギはバツが悪そうな表情をしている。
「はいはい。そこは心配しないでもらいたいね。アタイの嗅覚に間違いはないよ」
お金だろうが財宝だろうが武具だろうが、基本金属の匂いだと思うんだけど。
「さて、始めるよアンタ等!」
投影しているプレイヤー達に倣って補助女神術と女神技を重ねがけしていく。
準備ができたところでガーディアン達に先制攻撃するために走り出した。
動き出すガーディアン達。
ガードハンターには矢をハードで防ぎながら近づいて反撃し、ガードファイターにはランズで攻撃を交わしながら遠距離攻撃、ガードナイトにはエッジで強化した女神技でラッシュをかける。
「よし! 完全にこっちの戦術にはまってるわね! ん?」
リマは違和感を覚えた様だ。
ガードナイトが赤く光っている。
ブォォォン!
ガードナイトが盾から衝撃波を放ち、ジンギ達が吹き飛ばされた。
「うわっ、何が起きた!」
同時にガードファイターも赤く光り斧を地面に突き刺した。
ブォォォン!
地震が発生し、立っていられなくなる。
「クソッ!」
さらにガードハンターも赤く光り、天に向かって矢を放つ
ヒュンヒュンヒュン!
矢の雨が降って来ていた。意表を突かれ皆が追撃を食らっている。
これが隠し玉ってやつか。
(ナレカさん! いったん広間の外側まで撤退してください!)
向こう側でカレナがアタシの意識体と話をしている。
(おそらくこのガーディアンも時間が経てば復活するのかもしれませんが、今は回復していないようです。
一度テリトリー外まで出て、体制立て直してから挑んでください)
そんなのアリなの? だけど、なりふり構っていられない。
「みんな! いったん撤退!」
「はぁ? 何言ってんだい! 押し切るしかないだろう!」
「奴らのテリトリーの外に出るってだけ! 仕切り直す!」
パーティはいったん広間の外まで撤退した。ガーディアンは追ってこない。
「セコイやり方かもしれないけど、ピンチになったら、広間の外に退避して体制を立て直してから
また挑む形を繰り返そう」
「あぁなるほどね。ま、何だっていいさ。目的はお宝だからね。確かに向こうは回復してないし、
必要以上に追ってこないんだから、これでいいのかもしれないね」
メンバーは呼吸を整え、回復し、そして改めて女神技と補助女神術でバフをかけて、ガーディアンに挑む。
何とかガードハンターの右腕を切り落とすことに成功した。腕がくっつく様子はない。回復していないのだ。
徐々にこちらが優勢になって来た。逃げて回復して、また挑んでを数回繰り返してようやくガーディアン達は沈黙した。
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