第21話 カレナと遺跡構築
◇リバティアスダイヴ◇
「どう、調子は?」
ナレカの意識体が再びリバティアスダイヴにやって来た。
「まぁボチボチと言ったところですね~。ナレカさんの方は順調ですか?」
「女神技の方は順調。アタシ自身の女神術はもうちょいね」
訓練は続けているようだ。
「全然ダメね」と言わない辺り多少の効果は出ているようで、よかった。
「あれから、魔獣は補充されてますか?」
「されてるにはされてるみたいなんだけど、ペースが落ちてる気がする。
デモンオーガが定期的に数匹増える程度ね。心配し過ぎじゃない?」
たしかにデモンリザードを用意した時の様な勢いを感じない。
デモンオーガなんて女神技を覚えた今ならただの雑魚じゃないかな。
「何かの準備期間なのかもしれませんね。この間に犯人を見つけられればいいですが」
私がそう答えると、ナレカは煮え切らない反応を示した。
「王都周辺の施設はいくつか回ったけど、しがない盗賊や山賊がいる程度だったね。
そもそも魔獣を補充している犯人とやらがいるかどうかも怪しくなってきたんだけど」
もうよくない?という反応だ。
「分かりました。では、今は引き続き女神技の強化を続けていけばよろしいかと思います。
私達の出番はしばらくなさそうですね」
ちょっと残念だけど仕方ないね。
「それなんだけど、ちょっと戦力増強のプランで動いてることがあってね」
ナレカは別件の話を始めた。
素材や先人たちの遺産や武器を取りに遺跡に入っているとのことだった。
「いいじゃないですか!ダンジョン攻略ならいいネタになりそうです!
というか、庭園の遺跡はやっぱり中に入れるんですね」
私はナレカが持ってきた話に二つ返事でOKした。
「はぁ、そう言うと思った」
ナレカは半ば呆れた表情で応対した。
「じゃあ、まずは古代遺跡ダンジョンの中を見せた方がいいね。
地下数十階層に及ぶらしいんだけど、最下層までは透視投影することはできない」
「手前で鉄鉱石取ったっていう王都西の洞窟についても投影お願いします!」
「はいはい」
ナレカが投影してくれたダンジョンをリバティに読み込ませる。
私はバックのエンジニア達とのチャットを開いた。
「最近マンネリだし、なるべく早めに調整してリリースしてくれる?」
「分かりました」
まず、王都西の洞窟のダンジョンを生成した。そこにデモンウルフを配置する。
洞窟については、こちらでシミュレーションせずに攻略できたみたいだし、
ビギナークラスというところだろう。
すぐにエンジニア達が調整してくれたので、ダンジョン攻略クエストをリリースした。
その日の内に多くの挑戦者が洞窟に入っていった。
「さて、では改めて古代遺跡エリアを生成しましょうか」
「庭園はもう作ってあるよね?遺跡部分どうなってるの?」
「透視投影で覗いてみれば分かりますが、何もありません。空洞になってます」
ガワだけ作ったからね。
ナレカから遺跡探索を記録した万能鏡を受け取り、リバティに中身を読み取らせる。
ガーディアンとの戦いが収められていた。
「中は古いお城なんですね。確認できてるのは10階層まででしたか」
「そうね。で、コイツ等が手こずってるガーディアン」
3体のガーディアンとの戦闘記録が映し出された。ゲームには持ってこいのネタだね。
リバティに詳細に読み取らせる。
「カレナ、アナタが今見ただけでも改善点はある?」
「えーと、まず、敵の攻撃に装備が耐えられてないので、強化が必要ですね」
「そうね。それはアタシも思った。
ちょうど洞窟で上質な鉄鉱石が手に入ったから強化するつもり。他には?」
「後は、敵の行動パターンを把握することです、ガードファイターは敵全員を牽制してますし、
ガードハンターは術者を潰すようにプログラムされているようですので、
詠唱は最低2人以上で同時にやった方が、どっちかは狙われずに済みます」
「プログラム?」
「予め行動指針をガーディアンに指示しておくということです。
ガーディアンはそれに基づいて動いているので、逆にそれ以上のことはして来ないでしょう」
その証拠に詠唱を止めるために矢を放ってからは追撃をしていない。
指示された以上の行動はしないということだろう。
「敵の行動パターンの把握こそシミュレーションの出番です。皆にプレイしてもらうので少々お待ちください
あ、それとは別に個人的に興味があるので、ガードソルジャーとガードウィザードのガワをいくつか回収できますか?」
「は? 嫌よ。運んでる最中に蘇ったらどうすんの?」
「テリトリーの外に運び出しても復活するんでしょうか?。ということも含めて、
今後のことも踏まえて復活のカラクリは調べておいてそんなはないと思います」
「そんなの知らないけど、持ってくなら2着ずつね。意味あるか分かんないけど拘束具もつけておく」
ナレカはかなり嫌そうだったが、2体ずつぐらいであればすぐに制圧できると判断したようだ。
鎧はともかくローブに拘束具は中々シュールだけどね。
「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」
古代遺跡エリアの生成と、ガードソルジャー、ガードウィザードの配置が完了した。
早速ギンジを呼ぼう。
「よぉ、カレナ、ナレカ、なんだか楽しそうなことやってんな」
「うん。庭園にある遺跡のエリアを作ったんだ。やってみない?」
「新しいダンジョンか。やるぜ!仲間集めてくるわ」
ギンジ達のパーティに挑戦してもらうことになった。
「よし、じゃあデモンリザードの時と同じようにリアルタイムでこちらの映像流すね」
「賢者長さんにまた手伝ってもらうんですか?」
「まさか。この前は規模が大きかったから手を借りただけ。ガーディアン3体とパーティ数名だったらアタシだけで十分。それにここ最近の特訓で魔力も上がってるしね」
ほほー頼もしい。
私とナレカ含めてギンジ達パーティ8人が遺跡エリアに入った。
「おお、すげー」
「こんなになってたんですねぇ」
「悪いけど録画に専念するからアタシを守りながら戦ってくれる?」
「護衛はお任せください」
私は鼻息を荒くしてナレカの護衛役を提案する。
「一応聞くけど、戦えるの?」
「中級女神術までは使えますので」
「あっそ、嫌な奴」
最初の廊下で、ガードソルジャーと対峙する。
「やっぱこういうの定番だよな!」
「でも、リアルだから新鮮」
ズバッ!ボン!
ガードソルジャーの手や首を落とすが、構わず攻撃してくる。
「あれ? 不死身?」
「あ、手足破壊して行動不能にするらしいですよ」
私はナレカから聞いた内容を助言した。
これで手こずってもらっては困るからね。
一行は難なくガードソルジャーを全員行動不能にした。
「こっち側のコイツ等も復活するようにしたの?」
ナレカは聞いてきた。
「はい、時間が経つと再び動き出すようにしてます」
行動不能にした敵の修復ではなく、一度完全に消してもう一度配置するだけだけどね。
リアルリバティアスの構造と同じく、執務室を通ってさらに奥に進む。
「お宝ないですかねぇ」
魔術師のマリがお宝求めて辺りをキョロキョロしていた。
でも、この辺のお宝は取りつくされてるらしいから配置していない。
次の廊下でガードウィザードに遭遇する。
魔術を使ってくる分、さっきより厄介だが、一行は特に問題なく対処していた。
「多分ですが、“何か”が鎧やローブに乗り移って動かしてるんでしょうね。
で、その“何か”を倒さないと延々に復活すると」
「何かって何よ?」
「それは現時点では分かりませんが、防衛システムの一端なのでしょう」
そんな話をしながら奥の広間に到着した私達は3体のガーディアンを視認した。
「あれは強そうだな」
「よし!始めよう」
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